ザ・ブルーハーツ

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ザ・ブルーハーツザ・ブルーハーツ

主観を排してザ・ブルーハーツを語ることは難しい。
ブルーハーツは多くの人にとっての青臭い青春そのものであり、あらゆるものの意味を説いた先生であり、夢であり憧れであり……、なかには“彼らはオレの人生そのものだ!”と後ろ向きな意見をこれ見よがしに誇示する輩もいるだろう。
彼らの音楽を聴くと、ホロ苦くて切ない「アノ頃」の想い出が走馬灯のように頭のなかを駆け巡る。まだ見ぬ恋人を想像してひとり興奮したこと、システマティックな社会に対して怒り、しかし敗北感を味わったこと、怖いもの知らずで、理想の未来を想い描いたこと……。彼らほど若者の人生に影響を及ぼしたロック・バンドを、少なくとも筆者は知らない。

コーツとして活動していたヒロト(岡山県出身:法政大学中退)とかつてブレイカーズを結成していたマーシー(武蔵野周辺出身:多くのソロ作もリリース)が出会い、85年に組織されたブルーハーツ。87年リリースの実質的なデビュー・シングル「人にやさしく」は、無関心から熱情へ、破壊から再構築へ、逃亡から対峙へ、そしてネガからポジへの変遷を示していた。そんな彼らが、局地的ではなく、全国的に熱烈なプロップを獲得したのは、88年の『TRAIN-TRAIN』からだろう。深く、扇動的な詞世界、スター性溢れる歌声、マーシーによるシンプル&メロディックなギター・プレイ、そして(パンク・)ロック・バンドとしての存在感……。それはなに物にも代えられない、聴き手の心を貫くような魅力でいっぱいだった。

90年代に入っても(つまりは初期3部作をリリースし終えても)、混ざり気のない純度100%なロック・アティテュードはそのままに、多様な音楽的アプローチで『BUST WASTE HIP』『HIGH KICKS』『DUG OUT』『STICK OUT』など、名作を次々にリリースしていったブルーハーツ。メンバーのひとりが宗教活動に走ったため(?)、95年に惜しまれつつも解散。
しかし、偉大なる彼らの作品群は、今もなお猛烈な輝きを放っている。ヒロトとマーシーは、ザ・ハイロウズで活動をスタート後、05年11月に活動休止。現在はザ・クロマニヨンズとして活躍中である。

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