ソドム

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    ソドムは80年代半ばのインディーズ・シーンを代表するバンドであるが、いまとなってはむしろ、現在ハウスのクリエイター/プロデューサー/DJとして著名な福富幸宏がかつて所属していたバンドとして知られているかもしれない。時代毎にそのサウンド・スタイルを大きく変えていったため、イメージを掴みにくい存在だが、時代の風向きを読む先取りの才能という点で、リーダーのZAZIEの嗅覚の確かさは評価されるべきだろう。
    ソドムは82年6月にZAZIE(vo)を中心として結成された。初期はストレート・アヘッドなハードコア・パンクをやっていたが、ギタリストのバラの加入をきっかけとして、ポジティヴ・パンク的なサウンドへと移行。変則的なリズム・アレンジとZAZIEの重苦しいヴォーカルを中心としたサウンド・スタイルは当時としては個性的だった。
    85年に<トランス>からアルバム『T.V.MURDER』を発表、このころにはアインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンやバースデイ・パーティなどに通じるインダストリアル・サウンドを展開するようになる。アサイラムやZ.O.Aらと並ぶ<トランス・レコード>御三家としてその名を知られたが、耽美で妖しいメイクに身を包んだZAZIEのアイドルばりのルックスも手伝って、とくに女性ファンの人気が高かった。
    ところがバンドは人気の絶頂期の86年6月に突然活動を停止。沈黙を続けるが89年になって福富幸宏をメンバーに迎えハウス・ユニットとして復活、その名も『King Of House』なるアルバムを発表して話題を集め、91年にはアルバム『Sodom』でメジャー・デビューも果たす。時代状況を考えれば非常に先駆的な試みであり、その意欲と時代を読むアンテナの鋭さは特筆すべきだが、ポジパン期やインダストリアル期にはさして気にならなかったZAZIEのヴォーカリストとしての限界もあり、作品的にはいまひとつ恵まれないまま、まもなく活動を停止した。 (小野島 大)

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