ビブラストーン

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鬼才、近田春夫が88年に結成した人力ヒップホップ・グループ。その当時、認知を受けていなかったラップをいち早く取り上げ、世間の是非を問うた意味は大きい。
もともと86年にプレジデントBPM名義で、ヒップホップの12inchをリリースし、この手の音楽では先駆者となっていた近田。——普通ならターンテーブル+サンプラーという方法論に陥るところを、12人編成の生演奏を主体としたヒップホップを打ち出したところに彼の天才性がある。景気よく鳴り響くホーン・セクションと、ファンクの快楽性をもたらすリズム・セクションが有機的に絡み合うグルーヴにのり、近田はユーモアを交えつつも世相を鋭いライムで風刺。さらには、ゴーゴーや河内音頭までを貪欲に取り込みながら、"日本語ポップ"としてのラップの可能性を究極に突き詰めていった。
現在でこそ、日本のミュージック・シーンに幅を利かすラップ/ヒップホップであるが、このような先人の試行錯誤の上にあることを忘れてはならないだろう。

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