Curtis Mayfield

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    Curtis Mayfieldカーティス・メイフィールド

    ソウル・レジェンドたち、例えばマーヴィン・ゲイ、ダニー・ハザウェイ、そしてカーティス・メイフィールドのハイライトは、やはり70年代だと言える。70年代以降に表出した、その後のミュージック・シーンに対する絶大な影響を考えると、彼らが残した功績は余りにも大きい。
    R&Bヴォーカル・グループ、インプレッションズで活動していたカーティスは、70年にアルバム『カーティス』でソロ・デビュー。当時盛り上がっていた公民権運動やヴェトナム反戦などを背景にメッセージ色の強いアルバムに仕上がった。72年には、マスターピースの呼び声の高いサウンド・トラック『スーパー・フライ』をリリース。ネバネバと糸を引くようなワウ・ギター/小気味よいラテン・パーカッション/緊張感を演出するストリングス/ビートの狭間を浮遊するようなカーティスのファルセット——それらのサウンドが渾然一体となったクールなファンク・アルバムである。
    その後も脂に乗ったカーティスの創作活動は留まることを知らず、『バック・トゥ・ザ・ワールド』(73年)、『スイート・エクソシスト』(73年)などの傑作を次々と発表。そして『ゼアズ・ノー・プレイス・ライク・アメリカ・トゥデイ』(75年)では、初期に見せた声高なアジテーションは影を潜め、極めてパーソナルな視点で黒人社会の暗部——貧困、失業などの問題を歌った。音数も少なく緊張の糸がピンと張りつめたようなサウンド群は、数々の社会運動が結局は実を結ばなかった現実の厳しさを形容しているかのような風情である。
    だが70年代後半を迎えると、カーティスも時代の流れに抗うことはできず、社会派路線は後退。ラヴ・ソングが大半を占めるようになる(それはそれで素晴らしい)。
    そして90年、カーティスはリハーサル中に悲劇的な事故に見舞われてしまう。結果、寝たきり生活に。再起不能とまで噂されるが、96年に『ニュー・ワールド・オーダー』で見事に復活、全音楽ファンに多大な勇気を与えた。しかし99年、突如の訃報が世界中を駆け巡る。カーティス・メイフィールド享年57歳。安らかに。

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