【連載コラム】稚菜、藤原さくらの「
soup」をカバー

ポツポツという小刻みな重たい音に、たまに混ざるバララッ…そんな音を聴きながらふと目が覚める。
昨日と比べて何だか薄暗い。
今日こそどっか出かけようかなって思ってたのにな…
小さな長い息をつきながら、悲しげなブーンという音とどこかちぐはぐな軽快な音と共にホットミルクが出来上がる。
つかの間の安堵感。
そんないつもの変わらない日課からいつもの一日が始まる。

さて、とりあえず仕事でもしよう。
そう思いながら小さな機械と向き合って早2時間。
真っ白なままの画面。
今日何回目かのため息と共にゴロンと横になる。
いつもは気にならない規則的なチクタクという音がやけに耳にゆっくりとこびりついて離れない。
ドクドクと脈打つ音まで身体中で響いて、まるで不協和音の様に混ざり合って伝わってくる。
それらの音が一つの歌になるかの様に、モヤモヤとしている考え事が一気にドロッと流れ出して止まらなくなる。
定期的に届くブーンという小さな機械の振動音も、どこか寂しげでどんな内容なのか確かめる気力もない。
参ったな…
諦めて現実世界から少し離れた世界へと向かう事にした。
しばらく経ってふと目が覚める。
チチッ、チチッ…鳥が鳴いていた。
さっきまで聴こえなかったちょっと違う音が外からする。
ガラガラと開けると、涼しげなマイナスイオンたっぷりの匂いと真っ青な色が、ふわっと流れる風に運ばれて部屋いっぱいに広がった。
改めて耳を澄ましてみる。
ザッザッ、と砂利道を歩く音に混ざって、お隣に住む女の子が今日一日の出来事を息つく暇もなく喋る声、そして優しそうな相づちを打つお母さんの声が聞こえて来た。
どこかから帰って来たんだね、おかえりなさい。
そんな会話を一人心の中でする。
…あ。鳥の鳴き声が変わった。
みんなが想像する王道の元気な鳴き声。
そこに加わるブーンっと走り去る軽快なバイクの音。
止まっていた手が華麗に動き出し、パチパチ…という音も部屋に響き渡る。
今この瞬間私の周りには綺麗な一つのメロディーが奏でられ初めていた。
短時間で、天気一つでこんなに音の世界は変わる。
暗く淀んでいたものが明るく楽しい世界に。
そしてぶわーっと書いていて思った。
擬声語や擬音語を使った文章がこんなにも感情表現になる。
それが何だか凄く面白く感じた。
心の中にある誰もが知っている音が素直な気持ちになる。
こんな何気ない自分の中の気持ちが、一つの物語になる。
感じ方一つでまた色んな感情を運んでくれる。
これは多分、私の物語ではなくて、音の物語。
そんな気がした。
さて、そんな今日の物語の最後を彩ってくれる一曲。
月9「ラヴソング」の主題歌でもある藤原さくらさんの「soup」
私は彼女の演技も歌声も凄く好きだなって思って見ていました。
是非聴いてみて下さい。
それでは。

著者:稚菜

OKMusic編集部

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