年末年始に絶対ホールで聴きたい!厳
選クラシック

選曲のエキスパート“ミュージックソムリエ”があなたに贈る、日常のワンシーンでふと聴きたくなるあんな曲やこんな曲――今回は年末年始の催事も多いクラシックの世界から、厳選した曲をご紹介します。

「東京オリンピック・マーチ」 / 古関
裕而

●「平和の祭典」の原点を感じる行進(マーチ)
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの会場建設の報道に話題が登る中、平和の祭典であるオリンピックの概念が、少し遠いところにあるように思えてなりません。1964年に開催された東京オリンピックは、戦後の日本復興の象徴と捉えられることが多いのも事実ですが、日本及びアジアで最初のオリンピックでもありました。昭和天皇は、最初のギリシアから最後の日本選手団まで、各国の選手団が入場行進をする間、終始起立してこれに応え、来賓の各国首脳大使も、日本選手団の行進に全員起立して拍手で迎えたとのエピソードをご存知でしょうか。
作曲した古関裕而の平和を願う気持ちが、この「東京オリンピック・マーチ」のやさしさあふれる旋律に表れているように思えてなりません。
(選曲・文/堀川将史)

「アヴェ・ヴェルム・コルプス」 / W
.A.モーツァルト

●あの人に贈る「ありがとう」の感謝の気持ち
病床中のモーツァルトの最愛の妻、コンスタンツァを看病してくれた友人に、モーツァルトが感謝の気持ちを込めて贈った小品。簡素ながらも、愛らしく、幸せと感謝の気持ちが満ちた作品です。ご紹介する動画でも感じられるのは、イタリアのパティオ(広場)に、フラッシュモブの合唱にて集いはじめ、みんなで歌い終えた時の穏やかで幸せを思わせる表情です。
今年も終わりを告げようとするこの時節、お世話になった友人、仲間、同僚、そして家族に、「ありがとう」という感謝の気持ちを贈ってみませんか。
(選曲・文/堀川将史)

「主よ、人の望みの喜びを」/Kaori M
uraji

●今年はバッハでゆく年くる年!
年末に聴きたいクラシック曲。なだらかな起伏のメロディが、今年あった出来事を振り返るにはピッタリ。あんないいこともあったし、辛いこともあったなぁなんて、1年の出来事が、3連符の心地良いメロディを聴きながら蘇ってきます。
もとは、J.S.バッハが、教会の讃美歌として作曲しましたが、今は、ピアノ、チェンバロ、ギター、弦楽四重奏、オーケストラなど、様々な楽器に編曲されていますので、ご自身の好きな音色で今年を振り返ってみてはいかがでしょう。遅めのテンポの演奏が、今年を振り返るには最適です。
(選曲・文/藤井憲治)

歌劇「椿姫」から「乾杯の歌」 / パヴ
ァロッティ・フォーエヴァー

年始に聴きたいクラシック曲。年が明けたら、乾杯の歌で盛り上がっていきましょう。ジュゼッペ・ヴェルディ作曲の歌劇「椿姫」の中で、華やかなパーティーの席で歌われる曲です。
「友よ、飲み明かそう。こころゆくまで。命は短く、やがて消えていく。だから今日も楽しくすごしましょう。はかなく去っていくのが、恋の喜びです。」軽快で、とにかく楽しい曲なので、お酒の飲める方はもちろん、お酒の飲めない方も、ジュースで乾杯!1年の始まりを楽しく飲んで、良き1年にしていくには、最高の曲です。
(選曲・文/藤井憲治)

歌劇『トスカ』より「妙なる調和」/ホ
セ・カレーラス

●必聴!情熱のダンディズム
三大テノールの一人・ホセ・カレーラス氏。1987年に白血病の診断を受けましたが克服、歌手として表舞台に復活し活躍を続けてこられました。今年の12月5日は、彼の70歳の誕生日。これに合わせた来日公演が、名古屋と東京で開催されます。
今回ご紹介する「妙なる調和」は、画家カヴァラドッシが恋人トスカへ、高まる愛の気持ちを歌った曲です。
繊細さや一途さがまっすぐ心に伝わってくる、洗練された伸びやかな歌唱です。リサイタルでもきっと、情熱の名唱の数々を、我々ファンに披露してくださることでしょう。
(選曲・文/山本陽子)

歌劇『蝶々夫人』より「ある晴れた日に
」/佐藤康子

●満を持して登場!期待の若手実力派
今回ご紹介する「蝶々夫人」のタイトルロールは、2008年のスペインデビューを皮切りにイタリアなど海外各地で出演を重ね、高評価を得た佐藤康子さんの当たり役です。2014年に日本でも「蝶々夫人」でデビューを果たし、その後様々な公演を経験、この12月には初のソロ・リサイタルが予定されている、今最も注目されているソプラノ歌手です。
蝶々さんは、長崎の港が見える丘の上の家で、母国に帰ってしまったアメリカ人の夫の帰りを信じて待ち続け、この曲を歌います。壊れそうなほど可憐でありながら自分の意思を貫く芯の強い女性像を、豊かな表現力で浮かび上がらせます。
旬な若手有望株が魅せる、オペラの定番人気作品――これはもう、ぜひホールでお楽しみください。
(選曲・文/山本陽子)
さて、お気に召した選曲はございましたか。
ぜひこれを機にCDやレコードなどの音源もちろん、ぜひホールに足をお運びいただければ幸いです。

それでは、また次回♪

著者:NPO法人ミュージックソムリエ協会

OKMusic編集部

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