【mark muffin】本当の意味で異なる
４つの個性が ぶつかり合う音が作り
出せた
待望のフルアルバムを完成させた彼ら。今の自分たちの音を形にすることによって、ライヴだけでは見い出せない"mark muffin"というバンドの方向性をお互いに再確認できたようだ。
取材：大庭利恵
結成3年目にして、初のフルアルバムのリリースですけれど、やっぱりバンドとしては早くアルバムを作りたいという気持ちは強かったですか？
西野
いや、アルバムを作ることを真剣に考え出したのは、「Yellow under tone」（2ndシングル）をリリースしてからですね。それまではライヴに曲が必要だったから作っていただけで、これをいつかアルバムに入れようと思ったりしていたわけじゃないですね。
黒柳
2年って時間がかかったのは、俺たちは変則的なバンドだから、いろんなことがスローペースなんですよ。ライヴを重ねて、シングルをリリースした時に、じゃあ次は何だって考えたら必然的にアルバムってキーワードに辿り着いたって感じ。時間はかかってるけど、すごく自然な流れなんですよ。
とはいえ、ライヴでおなじみのものばかりじゃなく、書き下ろしのものも収録されてますよね。
西野
やっぱりバンドって変わっていくから、その時やりたい…いや、しっくりくるものっていうのかな。そういうのを入れたいと思ってたんで、やっぱり新しい曲が必要だなと思ったんですよ。
印象としては、ライヴを観ているような感じでしたね。変に整い過ぎてないし、声ひとつひとつも生々しくて。
黒柳
シングル以外は、全て一発録りだからね。限りなくライヴに近いスタンスなんじゃないかな。今どきのレコーディングというのは、素材として音を録って調整することが多いけど、それは極力やめたから。
それは、なぜ？
黒柳
「メランコリー」（1stシングル）は、最初の音源だったから、キレイな音で伝えることで名刺代わりにするべきだと思ったし、「Yellow under tone」はあえて音楽的な面白さを表現するためにいじったんですよ。でも、今回のアルバムは曲の良さと“mark muffin”ってバンドの勢いみたいなものの両方を伝えるためには、やっぱり一発録りが最善だと思ったから。
RONZI
だから、アレもコレもいいよねってなった時に、間を取るようなことだけはやめようと思ったんですよ。一発録りだからこそ、平均的なバランスは取っちゃいけないなって。
その結果として、リズムが前面に出たサウンドに変化してきてるんですかね？
黒柳
ドラムの音、大きいよね？
RONZI
えっ!? そう？
うん、すごく出てると思った。
RONZI
あ、そうなの？ これが普通かと思ってた（笑）。僕からしたらmark muffinのドラムは新たなチャレンジの連続なんで、アレンジの途中に“アーッ”ってなったり、叩き終わって聴いてから“アーッ”って言ったりしつつ、ひとつひとつクリアしてった感覚なんで、分かりませんでした（笑）。
西野
本当に口に出して“アーッ”って言うんですよ。
黒柳
その回数が、また多いんだ（笑）。
RONZI
でも、そのおかげでライヴでずっとやってきてる曲も捉え方が変わったりして、新しい楽しさが生まれましたけどね。
西野
それ、すごく分かる。レコーディングしたことによって、それぞれの中にmark muffinってもののイメージが新たに作り上げられた気がしたもん。俺らって“こういう方向性でやろう”とか話し合ったりしないバンドだから、それぞれが本気で考えた音が絡み合って１曲を作り上げるんですよ。ずっとプロフィールに“異なる4つの個性がぶつかり合い、互いに刺激し合うことで生まれてくるサウンド”って書いてあったんですけど、それが本当になってきたなって思えたんですよ。
やっと、って感じなの!?
西野
うん、やっとそこまで来た。だって、本当に全部いい感じなんだもん。ほんと…いい感じとしか言いようがないんだけど（笑）。何を伝えたいとか、どういうことをしたいとかじゃなく、いい曲を書きたい。それをみんなに聴いてほしいって純粋な気持ちで作ったって感じだからさ。
森山
それって“作ろう”として出てきたものじゃなくて、これまでに培ったものを“出せた”からだと思うんだよね。まとめるためのアルバムじゃなく、進むべき原動力をもらった一枚になるのかもしれない。
西野
だから、本当はタイトルは『mark muffin』で良かったんですよ。たまたま曲のタイトルを考えてた時に“turn”って言葉が思い浮かんだんで、今の自分たちにピッタリだなと思って付けましたけど、同じ意味だと思ってるし。アルバム発売記念ツアー＆ワンマンをやって、また曲を作って。そうやって積み重ねていくことが大事なんだなって、すごくそう思ってますね。
