【RIZE】新境地開拓の強烈な新作を引
っさげ見参!

アジア各地でのライヴを大成功に終えるなど2007年をフルスピードで駆け抜けたRIZEが、08年ついに始動! シングル、アルバム、ツアーと、今年もアクセルをゆるめることなく突き進む彼らの近況をJESSE(vo)と金子ノブアキ(Dr)に訊く!
文:お髭のマツオカ

08年上半期、早速精力的な活動を見せてくれていて、ファンにはうれしい限りなのですが、まずはシングルのことから。「Live or Die」はシングル用に書いた曲というわけではないのですか?

金子
そうですね。アルバム製作中は何を先行して出すかということは考えてなかったです。むしろ一曲できるたびに“ヤベっ、これじゃね?”ってなることの方が多いんで。で、一回、落ち着いた時に考えるという。

では、今回の「Live or Die」には、どのような決定打があったのですか?

金子
曲の持ってるパワーですかね。歌の素晴らしさももちろん。それと、今まで出してきた作品との流れも考えましたね。広がりのある世界観の曲が多かったんで。結構、聴いた人からは“新境地ですね”なんて言われるけど、僕らから言わせれば、もともとあった要素だし、進化はしてますけど、原点回帰ってことでもあるかな。

その“原点回帰”って言葉は、06年の「ピンク スパイダー」の時にも、おっしゃってましたよね。

金子
あの頃はそこに向かって行きたくて、そこに闘いもあったんですけど、今回は外から取り込むんじゃなくて、内側から出てきたかなっていう。
JESSE
原点回帰したいって言っても、毎回100%できるわけじゃないし、常にそこは基本に置いてる部分ではある。
金子
そうだね。今回はそういうつもりはまったくねぇんだけどって感じだね。

2曲目の「Break Your Self」はいかがですか?

金子
この曲も難航しましたね。アルバムに入れる入れないで悩み抜いて。作り方からして面白いんですよ。サビの部分は僕のドラムのサンプリングなんですけど、ラップの部分は僕のサンプルを貼って、さらにJESSEが叩いてるんです。二人羽織りみたいな(笑)。

フューチャリングされているラッパ我リヤさんが、さすがと言うか、RIZEの中での動き方を知ってると言うか…。

金子
本当にリアリティのある職人みたいな人たちですから。ライヴでぜひやりたいですね。
JESSE
シングルの強さ、カップリングの強さっていう部分でも、アルバムじゃなかったよね。
金子
3曲目のリミックスもすごいいい感じですし。

確かにシングルの3曲だけでも振り幅がえげつないですもんね(笑)。で、アルバムなんですが、ものすごい世界観でありながら、ひと言で言うと“ロックンロール”してるなっていうのが第一印象でした。

JESSE
そうですね。RIZEっぽくないって言われたりするんですけど、もしかして今までがRIZEっぽくなかったんじゃないの?って言う…。

…深いですね。

金子
今回のアルバムタイトル自体を“RIZE”にしようって案も最後まであったぐらいで。曲順も悩んだし…どういうふうにも成り得るというか。曲の流れでストーリーを作るというよりかは、もう少し先に行った感じで。“K.O.”ってタイトルは、読んで字のごとくで。シンプルでインパクトもあって、今このバンドもそういうところにあるのかなと。

なるほど。それで、もう一回リピートして聴くと、長編映画っていうか、それぞれの世界観がしっかりあるオムニバス映画を観ているような感覚になりました。

金子
わりとテーマとしては反芻の利くものっていうか、どっからでも聴けるというか…とりあえずかけとけるっていうことを含めて、今回はやっていこうっていうのがあって。エンジニア選びから慎重にやって。前のアルバムはわりとピカピカと光ってるようなイメージだったんで、内から匂い立つような動物的なことができればと考えてました。

だからと思うのですが、すごくバンドっぽいですよね。

金子
うん。それ、最高ですね。4人だけってところに最後着地できたらいいなって思ってたから。そう考えると、いいところに行けたかなぁと思ってます。

先ほど話に出たタイトルをバンド名にっていうのは、ある意味、代表作ってことだと思うのですが、曲ができてレコーディングしてっていう制作途中からビシビシと手応えがあったということですか?

JESSE
毎回、手応はあるよね。
金子
ね。KenKenにとっては2枚目のアルバムなんだけど、俺ら3人はどうしても1年タームでアルバム作ってるからルーティン化しちゃって、体の中に体制ができちゃうんですよね。上限が高まってるって意味でもあるんだけど。けど今回は、蓋を開けてみたらって感じですね。シングルをマスタリングした時に“これは間違いねぇな”ってブワって一気に広がった。売れるとか売れないとかのチャンネルじゃなくって、誰でも自分たちの存在意義みたいなことと商品価値ってところで試行錯誤してるのが普通だと思うんだけど、今の俺らはそのふたつが交わりはしないまでも、かなり近い平行線でやれてるんじゃないのかなって、少しだけ感じますね。スタッフとか仲間とかにも恵まれてるって意味でもね。

歌詞の面ではいかがですか?

JESSE
1枚目のやり方に近いかな。2枚目からは“みんなを代表しねぇと”っていうことがデカかったけど、今回は“俺が思うこと”とか、純粋に…「Television Song」とか「PARADOX体操」とかに思いっきり出てると思うけど、俺って普段、人信じねぇし…今までRIZEで歌ってたような“立ち上がれ!”とかっていう人間じゃないんですよ。代表っていうか、自分にも言ってた言葉って感じで。なんで、一回裸になったっていうか。

しかし素の自分を出す時に、気恥ずかしさとか怖さとかってないですか? 弱さまで見せてしまうかもって意味で。

JESSE
そうすね…歌詞はほんと、一番最後まで書けなかった、今回。もしかしたら、書けない曲も出てくるんじゃねぇかって思うくらい。だからラップとか歌とか、一回外して、出てくるものだけを書こうって。で、一番最後に書いた曲が「RIZE」。あれは歌にしようと思ったんだよね、最初。けど、言いたいことが増えすぎてラップになった。なんて言うんだろ…“ミクスチャー”ってものを一生懸命やろうとしてたのね。けど、“ミクスチャーをやろう!”ってバンド組んだわけじゃなかったし。第一期ミクスチャー世代だとは思うんだけど、今は腐るほどミクスチャーバンドがいて、ジャンル化されてる。そこの概念を捨てたっていうのがデカいかな、今回。難しく考えずにやってたことが、すごく難しかったってこと。答えを出そうとして論理的にやった方が、案外簡単だった。

英語詞が目立つというか、そんな印象を受けたのですが、それも、日本語ではどうしてもうまく表現できない部分があったからですか?

JESSE
アメリカに住んでる爺ちゃんがいるんだけど、俺は結構、爺ちゃんっ子なのね。もう5年ぐらい会えてないんだけど。ケンタッキーだから遠いし。で、去年爺ちゃんが入院したっていうんで電話で話した時に“俺も長くなさそうだから、日本語を勉強してJESSEが歌ってることを理解したいんだよ”って言われて。俺、一番聴いてもらいたい人に理解させれてなかったなって。だから、日本語とか英語とか無視してやりゃいいじゃんっていうのがひとつと、爺ちゃんに聴かせてやりたいなっていうのがひとつ。エアフォースでずっとやってた爺ちゃんにさ、「Dear Mr.President」を聴かせて、孫はこんなこと思ってるんだよって。

そうなんですね…日本のリスナーは、RIZEから何かしらメッセージを受け取ってる人も多いと思うんですよ。なので、英語詞の意味を辞書で調べたりとかするかもしれませんね。

JESSE
爺ちゃんが日本語を勉強したようにね。日本人だから日本語で歌えよって言うけどさ、じゃ悪いけど俺に選挙権くれよって話だからね。税金払ってるのに…まぁ、その辺はいいけど(笑)。

(笑)。一番最後にできた曲という「RIZE」なのですが、バンドのコンディションがいいからこそできた曲っていう捉え方さえできる世界観ですよね。

金子
しかもあれ、録ったの夜中の2時とかなんだよね。
JESSE
「PARADOX体操」のレコーディングに参加したチビたちが盛り上がっちゃって。
金子
“ぎゃー!!”とかやってて。寝れなくなっちゃって(笑)。“帰りたくない!”とか。12時過ぎまでスタジオで遊んでたよね。で、ちょっと休憩して、“まぁ、やってみよっか”って感じで。尺もなんも決まってなかったし。後付けなんですよ。まぁ、曲ができた時から、これはこういう曲でって言ってたし。流れに身を任すっていうか。だから、ムードはすごく良かったんですよ、空気感というか。

確かにその何とも言えない緊張感と夜中独特のアンニュイさが出てます。

金子
で、要は何を言いたいかというとですね。ひとつは全部イコールなんだということ。こういう曲にバンドの名前を付けてJESSEが歌ってくれるっていう意味はすごくあると思うし。やたら激しいものだけを、同じものだけを取り込み続けてきたんじゃないっていう。今、自分たちがそれを発信するタイミングだっていう…後々に、俺たちが自分自身学ぶことになるかもしれない曲だしさ、これは。激しいものでもあの曲調でも、俺らが発信するってことはイコールで、ボーダーはないっていう…最初はこの「RIZE」って曲を1曲目にしようって案もあったくらいなんで。

そうなんですか!? それはまた、まったく違ったアルバムの表情になってたでしょうね。

金子
それぐらいの気持ちです。

こういうアプローチでくるんだ…って感じました。

金子
前からあるのはあったんですけどね。
JESSE
家で大抵弾いてるような曲ですね。アコギとかで。
金子
いいよね。結構激しい音とかでグワーってやってる時も、一瞬ブレイクしたりするところに価値を見出したりするんで。何て言うの? 旨味成分って言うか(笑)。激しくすりゃそのままそういう曲にもなるだろうしね。

おっしゃる意味、分かります。今回のアルバムは、その後に控えるツアーっていうのは意識されてましたか?

金子
意識は常にしてるっちゃしてるし、してないっちゃしてないしで。やっぱりツアーで演って化ける曲もあるしね。ただ、ツアーはずっと楽しみではあったんですよ。

それでは、そのツアーのことをお聞きします。かなり大規模な全国ツアーですね。

JESSE
今回は47都道府県全部を周れないのが、行けない地域のRIZERたちに、本当に申し訳ないと思ってます。そりゃ、プロモーションの一環って捉えれば、これほど有効なプロモーションはないと思うけど、一番大事なのはアルバムを買ってくれたみんなに“ありがとう”って言うことなんだって、最近ようやく分かってきて。今まではアルバム出したら、普通に周るでしょって感じだったんだけど。RIZEの生身の姿を見せるのが貴重で、みんなが来てくれるのが貴重なんだって思いで挑みたいですね。

その思いが、ハコの押さえ方にも表れてますよね。お客さんとの距離感とかが一番重要なライブハウスクラスのハコもツアーに組み込まれてるっていうのが。

JESSE
本当にそうですね。

しかも今回は、ツアー・バンで周ると聞いたのですが…。

金子
検証を重ねた結果なんですけどね。去年は電車で移動させてもらって…車の方がやっぱいいんですよね。スタッフさんとの距離感を考えても。みんなでそろって車の方が、ひとつのチームを作るって意味でもいいかな、と。それにRIZEってバンドはツアーが似合ってるしね!
『K.O.』2008年04月16日発売ァー・イースタン・トライブ・レコーズ
    • 【初回盤(CD+DVD)】
    • UMCF-9506
    • 【通常盤】
    • UMCF-1009
『Live or Die』2008年03月26日発売ファー・イースタン・トライブ・レコーズ
    • 【初回盤(CD+DVD)】
    • UMCF-9505
    • 【通常盤】
    • UMCF-5020
RIZE プロフィール

ライズ:1997年、JESSEと金子ノブアキにより結成。00年、シングル「カミナリ」でメジャーデビュー。06年よりKenKenが参加。ロックの“現在”(いま)を圧倒的な熱量で表現する彼らの姿勢は多くのリスナーから支持を得ており、全米、アジアツアーを成功させるなど海外での評価も高い。結成20周年イヤーに突入する16年、メジャーデビューレーベルであるEPICレコードジャパンに復帰した。RIZE オフィシャルHP

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