【キャプテンストライダム】
取材:岡本 明
全力で取り組んで出し切っていくことが
、この先の希望につながる
シングルで想像していた以上に幅広い楽曲が収録されていて、バンドのスケール感が感じられるアルバムになりましたね。
永友
ありがとうございます。特に今回はサウンド的にコンセプトを決めずに、それぞれの楽曲を一番良く聴かせるアレンジや音を選んだので、バラエティに富んだものになりました。それに、歌詞だったり、曲そのものがどこに向かおうとしているかがテーマになっていたので、逆にサウンドは何でもありにできたんです。
ということは、歌詞の世界観も一曲ごとにあるのですね。
永友
そうですね。今回は、2007~2008年の日本に暮らしていて、実際に感じたことや考えたことをなるべくストレートに書こうと思ったんです。あと、4枚目のアルバムなので、改めて自分たちにとって音楽とは何だろう、なぜ音楽をやっているのか、音楽で何ができるのかって考えながら歌詞を書いたんです。書きながら見えていったんですけど、その結論がタイトルの“音楽には希望がある”につながりました。
改めて原点を見つめ直したと?
永友
原点でもあり、出発点でもありますね。いろんな表現の仕方があるわけですけど、例えば怒りとか悲しみを基に言いたいことがあるとすると、その主張をテロや戦争で行なうと悲劇になってしまう。でも、怒りや悲しみで作られていても、音楽でそれを届ければポジティブなパワーになると思うんです。マイナスのものがプラスになる。そこに行き着いたんです。だから、なるべく実感としてリアルなもの、楽しいもの、ポジティブなものにしていこうと。サウンドも1曲ごとに楽しいものにしようという作り方をしました。
今回の楽曲は、スティーヴ・ジョーダン、笹路正徳、セルフ・プロデュースと、3つのプロダクションで作られていますね。
永友
偶然そうなっていたんです。まず、ニューヨークのセッションからアルバムの制作がスタートし、笹路さん、セルフとやっていきました。ニューヨークに行く時はアルバムもまだ見えてなかったけれど、そこで何で音楽をやってるんだろうって考えることができて、そこからスタートできたのが良かった。アルバムを作る上でのテーマに結び付いたので、それは大きかったですね。
梅田
スティーヴが言ってくれたのは、その曲に耳を傾ければ自ずとやるべきことが見えてくる、やるべきことは小手先のものよりも音楽の力を込めることだって。基本的なことだけれど、改めて実感しましたね。だから、セルフも笹路さんとも、どれだけ音に力を込められるかというのをずっと大事にしていました。
菊住
ニューヨークセッションの6曲がどれもすごく良いものができたので、その後の制作も、1曲ごとに向こうで作ったものを超えていこうっていうイメージでやっていました。その曲の持っている力を存分に出していくという感じでやれた気がします。笹路さんとの3曲は、カラフルで日本人にしかできないロックを作れた気がします。それに、スティーヴとセッションできて、同じドラマーとして得たものがものすごく大きかったですね。1曲のワングルーヴを、曲の中で出し続けること。それを身体で体感できたのが、その後の制作にも大きく影響してます。
達成感のある作品になったということですね。
永友
毎回そうですけれど、今回も出し切った感じがすごくあります。毎回、全力で取り組んで出し切っていくことが“希望がある”ということなのかな。漠然と音楽をやっていて楽しいというのとは違って、自分たちで目標や課題を見つけてクリアしていく喜び、新しいものを手に入れられる喜びってあるし。まだまだできないこと、やり切れないこと、悔しさもある。そういうことも含めて、その状態が“希望がある”ということなのかな。このアルバムを作り終えて、ようやく登山口に辿り着いた気がします。先は果てしないですけど、それが“希望がある”ということだと思うんです。山が見えてきました。
梅田
曲のタイプもいろんな広がり方をしているし、1曲1曲のパワーがひしめき合ってる感じなので、全部詰め込んだ実感はありますね。聴いてもらえれば、間違いなく楽しめて、いろんなことを笑い飛ばす力になる。そういう一枚になっていると思います。
菊住
“希望”ってよく使う言葉ですけど、改めて考えると、“望みがある”“可能性がある”ということだよなって。音楽を聴いたことで自分の気持ちに光が差し、望みが見えて、バンドをやることで変われると思えたわけだから。今でもそう思っているし、今回のレコーディングを通して改めて音楽をやる楽しみが感じられたんです。やれることを全部やったから、このタイトルを付けられたんだと思います。