取材:土内 昇

自分が納得できる最高のメロディーを追
求!

少しさかのぼるのですが、今までアルバムという形にこだわって作品を作ってきたのに、昨年11月に配信のみで「P-tunes」をリリースされましたよね。それはバンドにとって、やはり刺激になりました?

YUKI
さわやかな感じの音…ヨーロピアンなライトな感じのものにグッドメロディーを乗せて、配信オンリーってことで、ものすごくヘヴィな要素も入れてみたりしたんで、企画的で面白いものになったんじゃないかなと思いますね。曲自体は僕が19歳ぐらいに作ったものなんですよ。“これを今の自分らがやったらどうなるやろ?”と思ってやってみたら、すごく化けましたね。
HIRO
化けたよね、初の試みだったし。
YUKI
そういう部分で刺激的でしたね。“これをPINKLOOPがしたら、おかしいやろ!”っていうバンドが持ち得ない要素を取り入れたってことで、実験的でもあったし。

今回のアルバムにも影響を与えました?

YUKI
同時期に3曲ぐらいレコーディングしたんですけど、このレコーディングがなかったら、『Smilёz』はできてなかったですね。かなり道しるべになってます。

『Smilёz』はどんなものを作ろうとしたのですか?

YUKI
自分が納得できる最高のメロディーを追求しようと思いましたね。サウンド面では、モア・グルービー…僕らは3ピースで演奏がシンプルなんですよ。メロディーって疾走感があって、パワーのあるバッキングに乗せると活きてくるから、いかにバンドが出すパワーに繊細なメロディーを乗せるかって感じでした。

収録曲はすごくバリエーションに富んでいますが、それは意識的に?

YUKI
いろんなところから栄養をもらったという感じですね。僕、“これ、カッコええな”と思ったら、すぐに調べるんですよ。因数分解するんです(笑)。音をバラしていって、“こういうシステムになってるのか!?”って規則性を見つけたりするんですね。そうやっていくうちに自然と自分の体に入ってくるんですよ。だから、まったくファンクとか通ってないのに、セッションしたらスラップが自然と出てきたり。
HIRO
そういうのが出てくると、こっちも刺激されるから、今までにないドラムパターンをやってみたりするし。
YUKI
そういう感じで広がっていった…もちろん、遊び心も忘れずに。音楽を仕事にしてしまわないためにもそういうところを大切にしているんです。昔、ニルヴァーナとかをコピーした時に、かなり入り込んで、自分がカッコ良く思えたりしたんですよね。その気持ちを絶対に忘れてはいけないと思ってるんで、遊び心は必ず持ってます。

「C’mon! C’mon!」は同期ものが入っていますが、それを考慮してアレンジを組み立てたのですか?

YUKI
小洒落てみたかったんです(笑)。僕の中で“音楽=お洒落”というイメージがあるんで、ちょっとピコピコを入れてみました。

お洒落ってなると、僕は「Sing」に感じましたね。メロディックだし、さらにサウンドがそれを引き立ててるし。

YUKI
そう言ってもらえて、ちょっと泣きそうです(笑)。この曲はお洒落さを追求した…お洒落なんだけど、パンクなサウンドというのを意識してたんで。

「Sorrow 2」と「Weeks 2008」は昔の曲のリメイク?

YUKI
8年ぐらい前に1000枚限定でライヴ会場で出していた、自主制作の音源に入ってた曲で…「Sorrow」は過去にオムニバスにも入れたんですけど、やりたいアレンジがあったから、それを今回やってみたと。Aメロ、Bメロ、サビという典型的なパターンをぶち壊したって感じですね。で、「Weeks」は「Sorrow」とつがいで入れたかったんです。その自主音源のコンセプトが“LIFE”だったんで、僕の中で「Weeks」と「Sorrow」を裏付ける意味合いを込めて、「Sorrow」を入れるんだったら「Weeks」を絶対に入れたいって。

そういう昔の曲を入れたのは、19歳の時に作った「P-tunes」が化けたということもあって?

YUKI
そうですね。あと、この歳になって聴かせたいというのもあったんで。

大胆に打ち込みを導入した「Pinky Pop Channel」は、さっき話された遊び心?

YUKI
大阪でやってる僕らのラジオの番組名が“Pinky Pop Channel”なんです。やりたい放題やって、言いたい放題言ってるんで、そのハチャメチャ感をアルバムで出せるといいなって(笑)。でも、メロディーは極上のものを乗せたという。全編、意味不明な宇宙語なんですけど(笑)。
YOS
☆@$&∀∂&%※☆?
YUKI
…な感じで適当に喋ってます(笑)。

どんなことを考えて喋ってるのですか?(笑)

YOS
郵政民営化とか、社会的なことを考えて…
YUKI
…スベったな(笑)。

この『Smilёz』は、どんなアルバムが作れたと実感していますか?

YUKI
1枚を通してすんなり聴ける、耳に痛くないアルバムになったかなって思ってます。
HIRO
出来上がった時に通して聴いて、歌詞も含めて、ほんとに誰でも聴けるアルバムだなって思いましたね。
YOS
力でガンといくところはいけて、引くところは引けて、ちゃんと押し引きができているアルバムだと思います。
PINKLOOP プロフィール

01年結成された京都出身の3ピース・メロディック・パンク・バンド。メンバーはYUKI(vo&b)、YOS(g)、HIRO(dr)の3人。彼らの音楽の魅力は、メロディック・パンク/パワー・ポップといった要素を感じさせる、疾走する活きの良いバンド・サウンド、そしてグッド・メロディにある。
01年、6曲入りの自主制作アルバムを1000枚限定でリリースし瞬く間に完売。その後も京都を拠点に精力的にライブ活動を行い、02年10月には、<GROOOVIE DRUNKER RECORDS>から1stミニ・アルバム『25121341』をリリース、念願のインディーズ・デビューを果たした記念すべき作品となった。そして、本作のレコ発ツアーで初めて全国を回り、京都と東京にて開催された自主企画ライヴ『PINKY STYLE』では超満員を動員するなどの大成功を収めている。03年9月に1stフル・アルバム『GOODBYE MY LITTLE HONEY』を発表。04年7月には早くも2ndフル・アルバム『dischordic』をリリースし、8月に台湾で行われた『台湾“FORMOZ FESTIVAL 2004”』への出演を含む全国ツアーを敢行。ライヴ活動を全国で地道に続けていくうちに、ELLEGARDEN、10-FEET、マキシマム ザ ホルモンといったバンドからも一目置かれる存在へ——。
06年8月には通算3枚目となるフル・アルバム『Computerized Personality』でメジャー・デビュー。本作は、電子音を効果的に使用しつつ、グッド・メロディーと絶妙なコーラス・ワークで歌い上げた今までにない作品として各方面で話題となる。そして07年6月、待望のニュー・アルバム『PINK FLAVORED POWER POP!!』をリリース。彼らが追求する音像がまた一段上のステージへ登ったことを感じさせるPINKLOOP最高傑作といっても過言ではない出来栄えに仕上がっている。PINKLOOP Official Website
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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