取材:道明利友

聴いた人が思いを乗せてくれたら100パ
ーセントになる

(ケ?タイドラマ『泣き顔にKISS』の主題歌「Crystal」について)携帯ドラマと携帯小説『泣き顔にKISS』とのコラボレーションっていう試みは、すごく面白いですね。

G-YUN
はい! これがね、甘~い感じで(笑)。ラブストーリーどころじゃないよね! ラブラブストーリー(笑)。
MISSY
うん(笑)。めちゃめちゃ甘いんですよ。そのお話を基にして、曲も作っていきました。
G-YUN
高校生の女の子と社会人の男の人が出会って恋をするお話で、それが最終的に結婚までいくんですよ。女の子が描く最高の恋愛のビジョンというか。で、切なくて悲しくてっていうラブストーリーじゃなくて、ちょっと面白いタッチだったり、本当にハッピーに描かれてたり…。主人公はめちゃめちゃ泣くんだけど、でもその涙は大好きな人から受けた優しさへの涙っていう温かいものだったんで、バラードっていうより、テンポもちょっとアップ目でっていうイメージになったんです。
MISSY
難しかったんですけどね。書き下ろしっていうこと自体が初めてだったし、僕たち結構速い曲が多いんですけど、そのタイプじゃないなっていうのは最初からあったから、すごい苦戦したんです。サビのメロディーをG-YUNが持ってきてくれて、そのイメージから広げていったんです。やっぱりこの曲は歌詞とかメロディーをしっかり聴かせたかったんで、できるだけシンプルにっていう感じで作っていきました。例えばAメロはものすごくシンプルに弾いてるんですけど、その代わりサビはグッとくるように、音を厚くしたりね。
G-YUN
Cメロも! 言っとけ!

主張しとけと(笑)。でも、あそこは厚くて激しい音に展開していて、まさにGOLLBETTYらしいですね。

MISSY
はい(笑)。Cメロは特にこだわったんです。ベースのCLASSYがいきなり、あのベースだけになるところのフレーズを弾いて、“それカッコいい!”って。最初は静かなんだけど、“ドカーン!”ってくる感じですね(笑)。僕らはいつもジャムで曲を作ってるから、そういうところでも意思疎通ができるんだと思うんです。“ここはくるでしょ!”っていうところでみんな、“それそれ!”ってなるんです(笑)。

歌詞やメロディーを引き立たせつつ、アグレッシブな部分もしっかり入れていて、GOLLBETTYには新境地的な曲なのかなっていう印象がすごくありました。

MISSY
テンポもミディアムで、確かにGOLLBETTYとしては新境地なんですけど、実は僕たち7人、全員が全っ然違う音楽を聴いてここまで来てるんですよ。スカだけがルーツっていうヤツがいないんですよね、誰ひとり(笑)。僕に至っては、このバンドに入るまでスカは聴いたことなかったし(笑)。だから逆に、こういうテンポの方が聴き慣れてるっていうか、僕らにとっては実は結構自然な感じなんです。
G-YUN
そう。こんだけいろんな音楽聴いてきたんだからこういう曲もできるわなぁ、みたいな感じで(笑)。だから、この曲を作ることに対して背中を押してくれたのが、『泣き顔にKISS』だったっていうことだと思うんですよね。

歌詞ももちろん、『泣き顔にKISS』とつながる話ですか?

G-YUN
そうですね。例えば…主人公の女の子、すっごい泣くんですけど、それを彼が“泣くなよ、お前!”みたいにいつも支えて、かばってるんです。それをただ、“いつも側にいて涙を拭いてくれる”みたいに書いたら、普通じゃないですか。だから、その彼の表情が見えるように…“『泣かなくても良いよ』って 眉、垂らして撫でる指”とかね。優しい顔をして私を撫でて見てくれるっていう表現だったりとか、読んだ人が、その人なりに彼を想像できるような歌詞にしたかったんです。

曲からいろいろなものを汲み取れるのはいいですよね。聴いた人それぞれの想像力で、曲の世界を描けるというか。

G-YUN
そうですね! 『泣き顔にKISS』のお話はもちろん大事にして、ずっと自分が大事にしてる部分もちゃんと出すっていう割合が難しかったですね。私がなんでそういうふうにストレートじゃなくて、ある意味遠まわしに歌詞を書いてるかにはちゃんと理由があるんです。ウチらがただ投げかけるだけ、みたいなのが嫌なんですよ。こっちが投げたものに対して目を見てちゃんと返してくれるみんながいて、とか。そういうふうに空間を共有するライヴがウチらは好きだから、そこはCDにも残したくて。だから、曲を受け取った人が頭の中に何かを描いたり、“自分だったらどう思うんだろう?”みたいなことを考えてもらいたいんですよね。私が30パーセントを投げかけて、聴いた人が後の70パーセントを想像して、その曲に思いを乗っけてくれたら100パーセントになると思ってるから。
GOLLBETTY プロフィール

ゴルベティー:2004年結成の名古屋在住7人組スカロックバンド。06年1月ミニアルバム『SOUL FRESH!』にて全国デビュー。07年5月には2ndアルバム『GOLL&RESPONSE』をリリースし、同ツアーはSOLD OUTが続出し、各地で旋風を巻き起こす。大注目を集める中、08年1月、シングル「COOL MUSIC」でメジャーデビューを果たした。10年7月4日の名古屋ダイアモンドホールでのワンマンライヴをもって活動を終了。GOLLBETTYオフィシャルサイト
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OKMusic編集部

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