【光岡昌美】いろいろ考えながら 聴
いてもらいたい

21歳の視線から見た世の中をリアルに綴った等身大の歌詞。そんな自分のことをさらけ出した言葉が、理不尽な社会の中で生きる者の背中を押してくれる…。
取材:石田博嗣

いろいろ考えながら聴いてもらいたい

デビューシングル「Hana」は“引きこもり系シンガー”と言われるほど、自身のナイーブな内面をさらけ出した作品だったのですが、さらけ出すことに抵抗はなかったのですか?

こうやって話してるのはいいんですけど、歌詞にして届けるってなると、一生残ってしまうじゃないですか。それをみんなに見せるというのが、怖かったですね。聴いてくれる人にどういう捉え方をされるかが不安だったし…でも、BBSとかに“励みになりました”や“暗闇の中に居たけど、光が見えた気がした”という言葉をもらって、自分をさらけ出して良かったと思いました。同じように悩んでいる人に対して、少しでも救いの手を差し伸べられればって思って書いたところもあったし。

そんな1stシングルを経て、2ndシングルが発表されるのですが、今作はどんなものを発表しようと思いました?

前作は自分の中の孤独とかを前面に出した作品だったんですけど、今回は今の自分が見た、さまざまな物事を一枚に詰めることができればいいなと思ってました。『Distance Love』は恋愛で、『OVER THERE』は社会や大人への不平不満、『I am』では信じる人がいるからこそ見えてくる光、『JACK POT』は偽りの世界を歌ってて…そんないろんな角度から捉えたものを一枚にしたという感じですね。

「Distance Love」には、自分の恋愛観も投影されてます?

出来上がったものを読み返してみると実体験が入ってたり、理想が入ってたりするので、自分の要素が何かしらの形で入ってますね。幸せの時期って、その渦中にいればいるほど見えなくなると思うんですよ。でも、人間って大切なものは失ってから、その大きさに気付く生き物だと思うので、その時に感じる“切なさ”や“もどかしさ”が表現できたらなって思って、この歌詞を書きました。当たり前のように通り過ぎていく今日や“今”という瞬間を大切に思ってもらいたいなって。

あと、「OVER THERE」「I am」「JACK POT」の歌詞を読んで思ったのですが、基本、他人を信じてなかったりします?(笑)

そうですね(笑)。やっぱり他人を信じるのは怖い…裏切られる怖さが常に付きまとっている。でも、人って傷付きやすい生き物だけど、傷付けているのは人であり、傷を癒してくれるのも人だと思うんですよ。人とのつながりというのは避けては通れない。だったら、人を信じることで自分が変われるのなら、まずはそれをしてみる。そう思えるようになりましたね。『I am』は私自身の実体験でもあるんです。暗闇の中からどうしても抜け出せないでいる自分がいたんですけど、そんな時にたったひとり、“この人なら、心を開くことができる”と思える人と出会えて、その人を信じることによって強くなれたんです。暗闇から抜け出すことができた。だから、この曲には“人を信じることを怖がらないで”っていうメッセージを込めてます。

そういう意味では、今作はよりディープな自分が出ているという感じですか?

深いですね。最近は陰に入ってしまうってことよりも、現実に対して受け入れられないことや疑問がたくさんあるから、そういうものが歌詞に表れていると思います。生きていく中で、当たり前にあるワンシーンとか…恋愛もそうだし、テレビを観ててふと思ったことも歌詞にしてたりするので、普段の日常の中で言葉にしたいのにできないことがいっぱい詰まってると思うから、1曲1曲をいろいろ考えながら聴いてもらえたらうれしいですね。
「Distance Love/I am」2008年08月06日発売PONY CANYON
    • 初回限定盤(DVD付)
    • PCCA-02726 1890円
    • 通常盤
    • PCCA-02704 1260円
光岡昌美 プロフィール

ミツオカマサミ:2007年にシングル「Hana」でデビュー。透き通った優しい歌声と同世代が抱える心の葛藤をリアルに描いた歌詞が反響を呼んだ。アーティストとしての可能性を見出すべく、光岡名義での活動を一時休止したものの、11年にアルバム『PAST TRUNK』で活動を再開させた。 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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