文:高木智史
自分自身に置き換えて何かを感じてほし
い
4枚目のシングルとこれまでの活動やレコーディング風景、ライヴなどが収められたドキュメントDVDが同時発売になりますが、何かこのタイミングで区切りとするような意図があったのですか?
6月27日で1stシングルを出してから、ちょうど1年になったので、節目としていいかなと思ってリリースしました。
1年という活動を終えて、新たにリリースされる今作ですが、まず「Trip」は歌い方がこれまでの作品とは違った印象があって、どこか懐かしい印象があったのですが。
前作で魂をテーマとした作品が完結したので、今作からまたテーマが切り替わったということが分かるようにはしたかったですかね。懐かしいという部分においては80年代の歌謡曲って感じっていうのかな。ちょっと違うことをやってみようかなと。この曲は予知夢をテーマとしているんですよ。
“予知夢”ですか。僕はむしろ過去の恋愛のことを思い起こしてる風景を描いていました。
惜しいですね。この曲に関しては、自分にもし予知夢を見る能力があったら…ということを描いています。自分の好きな人、大切な人がいなくなってしまう、死んでしまうということが予知夢を通して知ってしまった時に、どうするんだろうっていうことを思ったことがあって。僕自身が生まれて1週間で死にますって言われた体なのに、今日まで生きてるっていうのは医者からしたら不思議な話で。だから仕事で関わった人とかに、例えば僕が明日死んだとしても絶対泣かないでねって思うし、僕自身いつ死んでも後悔しないようにしていきたい。そういう自分の心理のようなものも曲に込められているかなとも思いますね。
歌詞については、これまでの作品と比べてかなりテーマが明確ですよね。
今までの作品が深すぎて難しいという意見もあったので、“どうしたら分かってもらえるのかな?”と考えた時に、恋愛という身近なものをテーマにして僕なりのラブソングというものを書いたらどうなるのかなと思って書きました。
2曲目「BLACK DRAGOON」はハードロック的なサウンドで、人間の私利私欲なエゴなど、壮大なテーマが描かれていますね。
実体験なんですけど、僕には黒い龍が憑いていて、それは災いを呼ぶものなので、お祓いに行きなさいと言われたことがあるんですよ。煩わしかったんですけど、よく考えると“そもそもなぜ黒い龍が悪いんだ”と思ったんです。まずそこを調べて納得しなければダメだと思って調べたところ、黒い龍は北の海を守っている守護神らしいんですね。で、その龍が人を襲ったり、食い殺したりするというところから災いを呼ぶとされているらしい。じゃあ、なぜその龍は襲ったりするのかというと、人々が環境を破壊したり、海を汚したりするから、それに対して、怒り、制裁を加えるために襲ったと。そういうことをしたやましい人は龍が怖くて、あれは悪いヤツだと自分を正当化して退治しようとした…そういう物語があるらしいんですよね。それをそのまま書いているので、ある意味ストレートな歌詞かなと思いますね。
ということは、この2曲はこれまでの楽曲と比較すると、ストレートな表現になっているということですよね。
そうですね。でも、その先を作っていくのは聴いてくれた人かもしれないので、自分自身に置き換えて何か感じてもらえるとうれしいですね。