取材:高木智史
音楽は最終的にはポップでなければいけ
ない
今作を制作していく上で、どのようなことに意識しました?
1stアルバムを1年前に出して、達成感はあったんですけど、なんかそこまでグッとこなかったんです。僕が基本的には曲を書くんですけど、今までは弾き語りでも通用するような曲を作ろうと思っていた部分が強かったのが、バンドの4人で演奏する曲を作ろうという意識が強くなった気がしますね。
そこが前作から変わった部分だと。
180度くらい変わりましたね。前は大学で出会った4人組の友達同士のバンドだったから、言い切れない部分ももちろんあって…やっぱ明日から友達じゃなくなるのは嫌じゃないですか(笑)。でも、それこそ嫌われてもいいやと思って、話し合ったんです。だから、今回は有馬和樹、牛尾健太、前越啓輔、風間洋隆っていう4人の個人個人が、おとぎ話っていうバンドで集まってがっちりスクラムを組んで取り組んだ気がしますね。
楽曲の中にスタジオでのメンバーの声なども入っているのは、今のバンド内の良い雰囲気を象徴しているのですか?。
絶対そうですね! 僕はカチッと型にハマった上手さはバンドに求めていなくて、もっと言うと4人がそこで演奏をしているというパワーが曲に欲しいので、そういうところも曲の中に残したいと思ったところがあるんじゃないかと思いますね。
作品のタイトルからは、ハードなものを想像したのですが、実際はいろいろなバリエーションの音楽が詰まってますよね。
アメリカとかイギリスのオルタナバンドってアルバムがどろどろしたものでも、なぜかカラッとしたイメージの言葉をタイトルにしているという印象があって、それがカッコいいなと思ったんですよね。で、僕らもそうしたいなと(笑)。そういうことがポップなんじゃないかと思うんです。ロックとかパンクとかハードコアとか、そっちに突き進めばそれだけになってしまって、僕はそういうのが面白くなくて好きじゃないんです。音楽は最終的にはポップでなければいけないと思っているんで。できればポケットに入るような軽いものでありたいんですよね。タイトルの言葉自体はドカーンってくるものですけど、聴いてみるとそうじゃないっていうギャップが面白いかなと。
同タイトルの楽曲はパンク精神を感じるストレートなものですが、“あせるな俺達、深呼吸”という歌詞におとぎ話らしい温かさも感じました。
行き着くところは赤塚不二夫先生じゃないけど、そういうのがポップでロックでパンクだと思ってて、コミカルじゃないとダメなんです。曲の中にちょっとでもそういう部分を入れられればいいなと。遊びがないと疲れちゃいますね(笑)。“バカだな?この人たち”って思われた方が楽ですね。
「俺達に明日は無い」は歌い方やサウンドにThe Bandを感じたのですが、やはりThe Bandが好きだから?
好きっすね。ドラムの前越くんはもともとThe Bandを聴いたことがない人だったんですけど、このアルバムを作る前にハマり出したから、彼にドラムを叩いてほしいと思って、この曲は作りました。そういう部分でも共感し合いましたね。アレンジもみんなで“あれがいい、これがいい”って話し合って作りました。
今作がすごくいい状態で出来上がった分、次の作品が作りたくて仕方ないのでは?
も?ほんと、そうですね。カラッとしたポップアルバムができそう。『FUN CLUB』が今作で一番最後に作った曲なので、その先が見えそうな気がしています。楽しみです!