L→R 千野隆尋(Vo)、岡﨑広平(Gu)、高橋 誠(Dr)、伊丸岡亮太(Gu)、宇佐美友啓(Ba)

L→R 千野隆尋(Vo)、岡﨑広平(Gu)、高橋 誠(Dr)、伊丸岡亮太(Gu)、宇佐美友啓(Ba)

【GOOD ON THE REEL】“暴れる”より
も“踊れる”ことを意識した

バンドの王道も挑戦も詰まった3rdアルバム『グアナコの足』について、“今回のアルバムは異色”と語るメンバー。結成から10年を経ても新鮮さがあり、それでいて“らしさ”にぶれがない。渾身の意欲作の完成だ!
取材:石田博嗣

2016年は結成10周年でもありましたが、どんな年でしたか?

千野
日比谷野外大音楽堂でのワンマンもやれたので、10周年から新たに一歩が踏み出せた年だったかな。楽曲制作にしても初めてのシングル(「雨天決行」)が出せたのは大きかったですね。やっぱりシングルってアルバムとは違って、メインの曲が1曲じゃないですか。その1曲に全てを注ぎ込むということでプレッシャーがありましたね。そもそも1曲に絞るっていうのも難しかったし。
伊丸岡
10周年だったのですが、そのシングルを出したことでバンド自体が変われた気がしますね。音楽性の幅が広がったというのもあるし、ライヴのパフォーマンスもお客さんをもっと巻き込めるようになった感じがします。
岡﨑
20代はとにかくがむしゃらに駆け抜けた感があるんですけど、10周年ということで…そんなに10周年って意識していなかったんですけど、改めて立ち止まって周りを見渡せるようになった感じがありますね。

そんな10年の中で、楽曲制作のスタイルが変わったりもしました?

千野
だいぶ変わりましたね。今回のアルバムに関してもほとんどそうなんですけど、基本的に亮太が曲を作っていて、デモを打ち込んでほぼ完成させたかたちで持ってくるんですよ。前は弾き語りから作ることが多かったんです。

となると、着地点が見えた状態でバンドで作り込んでいくことになりますよね。

千野
そうなんです。理想に近付けていくというか。だから、効率が良くなりましたね。弾き語りからみんなで作っていくと、どうする?ってなって譲り合う部分や妥協が出てきたりするんですよ。そういう部分がなくなったから、世界観が広がったというか。

そういう作り方に変わった理由とかあるのですか?

伊丸岡
打ち込みにはまって、いろいろ作れるようになったからですね(笑)。頭の中にあるものを全部入れてみたり。でも、そうやって自分の考えだけで作ったものでも、持っていくとみんなの個性も出てくるので、俺だけのものじゃない、ちゃんとバンドとしての作品になるんですよね。

となると、以前は基本的に詞先でしたが曲先に?

千野
最近は曲が先のものが多いですね。ただ、今回のアルバムに関しては、前からあった曲も入っているので…
伊丸岡
それらは歌詞が先のものが多いですね。それ以外は曲が先です。
千野
でも、基本的にワンコーラスしか作っていなかったりするし、歌詞も変えたりするので、メロディーに対して歌詞を当てはめることが多くなりましたね。

それも10年の中で変わった楽曲制作のスタイルのひとつですね。

千野
そうですね。これだけ曲を作っていると、いろんなやり方をしないと制作が追い付かない(笑)。
伊丸岡
僕としては、歌詞が先にあるほうが作りやすいんですけどね。メロディーだけって結構難しいんですよ。
岡﨑
詞先のほうがうちららしい曲ができやすいですね。亮太が歌詞に対して曲が持ってきて、“えっ、こういうのを持ってきたんだ!?”ってなっても…
伊丸岡
GOOD ON THE REELらしくないものであっても、千野ちゃんが歌って、バンドで演奏すると、“あっ、こういうGOOD ON THE REELもあるな”ってなるんですよ。
千野
歌詞は…やっぱりメロディーが先にあると難しいです(笑)。メロディーに当てはめていかないといけないし、雰囲気も大事にしないといけないし、メロディーの上がり下がりで言葉や文字のはまり具合や歌いやすさも変わるし。でも、曲が先っていうケースが増えてきて、それをやるようになってから、わりと慣れてきましたね。そういうのを考えることに。なので、10年目にしての成長は、曲に対して歌詞を書くことが、ちょっとだけ上手になったことかなって(笑)。

では、2017年第一弾となるニューアルバム『グアナコの足』ですが、今作を制作するにあたって、どんな楽曲を作っていきたいと思っていましたか?

伊丸岡
ノリのいい曲を多めにっていうのをみんなと共有していたので、テンポ感のいい曲というのは意識していましたね。

ライヴパフォーマンスが変わってきたから、よりお客さんを巻き込めるように?

伊丸岡
そうですね。
千野
前アルバム『ペトリが呼んでる』を作った時に、もう少しテンポ感がある曲があったほうが良かったねっていう部分もあったので、それも踏まえて、そっちに寄ったアルバムを作ろうって。

2016年10月の日比谷野外大音楽堂のライヴで「砂漠」が披露されたのですが、やはりこの曲が軸になっていたりするのですか?

千野
野音の時には何曲かアルバムの曲はできていたんで、1曲くらいは新曲をやりたいと思ってたんですね。この「砂漠」という曲は、僕らが今立っている場所とか、そこから見える景色とかが書けた歌詞になっているので…
岡﨑
野音でやるのに相応しい曲なのかなって。

なるほど。《いつかはそうこの花が 一面を赤く染めた》という最後のフレーズがアルバムのタイトルともリンクしているので、この曲がアルバムの軸になっているのかと思ったのですが、特にそうでもないと?

千野
最初はそうでもなかったですね。アルバムのタイトルの“グアナコの足”は、もともと「砂漠」に付けようと思っていたんですよ。でも、亮太とスタッフと一緒に食事している時にその話をしたら、“グアナコの足”って聞き慣れない言葉だから、それをアルバムにタイトルにしたら?ってことになって。で、“砂漠”というタイトルの曲ってあるようでないし、あったとしても暗いよねって(笑)。僕自身は“砂漠”って在りきたりの言葉だから“グアナコの足”にしようと思ったんですけど、言われてみればそうだなって思って、“砂漠”をこの曲のタイトルにしたんです。そうなってから軸になったという感じですね。なので、その前まではそこまで意識してなかったです。

この曲を中心にして他の曲を選んでいったわけでもないと?

千野
じゃないですね。基本的には自分たちがいいと思う曲だったり、テンポ感を考えて選んでいきました。

でも、この曲はすごくGOODらしい曲ですね。ギターが歪んで乾いていてもサウンドはウェットに聴こえるというか。

伊丸岡
そうですね。アルバムの中では一番“らしい”かもしれない。

リード曲「小さな部屋」もGOODらしい曲で。雨上がりの爽快感とポジティブ感があるというか。

千野
タイアップの話をいただいたので、ドラマの制作側が求めているものを僕らしく作っていった感じですね。

そこではどんなオーダーが?

千野
ざっくりなんですけど(笑)、夕暮れ感と“おやすみ”って。
伊丸岡
あと、レトロな感じ。

ざっくりですね(笑)。

千野
そうなんでよ(笑)。で、それに対して、僕と亮太が曲をたくさん出して、擦り合わせていった感じですね。一番苦労しました。

夕暮れ感とかをイメージしてメロディーを作っていって?

伊丸岡
イメージして作ったんですけど、最終的にイメージにそぐわないメロディーになってしまって…
千野
僕らはそのイメージでたくさん曲を提出したんですけど、結局、選ばれたのが過去にストックしていた中の1曲だったんです。“えっ、これ!?”って(笑)。
伊丸岡
なので、そこからオケの雰囲気を寄せて作っていきましたね。
千野
歌詞は大変でした…。

《明日こそはって今日も行く》という言葉がすごく響いてきましたよ。

千野
結果的にそうなって良かったです。

あと、今作はノリを重視したということで、躍らせる「mean me in」だったり、リフが切り込んでいくような疾走感のある「灯火」が印象的でした。

伊丸岡
まさに、そこはノリですね。
千野
いろんなノリ方ができる曲があるよね。例えば「あいつ」もテンポ感よりもノリがある曲だし。そういう部分で言うと、どの曲も踊れるというか。
伊丸岡
“暴れる”よりも“踊れる”というか。
千野
そこを意識しましたね。
岡﨑
どの曲も疾走感があるんですけど、ノリのジャンルが違う…「mean me in」なんてコアな部分はサーフロックだと思うんですよ。それってGOOD ON THE REELらしくないじゃないですか。でも、それをうまく昇華することができましたね。
千野
…やっぱり“mean me in”って言いづらいよね。これは出だしの歌詞が《蝉の絶叫に似た声》なんで、こじ付けただけなんですよ(笑)。
伊丸岡
“ミーン、ミーン”なんだ(笑)。

タイトルを直訳すると“私を意味する”になるんですけど、歌詞を読んでも意味が分からなかったんですよね(笑)。

千野
メロディーに沿うように歌詞を書いたんですよ。今までやったことのない言葉遊びをしてみたというか。韻を踏んでいる箇所も多いし、ぶっ飛んだ曲なんで、そういうタイトルを付けてみたんです。みんな読めないだろうなって思いながら、タイトルで遊んでみた…“どんな意味なんだろう?”と思うだろうなって(笑)。
伊丸岡
意味はないんだ(笑)。
千野
意味なんてなくていい曲なんですよ(笑)。

まんまとはまりました(笑)。あと、クラップがガイドのような「ひらり」も面白かったです。

岡﨑
クラップありきというか…そういう曲って作ったことがなかったので。同じギターリフがずっと続いていたりして。

淡々としているんですけど、しっかりと熱量があるっていう。

岡﨑
そうですね。ちゃんとロックには仕上げたいと思ってました。

そして、やはり「銀河鉄道の朝」はGOODの王道だなと。

千野
この曲の世界観は、かなり“らしい”ですね。この曲は以前から弾き語りのかたちでワンコーラスだけあって…まぁ、前にもアルバムの候補曲に挙がったりしてたんですけど、やっと入れることができた曲ですね。亮太がきれいな曲にしたいって言ってたので、そこが世界観を作っていると思いますね。
伊丸岡
千野ちゃんが“入れたい”って言ったんで、早めに作ろうと思って、いろいろ試行錯誤しましたね。今までにあったようでなかったメロディーなので、そこも面白いと思います。

《何もしないより前に進もう》という歌詞に救われた気持ちになりました。

千野
それは良かったです(笑)。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』って今までたくさんの人がモチーフにしてきたと思うんですけど、『銀河鉄道の夜』の続きを書いてみようと思って。宮沢賢治が好きなので、いつかは『銀河鉄道の夜』に手を出したいと思ってたんですよ。
伊丸岡
後継者になろうと?(笑)
岡﨑
大きく出たね(笑)。
千野
挑戦したかったんですよ。この曲はもともと歌詞があって、それに対して亮太がメロディーを付けてたんですけど、そこに“カンパネルラ”って言葉を入れてみたら、それが曲になったので、これは挑戦するしかないと思って歌詞を書いていきましたね。

念願の『銀河鉄道の夜』の続編を(笑)。

千野
そうですね(笑)。主人公のジョバンニがいて、その親友のカムパネルラがいて…“カムパネルラ”って名前もきれいだから使われることが多いじゃないですか。そんなジョバンニやカムパネルラじゃなくて、カムパネルラのお父さんに焦点を当てる人はいないだろうなって思って…でもね、ラストで一番悲しいのはお父さんなんですよ。なので、『銀河鉄道の夜』のラストに描かれているカムパネルラのお父さんの気持ちを分かろうと思って、その続きを書いていった…まぁ、続編ですよね。

でも、歌詞は《前に進もう》という言葉通りだし、サウンド的にドラムが一歩一歩進んでいってるようで、GOODらしいポジティブな曲ですよね。

千野
そうですね。後付けになってしまうんですけど、完成したものを聴いた時に…おっしゃっていただいたドラムが一歩一歩進んでいくような感じだったり、チンチンと鳴っているライドの音だったり、そういうもの全てに意味がある曲だなって思いましたね。『銀河鉄道の夜』の世界に出てきそうな音で構成されているというか。すごくきれいに仕上がったなって。

そんな「銀河鉄道の朝」が最後を締め括るアルバムですが、どんなものが作れた実感がありますか?

千野
GOOD ON THE REELの第二の武器ですね。今まで磨き続けてきた、ひとつの大きな武器に対しての。自分たちとしては今回のアルバムは異色のような気がしていているんですよ。だから、聴いてくれる人の反応が楽しみですね。
伊丸岡
変わったと言われるのか、進んだと言われるのか…
千野
ってぐらい、僕らには挑戦だったので。
岡﨑
もしかしたら受け入れてもらえないかもしれないんですけど、僕らにとって3枚目のフルアルバムで、どのバンドもそこで変わったりするじゃないですか。そうはなりたくないと思いつつも、いい意味でそうなったので、3枚目らしいフルアルバムになったと思います。

“バンドの真価が問われる3枚目”と言われますからね。

岡﨑
そういう意味でも、新しい武器が作れたなって。刺激になっているというか、メンバー自身もすごくワクワクしてます。

異色のアルバムということですが、個人的には逆にGOODらしいものを作ろうとしたのかなと思ってました。そこで芯がしっかりとできるからこそ、その枝葉としてチェレンジができたというか。

千野
あぁ、逆に。基本的に作曲をしているのが亮太なんですけど、今回は新しいものを作るというよりは、より深く自分を掘り下げれたのかなって気がしますね。だから、GOODらしいんだと思います。
伊丸岡
掘り下げたのもあるし、いろんな音楽を聴いて“こういうのをやってみたい”と思ったものをちょこちょこ取り入れてみたり…洋楽のリフとかに刺激を受けて、それを自分なりに考えて作ってみたら面白くなったり。まぁ、結局は全て自分の中から出てきたものだから、“らしく”聴こえるのかもしれないですね。

そんなアルバムを引っ提げてのツアーの構想は?

千野
最初にも言いましたけど、初めてのシングル「雨天決行」を出して、お客さんを巻き込むようなライヴができてきていると思うし、そういうことを踏まえて今回のアルバムの制作ができたので、ツアーでもみんなを巻き込んで、楽しくできたらなって思ってます。
岡﨑
うん。一体感が味わえるライヴができたらなってね。

そう言えば、その「雨天決行」は収録されてないですよね。

千野
入れたくなかったんですよ。何枚もシングルを出したけど、アルバムが出た時にそれが全部入っているってことがよくあるじゃないですか。あれがね…
伊丸岡
あんまり好きじゃない(笑)。
千野
せっかくシングルで出せたんだから、そっちを聴いてくださいって。そう簡単にシングルって出せるものじゃないから…やっぱり思い入れがあるし、ジャケットに至るまで全てこだわって作っているので。新しい作品は新しい作品として作りたいんです。
『グアナコの足』2017年02月08日発売UNIVERSAL J
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • UPCH-7225 3888円
    • 【通常盤】
    • UPCH-2108 3024円
GOOD ON THE REEL プロフィール

グッド・オン・ザ・リール:2006年3月、同じ学校の仲間により結成。バンド名は“なんか、良い感じ”という意味から命名。千野隆尋の独特な歌声と歌詞、圧倒的なクオリティーの高さを誇る楽曲に、ライヴハウスをはじめ、TSUTAYAでの期間限定無料レンタルやCDショップでの店舗試聴機から火が付き、その口コミだけでバンドの評価や知名度を上げてきた。18年1月、自主レーベルlawl recordsを立ち上げ、8枚目のミニアルバム『光にまみれて』をリリース。19年にはユニバーサルミュージックアーティスツ合同会社とパートナーシップ契約を結び、9月にセルフカバーアルバム『GOOD ON THE REEL』を発表。GOOD ON THE REEL オフィシャルHP

OKMusic編集部

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