L→R 秋気(Dr)、謙ニ(Ba)、悠(Vo)、兆志(Gu)

L→R 秋気(Dr)、謙ニ(Ba)、悠(Vo)、兆志(Gu)

【I Don't Like Mondays.】みんなで
騒げて、しかも夏の切なさのある曲

キラキラとした、けれどもどこかシックな雰囲気も漂わせたIDLMs.ならではのサマーチューン「TONIGHT」。艶っぽさを増した悠のファルセットを効果的に生かしつつ、サウンド面では多彩なトライが織り込まれた、“進化”の一曲だ。
取材:竹内美保

いわゆる既存のバンドスタイルにこだわらないことがこだわりのIDLMs.らしいシングルになりましたね。まず、今作の制作に向けたビジョンからうかがいたいのですが。

夏のど真ん中に出すならみんなで騒げるような曲を作りたいな、というところから始まりまして。で、僕らキャッチーなものを心掛けて今までも作っていたんですけど、ずっと頭の中でリピートされることはあまり意識していなかったので、今回はいかにサビメロが頭から離れなくするかという中毒性も考えながら作りました。あとは、単に元気良く騒げるというのではなく、夏の独特の切なさがうまく表現できたらいいなと思って、音選びや僕の歌メロのラインの高さを意識したりしました。

中毒性やキャッチーさをより意識した理由は?

今回からEIGOさんという新しいプロデューサーさんと制作をしているのですが、その方と話していくうちにそういう方向性になっていったというか。
兆志
新しい人とやるので、その人から客観的にIDLMs.がどういうふうに見えているのかというのが重要だったんですけど、今までの作品を通して理解してくれていたので、話し合いもスムーズでしたね。
EIGOさんってミュージシャンっぽくなくて、どちらかと言えばトータルプロデューサー的な感じなんですよ。だから、音楽的なことはそんなに言わない。
謙二
各楽器の細かいことはそんなにね。“好きにやったらいいじゃない”って(笑)。だから、結構自由にやらせてもらって…いい部分を引っ張り上げてくれたのかなと思います。
例えば、僕で言うと“悠の歌声はファルセットを活かしたほうがいいよ”とか。サビがアップテンポなのにファルセットで歌ってるのは、EIGOさんのアドバイスによるものです。
兆志
ファルセットの繊細な感じを生かそうとしたら、結果的により大人っぽい感じに仕上がりましたね。
秋気
マイクもよりファルセットが聴こえやすく、乗りやすいものを試したりね。サウンド面では以前から音数を減らすことを意識してきたんですけど、今回は所謂フェスとかで盛り上げるような騒ぐだけの曲じゃなくて、最低限の音数でありながらも騒げるという一見矛盾したふたつの要素を両立させようということで、いろいろチャレンジをしつつ作っていきました。結果、そのふたつの間のうまいところに落ち着いたと思います。
シンセの音も今まで一番こだわったしね。
謙二
そういう意味では、よりバンド感がなくなってる(笑)。
秋気
僕も完成する前はもうちょっとバンドサウンドになるイメージだったんですけど、必要な音だけ残していった結果、こうなった。で、そこでバンドかどうかってことにこだわっていないバンドだってことを再認識しましたね。

厳選された、吟味された音だけで構築された曲だと。

謙二
それをやるとメロがちゃんと抜けてくるんですよね。僕のベースはかなりシンセに寄り添ってユニゾンしつつ、足りないリズムを補うという考え方でフレーズを作りました。

ベースはサビ頭のファルセットのあとに一発音が鳴るのがいいフックになってますね。

謙二
あっ、そこを分かってもらえると嬉しいです!
秋気
ドラムは2番までスネアが出てこないとか、タムをメインにしていたりとか、わりとトライバルな方向になっています。EDM調の曲でそれをやるのが面白いというか。

「LIFE」はこれまで通り、河野 圭さんとのタッグですね。

これは河野さんが一番得意とするストリングスアレンジが生きる曲調を考えて作りました。ストリングスが活きるもので、僕らのスタイルもぶれない作品を目指して。かなり壮大なものになっちゃったので、歌詞は大変でしたけど(笑)。

ちょっとメッセージ性もありますしね。

実はこれ、普段の僕っぽいというか。どっちかと言うと、今までの歌詞はIDLMs.が結成されたことでできたスタイルみたいなところがあるので。こういう曲だから言えた言葉もあるし…作詞っていうよりも、曲っていう肉体があって、そこに魂を吹き込むってこういうことだよなって改めて思った制作でした。

ストリングスを生かしつつのサウンドのバランスは、どういうところを軸に固めていったのでしょうか?

謙二
最終的にはミックスで。ストリングスがかなり壮大だったんですけど、あまり前面に押し出すと暑苦しくなってしまうので、どこまで抑えるかは結構考えました。あとは、そこに乗っかっていくギターの細かいフレーズをどういうふうに入れていくかとか。ベースはバラード!っていう感じで弾いてます。Bメロではかなり動かしていて、“いいのができた!”と思っていたら、兆志がさらにそこに細かいフレーズを重ねてきちゃって…(一同笑)。
兆志
僕は12弦を重ねたり、結構アコギを弾いてます。アーケイド・ファイアみたいな感じも意識して、いいフレーズが弾けたと思います。
秋気
ドラムは音が少ない…人数感はあるんですけど、譜面に書いた時に音符が少ない、みたいな。フレージングというよりは、厚みで聴かせるような感じですね。

そして、3曲目には「SING」のエレクトリックバージョンが。かなり意表を突かれました。

謙二
遊びたかった(笑)。いつもアコースティックでしかやらないから、たまには違うスタイルで。というのと、「TONIGHT」の雰囲気に寄せていきたいというのもあって。
原曲はアップテンポなんですけど、テンポを落として、歌い方も全然変えています。
兆志
結果、僕、今のバージョンのほうが好きなくらいで。景色が見えるし。ナイトサファリのような…行ったことないですけど(一同笑)。あと、以前から使いたかったスタイリスティックスの「You Make Me Feel Brand New」風のコード進行を使えたので…だから、より好きな曲になりました(笑)。
「TONIGHT」
    • 「TONIGHT」
    • COCA-17136
    • 2016.07.20
    • 1296円
I Don't Like Mondays. プロフィール

アイ・ドント・ライク・マンデイズ:2012年、表参道で結成。通称“IDLMs.”(アイドラ)。14年にミニアルバム『PLAY』でデビュー。とことんポップでキャッチーなメロディーをベースに、ロック、EDM・ファンク・ディスコミュージック、80’sをミックスさせたIDLMs.の音楽を生み出し、「Super Special」は桑田佳祐の『2015年 邦楽ベストシングル20』に選ばれるなど、そのセンスと実力の評価は高い。19年8月に約3年振り4枚目のフルアルバム『FUTURE』をリリース。I Don't Like Mondays. オフィシャルHP

OKMusic編集部

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