【aiko】夢を紡いだ2年振りのアルバ
ムが完成

自分なりの挑戦はいくつになってもある
なって改めて思った

「かけらの心」も含め、今回のアルバムは全体的に言葉数が多いですよね。それだけaikoさんの想いがより色濃く、鮮やかに詰め込まれている印象もあって。

そうなんですよ。前作にも増して、言いたいことを全部書こうって思ったら言葉が多くなっちゃって。だから、必然的に“あれ、早口?”って感じる曲も増えて。「冷凍便」とか、レコーディングで噛んでしまうこともありましたね(笑)。今回は歌のレンジを気にせず作った曲ばかりなので音程もすごく上下するし、全体的に歌うのが難しい曲が多かったかな。でも、“ライヴではどうなっていくのかな?”とか、今後がワクワクしてくる感じはすごくありました。レコーディングはいつも通り、すごく楽しかったです。

言葉数の多いアルバムですが、逆に言葉が削ぎ落とされた「好き嫌い」という曲が存在しているのもいいですよね。サウンドも含め、ものすごくシンプルだけど、中毒性が高いというか。何度も聴きたくなるんですよ。

嬉しい! 《きらい》《すき》っていう言葉がリフレインするんやけど、メロディーはちょっとずつずれていって、でもちゃんとつながっているっていう、ちょっと不思議な曲を作りたかったんですよね。内容的には、長いこと付き合ってるカップルの歌。なんかムカつくけど好き、みたいな(笑)。

大切な人とふたりでテレビを観ている瞬間というミニマムな世界観を描いていますよね。

そうそう。同じソファに座ってテレビを観ている瞬間のこと。もう長く一緒にいるから隣に座ることに対しての恥じらいもなくなってしまったけど、でもそういうのも楽しいよなぁって思ってるっていう。イントロからカラフルさがすごく出ている曲だと思います。すごく気に入ってますね。

また、CMソングとして話題を呼んでいた「信号」が収録されているのもファンとしては嬉しいところで。この曲ができたきっかけは?

なんかね、人と話してる時に取り繕って言葉を選んでいる自分に気付いてしまうことがあるんですよ。で、それが相手に実は見透かされているんじゃないかって思っている自分もいるっていう。そういう感情がきっかけでできた曲です。ワンコーラス目の歌詞はスルッと書けましたね。

曲中での対象は好きな相手ですよね。

そう。そうやって取り繕ってしゃべってると、その相手との距離を縮めるのは難しいなって思うんですよ。でも、どうしていいか分からない。間違いなく好きっていう感情はあるのに、嫌われたくないから一生懸命、言葉を探しながら話してしまうんですよね。

だからこそ、歌詞の中では赤信号で手をつないでほしいと願うわけですよね。言葉を交わさずとも距離が縮まり、想いが確認できるから。

うん。これはね、私にとって子供の頃からの夢なんですよ。信号が青に変わるのを待ってる瞬間に好きな人と、どちらからともなく手をつなぎたいなっていう。私にとって手をつなぐきっかけが赤信号だったので。

ファルセットを多用したサビでの歌声も印象的でした。聴き手として気持ちをグッと持っていかれる感じがあります。

前に出した「beat」(2010年発表のアルバム『BABY』収録)もサビがファルセットだったけど、この曲のほうがキーが高いんですよ。結構歌うのは大変でしたけど、サビをファルセットでずっと歌って、最後で実音になるっていうのがはまる曲なので頑張りましたね(笑)。自分なりの挑戦っていうのはいくつになってもあるんだなって改めて思ったし、それを楽しみながら、いかにクリアーしていくかっていうのが私にとって変わらない目標なんだなって思いました。

今回は「愛だけは」と「蒼い日」というバラードが収録されていますが、この2曲は制作期間の最後にレコーディングしたそうですね。

はい。今回はアップテンポやミディアムテンポが多くて、バラードはこの2曲だけなんです。なので、最後に録りたいなってなんとなく思っていて。「愛だけは」は、東京の(国道)246を歩きながらスマホで歌詞を書いたんですよ。で、ちょうど歌詞を書き終わった頃に家に着いたので、そのまま曲も作りましたね。

アレンジはすごくシンプル。だからこそ、その上で響く切ない歌声が迫ってくるというか。

ありがとうございます! 同じバラードでも、「愛だけは」のほうがちょっと大人っぽい感じがあると思いますね。

そして、もう1曲のバラードが「蒼い日」。アルバムはこの曲で最高のエンディングを迎えますね。

すごく切なく終わる感じですね。この曲はミュージシャンの方々の演奏が本当に素敵で。歌っていて何度も気持ちを持っていかれそうになりました。その上で歌えることがすごく嬉しかったです。

初回限定仕様盤と通常仕様盤合わせて4仕様でアルバムがリリースされるのも初めての試みですよね。初回限定仕様盤A、Bには昨年開催された初のカウントダウンライヴ『Love Like Pop vol.18』から23曲を収録した映像作品が同梱されますが、これはもう必見じゃないかと。

ありがとうございます! みなさんに観てほしいです、これ! 先日リリースしたライヴDVD&Blu-ray『ROCKとALOHA』でも思いましたけど、私はMCでほんまにアホなことばっかり言ってるんですよ。ちょっと悔い改めたほうがいいんじゃないかなっていうくらい(笑)。

あははは。いや、そういう飾らないMCもまたaikoさんのライブの大きな魅力ですから。

“しょうもないこと言ってるな”“アホやな、aiko”って思いながら楽しんでもらえたら嬉しいですけどね(笑)。

そして、初回限定仕様盤Cには既発音源をライヴバージョンにアレンジ、再レコーディングした楽曲を収録するスペシャルCDが付いてきますが、これもまた豪華な特典ですよね。

その特典CDのタイトルは“The Live Versions~深夜2時「寒いね」って彼とスーパー行ったじゃん。~”って言うんですよ。収録されてる4曲のタイトルをくっ付けたってことなんですけど(笑)。

あぁ、なるほど!

「二時頃」はアコースティックアレンジ、「寒いね…」はテンポをちょっと上げたアダルトオサレバージョン、「恋のスーパーボール」はボサノババージョン、「恋愛ジャンキー」はテンポを上げたライヴバージョンでレコーディングしました。いいCDになったと思うので、楽しんでもらえたらいいな。

現在すでに全国ツアー『Love Like Pop vol.19』がスタートしていますが、最後に意気込みを聞かせてください。

今回、ツアーでは初めて行く場所もあるので、それもすごく楽しみです。前回、初めて福井県でライヴをした時、めっちゃ盛り上がったんですよ。みんながブワーッと前に駆け寄ってきて会場がライヴハウスみたいになったんです。その時に、自分のことを待っててくれてた人がこんなにもおるんやな、もっともっと頑張ろうって思えて、すごく刺激になったんですよね。なので、今回もそういう気持ちを噛み締めながら、各地でいろんなことをして楽しめたらいいなって思ってます!
『May Dream』2016年05月18日発売PONY CANYON
    • 【初回限定仕様盤A(Blu-ray付)】
    • PCCA-15012X 5400円
    • ※特典Blu-ray
    • 【初回限定仕様盤B(DVD付)】
    • PCCA-15012Y 4860円
    • ※特典DVD
    • 【初回限定仕様盤C(特典CD付)】
    • PCCA-15012W 3146円
    • ※初回限定仕様盤は全てカラートレイ仕様(共通)
    • ※特典CD
    • 【通常仕様盤】
    • PCCA.15012 3146円
aiko プロフィール

アイコ:1975年、大阪生まれのシンガーソングライター。98年にシングル「あした」でメジャーデビュー。3rdシングル「花火」が大ヒットを記録し、全国区で注目の存在に。等身大の目線と心情で描かれた恋愛における微妙な女心が多くのリスナーの共感を呼んでいる。aiko オフィシャルHP

OKMusic編集部

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