【山本陽介】ギターは歌が歌える楽器
なんだ

森重樹一(ZIGGY)、水樹奈々、中川翔子を始め、さまざまなアーティストの活動をサポートしてきたギタリストの山本陽介が、テレビアニメ『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』のエンディング曲「The Beginning」で、ついにソロデビューを果たす!
取材:土屋京輔

これまでの作詞/作曲/編曲家、ギタリスト、プロデューサーとしてではなく、今回はソロアーティストとしてのデビューが実現するわけですが、自分名義の作品が世に出ていくことについては、どのような思いがありますか?

例えば依頼されてギターのレコーディングをすること、作曲家としてクレジットされること、森重樹一さんのアルバムのようにサウンドプロデューサーとして名前が載ること、それぞれ味わいが違うんですけど、今回は“作品=自分”ですよね。その意味で責任感は、より高いです。誰かに楽曲を提供した場合は、どんなかたちになっても、最終的に背負うのは自分ではなく、そのアーティストですし、全ての反響を受け止めるべき人間が、自分になったんだなという気はしてます。

山本さんがプロフェッショナルな活動を始めたのは、いつを起点に考えればいいのでしょう?

プロフェッショナルということで言えば、メジャーデビューした先輩のバンドがアルバムのリリースツアーをやる時に声をかけてもらったのが、最初だと思うんですよ。8~9年前ですね。それまでやっていた自分のバンドが解散することになって、ちょうどそのタイミングで、それが先輩の耳に入ったみたいで。

ご自身のバンドはどんな音楽スタイルだったのですか?

ハードロックが基本にありつつ、当時のエモーショナルハードコア的な要素をふんだんに入れたものでしたね。でも、メロディーはしっかりあって。もともとは4人編成で、ヴォーカルが抜けて3ピースになり、僕が歌うことになったんですけどね。始めたのは高校生の時なんだけど、僕は当時からずっと音楽で飯を食うんだと思ってたんです。実際に音源も出して、全国ツアーもやらせてもらってたんですけど、徐々にメンバー間で将来像のズレが大きくなっていって…。そんな時期に、仲間内のバンドからサポートを頼まれることが増えていったんですね。で、しばらくは並行してたんだけど、だんだんそっちの比重も高まってきて…自分と同じような思いで活動している人たちと一緒に音を出すほうが楽しかったんですよね。だからこそ、この中途半端な状態をクリーンにしないと物事は進まないだろうなって気分になり、バンドを辞めることにしたんです。

売れることが全てではありませんが、バンドの活動を継続していくのは難しいですよね。

そう。ある種、信念的な部分だけで持ちこたえなきゃいけない時期もくるじゃないですか。僕も一所懸命にバンドをやっていたのは間違いないし、そこには自信もある。だけど、それを辞めるぐらいの決断なんだから、必ず成功してやる!って、強い気持ちはありましたね。自分の中では、バンドマンスピリッツを持って、スタジオミュージシャンの仕事をプロフェッショナルとしてやる自覚。だから、ツアーとかへの参加を頼まれた時も、仕事って感じで、大人しく譜面を見ながら弾いているわけじゃなくて、ちゃんと身体に入れて、お客さんと一緒にライヴをするっていうモチベーションでステージに立ってます。

そこからソロデビューに至った経緯については?

今の事務所に所属したのは今年からなんですけど、別にフリーで活動することに限界を感じてたわけでもなくて、ものすごく熱と愛を持って、一緒にやりたいと言っていただいたんですよね。その時に、“ゆくゆくはアーティストとして活動したほうがいいと思う”という話もされて。でも、何が変わるんだろう?って、僕も当時はまだ想像できてなかったんですよ。ところが、正式にマネジメントをお願いすることになったら、急に今回のエンディングテーマの話をいただいたんです。

その「The Beginning」はインストゥルメンタルですね。

そう。結構な難産で、制作スタッフと何回もやりとりをしました。いろんな人がエンディングに対して求める意見もありますからね。ただ、今回は作家ではなく、アーティストとして出す以上、自分が譲れないポイントも用意しないといけない。そのバランスは難しかったですね。でも、いいかたちに仕上がったなと思います。特にギタリストのインストとなると、フレーズが速かったり、仕掛けがいっぱいあったりするじゃないですか。それを否定はしないですけど、ギターをやっている人たちしか面白くない気がするんですよね。もっと大事にしなきゃいけないのは、フィールの部分だと思いますし、ギターは“歌が歌える楽器なんだ”と思ってもらいたい。そこはこの曲で押し出したかったところですね。

エンディング曲にもかかわらず、タイトルが“The Beginning”であることも興味深いですよね。

アニメって、原作となる漫画などがあること多いじゃないですか。でも、『コンクリート・レボルティオ』は、このアニメのために作られている。つまり、ここからスタートですよね。それと自分自身の始まりを表してもいる。この曲名を提案する時に内心、“これはエンディングですよ!”って怒られるかなと思ったんですけど、一発で“いいと思います”と言われて(笑)。結果的に楽曲にもタイトルにも、すごく整合性があると思うんですね。アーティストという部分の柱は建設を始めたばかりですけど、今回のアルバムは錚々たる方々が参加していますし、山本陽介の作品の入口として、すごくいい機会をいただいたなと思います。説明するのが難しいんですけど、結局、ギターを持って音をはじいたところに自分のやりたいことや正解があるような気がしてて。風景が見える、想像できるような音楽をやりたいですよね。ジェフ・ベック的なスタンスというか、ギターの可能性みたいなところにトライしていく人がいてもいいんじゃないかなと思うんですよ。これからも枠にとらわれることなく、いろんなことを表現していけたらいいですね。
『TVアニメ『コンクリート・レボルティオ ~超人幻想~』神化・傑作曲集』
    • 『TVアニメ『コンクリート・レボルティオ ~超人幻想~』神化・傑作曲集』
    • LACA-15533
    • 2015.12.23
    • 3240円
山本陽介 プロフィール

ヤマモトヨウスケ:父親の影響で3歳でアコースティックギターを始める。その後は HR/HM、パンク等のラウドミュージックに没頭し、現在のスタイルを確立。ポップス、ロックからブルース、ファンクまで幅広く演奏し、ギター以外にもベース、ドラムなど多様な楽器でのバンド活動を経験。現在はギタリストとしてさまざまなアーティストのライヴサポート、レコーディング等で演奏している。作・編曲家としてもさまざまなアーティストに楽曲提供、アレンジ、プロデュースを担当しているが、満を持して、2015年12月にソロデビュー!山本陽介オフィシャルブログ
山本陽介オフィシャルHP

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