【分島花音】仕掛けがたくさんある曲
にしようと心がけた
近年アニメ楽曲を数多く手掛け、今年の夏は『アニサマ』に初出演を果たすなど、注目を集めている分島花音がニューシングル「君はソレイユ」をリリース。楽曲について、チェロ演奏パフォーマンスの魅力について話を訊いた。
取材:榑林史章
「君はソレイユ」は前作の「RIGHT LIGHT RISE」に続いて、明るくて温かい雰囲気の楽曲ですね。
今回も前作と同様にアニメの主題歌なのですが、アニメ楽曲の場合はいただいたテーマに沿って作っています。今回は明るく、テンポが重たくないものというリクエストがあったので、明るく軽快で、アコースティックめのサウンドにしていますね。あと、アニメを観た方により楽しんでいただけるように、仕掛けがたくさんある曲にしたいと心がけました。
どんな仕掛けがあるのですか?
「君はソレイユ」は『OVA ストライク・ザ・ブラッド ヴァルキュリアの王国』のエンディングテーマなのですが、以前に同じアニメのTVシリーズで「signal」という曲を書いたんです。今回はその「signal」のアンサーソングのようなイメージで作りました。歌詞の部分で前作を連想させる部分があるので、前作を聴いていただいている方には、より深く作品の世界観を楽しんでいただけるものになっています。ただ、広いニュアンスで受け止めてもらえるように書いていますので、前回の曲を聴いていない方でも、自分自身と重ねて共感できるようなものになっています。
すごくハッピー感のある楽曲ですが、これはアニメの内容からですか?
アニメは全体にシリアスな部分もあるのですが、ネタバレになってしまうので多くは言えませんが、登場人物のひとりに向けた前向きな想いを楽曲に込めることができたらと思って、こういう雰囲気になりました。
タイトルの“ソレイユ”は“太陽”という意味ですよね。
アニメ作品の舞台が常夏の島だったり、主人公はみんなから好かれたり、愛されたりしているので、そういういくつかのニュアンスを含めています。
分島さんにとっての太陽のような存在は?
ファンのみなさんです。毎回楽曲の感想を書いたお手紙をたくさんいただくのですが、読むたびに本当にこの人たちのために私は歌っているんだ!と思えます。
以前まではダークな世界観の曲が多くて、こういう明るい楽曲はここ最近に思いますが、そのあたりはどんな反響ですか?
私は毎回いろんなところを転々としているので、決まった路線みたいなものがないんです。求められればどこにでも行くし、何でも表現しようと決めています。それを理解してくれている方が多いので、今回はこうきたか!と、逆にいろいろな曲調を楽しんでくれているみたいですね。次はどういう曲になるのか、私自身もとても楽しみにしています。
カップリングの「プリンセスチャールストン」は、ライヴで人気の曲を新たなアレンジで収録していますが。
ライヴの定番曲なので、ライヴで何度もやっているうちに原型から結構変わってしまっていて。バンドのメンバーが好き勝手に演奏している今の賑やかな感じを、まだライヴを観たことのない方にも聴いてほしいと思ったんです。あと、この曲の歌詞は、物語のお姫様たちが愚痴を言い合ってワイワイしているイメージなんですね。『ストライク・ザ・ブラッド』にも女の子がたくさん登場するので、そういう部分でも通じていると思ったので収録しようと思いました。
さまざまな楽器のソロパートがたっぷりあって、実際のライヴを想像できますよね。
ソロはだいぶよそ行きのプレイですけどね(笑)。ライヴではもっと遊んでいたり、暴れていたりしますよ。
ちょっと先になりますが、来年には全国7公演のツアー『Unbalance by Me』が控えていますね。
海外では10都市くらい回ったことがありますけど、国内でこれだけの本数をやるのは初めてなので、とても楽しみにしています。リリースイベントやアニメのイベントではオケを流して歌うことが多いので、バンドサウンドを聴いてもらえるのが嬉しいです。結構曲も溜まっているので万遍なくやれたらと思いますし、バンド編成でやるので、アレンジでもCD音源とは違った感じで遊べるんじゃないかと楽しみです。
ライヴでは分島さんがチェロを演奏しながら歌う演出が観どころのひとつだと思いますが。
はい。インストアイベントなどではチェロという楽器が珍しいので、それだけで注目してくださる方も多いです。
立って歌いながら弾いたりもしますよね。
もともとは座って弾く楽器なので、実は立つとすごく弾きづらくて、無理くりやってるところがあるんです。でも、立ったほうがパフォーマンス的にも見栄えがいいので。
チェロの生音が聴けるのもライヴの魅力ですよね。
もともとクラシックをやっていたので、音楽は人の力で生み出すものだという意識が強いんです。なので、人が生み出したものをその場でリアルタイムに全身で受け止めてもらえるライヴでは、その時しかできない編成や音の雰囲気、人の動きみたいなものを感じてもらえればと思っています。
レコーディングでも、そういう生感へのこだわりが?
結構あります。歌が多少上ずったりニュアンスがこぼれたりしていても、生の楽器の音と合わさった時に臨場感があるテイクを使うようにしています。だから、楽譜と多少違っていても、その時の気持ちが乗っているほうを優先しています。全員で一発録りしていますしね。一緒に音を作る感覚が大好きなので。ライヴもみなさんと一緒にひとつの空間を作れたら嬉しいです。
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