【LOST ASH】心を掴むキャッチーな曲
を書いていきたい
約1年の沈黙を破って、LOST ASHがニューシングルをリリースする。立ち止まってバンドの在り方や方向性を見つめ直した彼らが掴んだものとは? 新曲制作時のエピソードを含めDaiki(Vo)とDye(Dr)に話を訊いた。
取材:山本弘子
久しぶりのシングル「STAY GOLD / UNDER THE SKIN」が8月にリリースされますね。
Dye
はい。1年振りのリリースで、かなりファンの方を待たせてしまったんですが、バンドの方向性や個々のスキルを見つめ直す時間が必要だったんです。今まで自分たちの音楽ジャンルについて、はっきり明言するのを避けてきました。それゆえに、バンドの方向性に悩む部分がありました。そして、この1年考えた末に、曲も見た目も活動の仕方もより多くの人たちにアピールする方向に打ち出していこうって決めて吹っ切れましたね。
Daiki
もっともっと聴いてもらいたいっていう想いが強くなったんです。アートワークとか入口の部分も含めて。
衣装も“白”が基調でさわやかですものね。
Daiki
そうですね。私服に近い素材のものにしています。
コンセプトを決めてから曲作りにとりかかったのですか?
Dye
そうですね。“自分らがほんとに好きなもの”について改めて考えたし、方向性が決まるまで書くべきじゃないと思ったんです。僕が影響を受けたのは90年代後半の音楽なので、そういうルーツを踏まえた上でLOST ASHの曲に昇華していこうって。本当の意味のJ-POPのキャッチーさがある曲を書きたいと思ったんですよ。覚えやすいだけじゃなくて、心を掴むという意味でのキャッチーさのある曲を。
そういう意識のもとに制作した曲について、書いた時のエピソードを教えてもらえますか?
Dye
まず、「UNDER THE SKIN」はサビでブラスを入れた90年代風の懐かしい方向性を打ち出したんですが、サウンド面は挑戦していて、イントロでコンプレクストロというクラブミュージックから派生したジャンルを取り入れているんです。いい意味でバンドサウンドではないアレンジになった曲ですね。
Daiki
デモを聴いた時、イントロの女性コーラスが新鮮で、今までのLOST ASHにないタイプの曲だなって心を掴まれました。僕らは速い曲が多いんですが、ちょっとテンポを落とした、今までにないダークさがあるサウンドなので、ライヴで歌うことを想像して“カッコ良くなるだろうな、早く歌いたいな”と思いました。
Dye
それと、裏テーマは“ターミネーター”。一番好きな映画なのでイントロで映画に出てくる打撃音(効果音)を入れたり、コーラスにも“Hasta la vista, baby”っていう有名な台詞を入れたりしています。新シリーズ『ターミネーター:新起動/ジェニシス』が公開されることもあってテンション上がっちゃったんですよね(笑)。映画を知っている人はニヤリとしてくれるんじゃないかと思います。
Daiki
この曲は歌詞もDyeが書いてるんですよ。
Dye
“UNDER THE SKIN”の意味は“本心”で、テーマは“建前と本音”です。ほんとの気持ちを言えない時もあると思うけど、曝け出してみたら?って。Daikiの歌詞はストレートで前向きですけど、僕の書く詞はシリアスな方向ですね。前回のシングル「MESSAGE」がLOST ASHの王道だったのに対して、今回の2曲はポップに振り切った曲とシリアスな曲と両極端かもしれないですね。
ポップを全面に押し出したのが「STAY GOLD」?
Daiki
そうですね。夏にリリースされるということもあって「MESSAGE」より、さらに底抜けにポップな曲になりましたね。ライヴでコール&レスポンスしたいと思って書いた歌詞なんですが、掛け合いをしている時のお客さんの表情ってキラキラしていて、観ている自分たちも幸せになってくるんです。なので、常に輝き続けてほしいなって。俺たちからお客さんに向けたストレートなメッセージが詰まっている曲ですね。
Dye
実際、曲を作っている時もお客さんがコール&レスポンスで笑顔になっている画をイメージしてたんですよ。
Daiki
その想いを受け取って詞を書きました。基本的にLOST ASHは“うまくいかないこともあるけど、前向きに頑張っていこうよ”っていうメッセージが軸になっているんです。「STAY GOLD」では“バカになっちゃうぐらい自分を解放して楽しもうよ。それも人生だよ”って。
Dye
こっちは同期をあまり入れずにロックサウンドを前に打ち出していますね。ライヴでサビのド頭を一緒に歌ってくれたら嬉しいです。
このシングルを機に、活動がストップしていた分、今後はアクセルを踏んでいく?
Dye
まさに。年内にまた新曲も出すし、8月のワンマンライヴではシングルはもちろん未発表の新曲も披露するつもりです。6月のワンマンは5年間を振り返る内容だったんですが、次は演出もガラリと変えて見せたいですね。
最後に、充電期間を経て、各自で変化したところがあったら教えてもらえますか?
Dye
全員、自分のパートに対する責任感が増しましたね。Daikiはより歌に対して意識的になったし、Showもギター1本でどれだけ表現できるか挑戦しているし、普段は寡黙なSaiも実はベースに対する熱量は人一倍だし。Saiはライヴで率先して煽ってくれるし、Showはいい曲を書くんですけど、最近は積極的に曲作りもしているし。個々が伸びた結果、バンドが同じ方向に向かっているというか、一体感が増してますね。成長していると思うので、LOST ASHを観たことがあるっていう人も観たことがない人も、ぜひライヴに遊びに来て変化を確かめてください!