【Yun*chi】アニメと好きな音楽を楽
しむ気持ちが全面に込められた

アニメ『ログ・ホライズン』のエンディングテーマを務め、もともと好きだったアニソンイベントへの出演も増えたYun*chiが、ついにアニソンカバーアルバム『アニ*ゆん~anime song cover~』をリリース!
取材:高良美咲

今作は、アニメ好きのYun*chiさんにとってはもはや趣味と言ってもいいような作品ですよね(笑)。

そうなんですよねぇ〜(笑)。アニメの歌のお仕事もさせていただく中で、ライヴに小さい子からアニメが好きな方まで観に来ていただけるようになってきました。小さい頃からアニメは好きで、大人になってからも観ていたので、アニメが好きだということをみんなとシェアできるようになったらいいなと(笑)。

もともとアニメが好きだった経緯もあって、夢のようなアルバムですね。

そうですね。実際、好きなアニメの歌を自分で歌うことができて、さらにカッコ良いなと思っている人たちに音を作っていただくことができたので、満足できる作品になりました。

以前に「Your song*」と「Wonderful Wonder World*」でアニメ『ログ・ホライズン』のエンディングテーマを務めたこともあって、アニメに対する意識で変わったところはありますか?

今までは楽しむ側だったんですけど、実際に関わってみて、もともとアニメもアニメの歌も好きということで、そこから影響されたこと、得たものはすごく多かったと感じています。今まで出会えなかったリスナーにも出会うことができたし、前作では大好きな声優の加藤英美里さんと一緒に曲を作ることもできたし。あとは、『ログ・ホライズン』で声優も初めて体験させてもらうことができて、アニメに感謝する気持ちが生まれたのはやっぱり今までと違うことなのかなと思います。

いつかは、今回のカバーアルバムのようにYun*chiさんがカバーされることがあるかもしれないですね。

されたいです!(笑) 全然まだゆんも駆け出しというか新人ですけど、“歌ってみた”“カラオケで歌ってきた”というのをブログとかで書いているのを見つけたりすると本当に心がほっこりします。自分もそうやって有名なアーティストさんたちに憧れていたから、憧れられる側になりたいです。

今回は年代も幅広くカバーしていますが、この7曲以外の候補はどれくらいあったのですか?

200曲以上ありました! 自分だけではなくて、ワンマンもやらせていただいた、秋葉原のMOGRAというアニメソングのイベントなどもしているお店の店長さん、『リスアニ!』さんのチーム、ゆんの周りにいるアニメの好きな方たちにも相談に乗ってもらったりしたので。

200曲から7曲に選曲するのは大変ですよね。この中で特に入れたかった曲はありましたか?

「天使のゆびきり」(『彼氏彼女の事情』)という曲は、livetuneのkzさんがプロデュースしてくれた曲なんですけど、デビュー前からライヴで歌っていた曲なので入れたいなという気持ちがすごく強かったですね。これはその当時のものを収録していて、デビュー前のYun*chiの声が録音されているんです。できた当時に聴いてもカッコ良いし、今聴いてもカッコ良い! …自分の作品なんですけど(笑)。

今作では各曲でいろいろなプロデューサーを立てていますが、選曲してから楽曲に合う方にお願いしたのですか?

最近はアニソンのイベントに出演することも多いんですけど、もともとのクラブサウンドやダンスミュージックを多く作っているYun*chiというアーティストと、アニメが好きなYun*chiがいて。そのどっちもを合体する時には、もちろんアニメのストーリーや設定、雰囲気も考えながら合わせていくというのもあったし、逆に“この曲を歌いたいから、どんな人がいいかな?”というのもあったし、一緒に決めたパターンもあります。あと、“この人に作ってほしいから、この人は何が好きかな?”とかも。そこからギャップが生まれるというのもイメージしていました。結果、みんなアニメが好きな人で一緒に作れたのですごく楽しかったです。

レコーディングも楽しそうですね。

今回のレコーディングは浅田祐介(U-SKE)さんにしていただいているので、直接プロデューサーの方と録ったのは「天使のゆびきり」だけなんですけど、相変わらず楽しくできました。やっぱり、カバーだともともとの作品を愛していることが多いので、楽曲の世界観に引っ張られてしまうこともあったんです。そんなフィーチャーや好きな気持ちもあるので、どうやって歌おうかな?と悩んだ時に、U-SKEさんがレコーディングで“Yun*chiっぽいのはこういうのじゃない?”“可愛さを出すなら舌足らずで歌ってみたら?”とか、一緒に話し合いながら録れたので、U-SKEさんと録れて良かったですね。

1曲目の「こいのうた」は、映画『たまこラブストーリー』の楽曲ですね。

映画ももちろんですけど、アニメも好きで。アニメで主人公のたまこのお父さんがたまこのお母さんに向けて歌った歌で、文化祭で歌うバンドのようなイメージなんですけど、“好きな気持ちは言えないけど、歌だったら言える”というのが衝撃的だったんです。しかもその曲を、映画では娘が恋愛をしていく中で歌っていたところに心打たれて。たまこのほうは女の子っぽい感じだけど、お父さんのほうはギターを搔き鳴らしたバンドサウンドなので、PandaBoYさんにはそういうところも意識していただいて、ギターを弾いてもらったりしました。PandaBoYもですけど、周りに『たまこラブストーリー』のファンが多かったので、歌う私もPandaBoYもプレッシャーでした(笑)。

個人的にハマったのは「おジャ魔女カーニバル!!」(『おジャ魔女どれみ』)で、もっと弾けたアレンジかと思っていたんですけど、tofubeatsさんのアレンジでゲームのようなカッコ良いサウンドになっていますね。

それぞれお願いしたアーティストさんたちは、ゆんが個人的にライヴを観させていただいて、カッコ良くて影響を受けた方々にやってもらっています。今は“ライヴでみんなで楽しい時間を過ごしたい”というのがあるので、そういうところをお伝えして、音はみんなそれぞれのいい部分を出していただきたくてお任せしていました。“こういうふうになるんだ!”ってびっくりさせてもらうことも多くて、プレゼントをもらったような感じでした。

このアニメ『おジャ魔女どれみ』のキャラクターデザインもした馬越嘉彦さんがCDのアートワークも手掛けていて、ジャケットにはYun*chi本人とふりかけさんが描かれているという。

そうなんです! ふりかけさんまで(笑)。馬越さんは『おジャ魔女どれみ』や『プリキュア』もそうですし、自分が小さい頃にお洒落を覚えた『ご近所物語』だったり、最近だと『蟲師』などさまざまなアニメを描かれているので、自分を描いてもらえるなんて!とすごく興奮しました(笑)。実際にお会いして自分の姿や性格をみてもらう機会をいただいたお陰で、躍動感のあるYun*chiにしてもらえたかなと。本当に、“生きてて良かったなぁ”って思いますね(笑)。

「Catch You Catch Me」(『カードキャプターさくら』)はポップで、Yun*chiさんの声に合っているなと思いました。

レコーディングの前は主人公のさくらちゃんのイメージがあったので、可愛く歌おうかなと思ったんですけど、みんなからの意見で大人っぽくしたほうが合うんじゃないかって言われて大人っぽく歌ったつもりなんですけど、いい塩梅で、女の子っぽくなったかなって。歌い方は結構悩みましたね…もはや、懐かしい(笑)。

いつ頃録ったのですか?

今年入ってくらいですね。でも、懐かしい感じがします。それぞれ、歌う前にアニメを観直したりとか、“このキャラが好きだったな〜”とかあったので。さくらちゃんに関しては熱が再加熱してしまって、グッズの缶バッジとかメモ帳も集めてしまいました(笑)。この曲は広瀬香美さんが曲を書かれていて、もともと小さい時に母親が歌っていたのを真似して広瀬香美さんの曲を歌っていたりもしたので、まさかこういうかたちで歌わせてもらえるとは思っていなかったのでとても嬉しいですね。

そういった思い出のアニメの中で、異色だと思ったのがSFアニメ『スペースダンディ』のオープニング曲「ビバナミダ」なのですが。

アニメとしてはカッコ良いけどヘンテコリンところもあるので、確かにそうかもしれない(笑)。このプロデュースは☆Taku Takahashiさんがやっているクリエイター集団のTachytelic®、Takuさんはもともと『スペースダンディ』に関わっていたのでやってもらえたらいいなって思って。

原曲を歌っているのは岡村靖幸さんですが、男性の方が歌われている曲を歌ってみていかがでしたか?

岡村さんはもともとすごく好きなアーティストさんなのでよく聴いていて、最近ではOL Killerさんとしてのイベントにもファンとして行かせてもらっていました。最初はちょっと戸惑ったんですけど、歌詞は男の人のちょっと女々しい内容というか、むしろ女の子が歌ってもいいんじゃないかという内容で…普段は自分で書いたり、思ったことをストーリーにしてもらうことが多いんですけど、人の書いたものを歌わせてもらうというのが難しかったですね。「ビバナミダ」もなんですけど、「こいのうた」も男言葉というか、男の人が女性に向けて歌っているので、そこは“Yun*chiが歌うとどうなるのかな?”と自分でも実験だったのですが、今までの経験だったりとか妄想力を働かせて歌ってみました。

今おっしゃっていたことですけど、Yun*chiさんが書いたり、Yun*chiさんのために書かれた言葉じゃない曲を歌っているのが新鮮ですよね。

それはすごくありました。作る時はいつも発音だったりとか、Yun*chiらしさを思いながら作っているんですけど、人の作品なので、言葉も大事にしつつレコーディングもしていましたね。そういう意味でも、U-SKEさんの力が大きかったです。“いつもだったらこういうふうに歌うじゃん”とかも言われたりして。アーティストさんが好きなことも多いし、アニメも好きだし…小さい頃から耳にしてきた曲は、歌い癖とかの魅力まで真似したくなっちゃう気持ちもあったりとかして(笑)。なので、そのバランスにはすごく気を使いましたね。

でも、どれも好きなアニメソングとクラブをうまく掛け合わせた、Yun*chiらしい仕上がりになりましたね。

結局、何かを好きな人ってオタクだと思うんですよ! “オタク”って言うとアニメや秋葉原のイメージが強いかもしれないんですけど、洋服オタク、音楽オタクがいたりだとか…そのアーティストのことが好きなファンの人もオタクだと思います。私も多分オタクだし(笑)。だから、そういうものを打破して、お料理作りじゃないですけど、好きなものと好きなものを混ぜたら美味しいものができた!というようなイメージです(笑)。

アニメソングの中でもいろいろなものがあって、聴いていて面白かったです。

実は、「桜キッス」(『桜蘭高校ホスト部』)は逆で、アニメのイベントに行ったらDJの方がかけていて、“何、このカッコ良い歌!”と思って、歌を調べてからアニメの曲だというのを知ってアニメを観たりとか…。そしたら、実は好きな声優さんが出ていたり。歌を好きになる時はそういうパターンが多くて、アニメだけではなく、そういう出会いもあったりしますね。Pas’Lam Systemさんは3人組の覆面のユニットなんですけど、女の子っぽいアニメが好きというイメージがあったのでお願いしました。アニソンのイベントってVJさんとDJさんの連携がすごくて、打ち合わせをしていなくてもそのアニメのVJが流れる早さ、さらにリップシンクをしていたりもするんですよ! そういうところがすごく楽しいので、観に来てほしいと思いますね。

今作のタイトルには、“アニ*ゆん”と付けられたわけですけど。

“*”(アスタリスク)には結び付けるというイメージもあるので、アニメソングとYun*chiを結び付けて、“アニ*ゆん~anime song cover~”というタイトルにさせてもらいました。さすがに、曲名にはいつもの“*”を付けられなかったので(笑)。

去年は初のワンマンライヴもして、アニメの楽曲を務めたりいろいろしたわけですけど、今年はカバーアルバムをはじめとした今後の活動にも期待しています!

今年もいろいろなところにいきたいですね! アニメカバーを持って海外はもちろん、日本のいろいろなところにも行って、みんなと楽しい時間を共有したいなと思います。

この楽曲たちがライヴで聴けるのも楽しみです。

この間のライヴでもやったんですけど、みんな知っている曲というのもあって一緒に歌ってくれたりしてすごく楽しくライヴができたので、もっともっと場所を広げてみんなで楽しくライヴできるように頑張りたいです。リリースの後は各地のアニソンイベントを回って初のツアーも行ないます。5月15日の渋谷Gladは、自分たちの主催でイベントをします。みんなに評価してもらえるといいな〜(笑)。

どのような反応が返ってくるのか楽しみですね。

どれも好きなアニメだったし、聴いてくださる方の中には好きな方も多いと思うので、そこは作る側としてもいろいろありました…でも、好きな気持ちと楽しむ気持ちを全面に込められたと思うので、一緒に楽しんでもらえるといいなと思います!
『アニ*ゆん~anime song cover~』
    • 『アニ*ゆん~anime song cover~』
    • CRCP-40401
    • 2015.04.15
    • 1800円
Yun*chi プロフィール

ゆんち:幼少期よりYUKIやCharaなどの女性シンガーに憧れ、積極的に音楽活動を始める。デビュー前からさまざまなアーティストの作品やコンピレーションアルバム等に参加するようになる。2012年11月ミニアルバム『Yun*chi』でメジャーデビュー。Yahoo!急上昇アクセスランキング2位(9月14日)をマーク、『ミュージック・ジャケット大賞2013』にて大賞を受賞。アメリカ・テキサス州オースティンで開催された音楽、映画、インタラクティブなどを組み合わせた世界最大級のフェスティバル『SXSW2016』や、ロンドン、ミャンマー、ジャカルタ、NY、マレーシア、台湾など世界各国で開催される大型イベントにも出演。国内のみならずイベントに出演を果たすなど、海外でも話題を呼んでいる。Yun*chi オフィシャルHP
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