【ニコラス・エドワーズ】ありのまま
の自分の喜怒哀楽が詰まっています!

全てオリジナル曲で構成された1stアルバムはハイトーンヴォイスの美しきヴォーカリスト、ニコラス・エドワーズの素顔に触れられる刺激的な一枚。22歳とは思えない地に足の着いた人生観と流暢な日本語に驚かされっぱなしだった。
取材:山本弘子

ニコラスさん自身が書き下ろした曲も4曲収録された全てオリジナル曲の1stアルバム『HARDSPICE』は、ロック、ダンス、ポップス、しっとりしたバラードとバラエティー豊かですね。どんなテーマで作ったアルバムですか?

今回は自分の人生のサウンドトラックのようなアルバムというか、この1〜2年思ったことや感じたことを何のフィルターも通さずに表現した内容になっています。嬉しかったこと、悲しかったことなどの喜怒哀楽をスパイスにして、全部ありのまま歌おうって。

ニコラスさん自身がまるごと出ているんですね。

はい。全てを込めて120パーセント、ニコラス・エドワーズ(笑)。人間、誰もが善と悪の両方の面を持っていると思うから、綺麗事だけを歌うのではなく、それでいいんだよってことを伝えたかった。喜怒哀楽を激しく表現しているからタイトルは“HARDSPICE”にしたんです。

そして、このアルバムは日本語版と英語版の2パターンが発売されるんですよね。分けた理由というのは?

日本という自分が選んだ居場所をリスペクトしつつも、自分が育ってきたアメリカの生活を否定したくはないから、家族に恩返しができることって何だろう?って考えたところもありましたね。せっかく英語と日本語が話せるので、同じ曲を日本語ならこう表現するけど、英語ならこう表現するって。でも、一番感じてほしいのは日本語と英語の違いではなく、大元にある心は環境や言葉に関係ないということなんです。たぶん、全ての人間が愛されたくて、愛したくて生きていると思うので、“気持ちは一緒なんだな”って感じてもらえたら嬉しいですね。ありふれた言い方ですけど、愛が全てだって想いで日本語と英語バージョンを作りました。

では、アルバムからいくつか曲をピックアップしたいのですが、「夢を力に」(英語版は「Diamond Hearts」)は希望や勇気が沸いてくるような躍動感のある曲ですね。

このアルバムのテーマみたいな曲ですね。いろいろな感情の起伏がある中、挫折しても、転んでも、希望の光は自分で見出すものなんだっていう。僕自身、歌を選んだことによって涙したこともあるし、苦しい思いもしましたけど、それこそが夢を追いかけていく意味でもあり、自分をより強くさせる過程でもあると思うんです。困難を乗り越えていこうとする自分の心境を歌った曲です。

「My First Love Song」はメロディーの美しい曲で、ニコラスさんの歌も温かさと愛情にあふれていますね。

これは自分の母親に向けて作ったラブソングです。僕が日本に旅立つ前夜…2010年の出来事なんですけど、実家の牧場の側にある丘の上に立って、夕焼けを見ながらポロポロ泣いていた母のことを思って書きました。距離は離れているけれど、心と心は通じ合ってるって。インディーズアルバムの中に収録されていた曲なんですけど、英語バージョンを聴かせたら、ポロポロじゃなく号泣してました。

故郷オレゴンの景色を思い浮かべて歌った曲ですか?

そうですね。地元や実家を離れている人なら似たような気持ちになったことがあるんじゃないかなって。この曲は僕の中では“喜”ですね。喜びというか、幸せな曲です。

ロックなテイストの「DRIVE」ではヴォーカルを歪ませていますが、この曲は“怒”ですか?

これは僕が歌詞と曲を書かせてもらったんですけれど、裏切られたり、傷付いたりした、幾つかの経験をもとに書きました。大切に思っていた人から裏切られたら悲しいし、怒りも伴うけれど、執着していたら結局、損をするのは自分だと思うんです。苦しみを繰り返さないためにもその人を許さないといけないし、その人を人生に迎えた自分のことも許して自由にしてあげなきゃいけない。経験を無駄にはしない。今に見てろよ!って歌で、これも過程を表現してますね。もっと強くなっていくんだ!っていうアンセムです。怒りは美しくないっていう人も多いと思うんですけど、我慢してると自分の中に闇を抱えてしまうと思うので、“バカヤロー!”って吐き出すことも立ち直るきっかけになると思うんです。僕は今まで高いキーで歌うことが多かったんですけど、この曲をはじめ、今回のアルバムでは低域を使うことが多かったですね。

ニコラスさんのいろんな顔に出会える一枚ですね。同じく作詞作曲している「恋しちゃったよ」(英語版「Gimme Some Love」)はモータウン風の跳ねたリズムのキュートでポップなラブソングに仕上がっているし。

ルンルンした気持ちの歌が1曲、欲しかったんです。

学生時代の恋がモチーフになっているのですか?

中学時代をちょっと思い出して(笑)。あの頃は深く考えもしないで、ただ無邪気に一緒にいるのが楽しかったけど、その気持ちがファンのみなさんの前で歌う時と似ているなと思ったのが、この曲を作るきっかけです。サビのかけ声もライヴを意識しているので一緒に歌って楽しめるといいなって。この曲は喜怒哀楽の“喜”と“楽”ですね。

他に新たにチャレンジした曲は?

僕が歌詞を書いて黒住憲五さんに曲を書いていただいた「あ・な・た」(英語版「B.A.B.Y.」)はちょっとエロい(笑)。男性の僕が女性に誓いを立てるようなR&Bテイストのラブソングで、アルバムの中で一番大人っぽい曲なんじゃないかと思います。アルバムはポップスをベースにジャンル的にかなりサウンドアプローチの違う曲が入っているんですけど、自分の声と歌い方でつなげていけたらなと思って作りました。

最後に、12月20日に六本木ブルーシアターで行なわれるクリスマスライヴはどうなりそうですか?

もちろんクリスマスソングも歌いますけど、真冬の寒さをものともしない熱い熱いライヴにしたいですね。
『HARDSPICE -BLUE- (English)』
    • 『HARDSPICE -BLUE- (English)』
    • EDCE-1020
    • 2014.10.08
    • 2700円
    • 『HARDSPICE -RED- (Japanese)』
    • EDCE-1019
    • 2014.10.08
    • 2700円
ニコラス・エドワーズ プロフィール

ニコラス・エドワーズ:1992年7月31日オレゴン州ヒルズボロ生まれ。外国語の授業で日本語を学び、14歳でJ-POPの魅力に目覚める。2011年、日本テレビ系列『のどじまんTHEワールド!』に出演し、第2回放送で優勝。以後、同番組には15回連続で出場し、3度優勝を果たした。13年、20歳でCDデビュー。18年11月、新たにユニバーサルミュージックにレーベルを移し、19年11月に最新シングル「Tears」をリリースした。ニコラス・エドワーズ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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