【高橋 優】光を探すのではなくて、
自分が照らせる闇を探す

メジャーデビューから数々の映画やドラマといった主題歌オファーを受ける、求められる存在、高橋優。気負いのない開放感に満ちたニューアルバム『今、そこにある明滅と群生』の、その“今”という素顔が、何を見据えているのかを訊いてみた。
取材:石岡未央

“音”だけど、“音楽”としては破綻し
ていってしまうような気がする

まず、アルバムが出来上がった感想を聞きたいんですけど。このジャケットに見える満面の笑みの着地ということ?

そうですね。作りたいやつを作れたという実感が持てるので、本当に嬉しいですし、リリースが楽しみです。

迷いを感じなくて、“これが高橋優です、今”ってシンプルに受け取れて。作れる楽しみみたいな余裕があったのかな。

はい。去年の武道館が終わったあとは、ありがたいことにすごく曲作り期間があったんですよ。そんな自由に曲を作らせてもらえる時に、自分に課題を課すみたいなのが楽しくなって。友達とよく会うようにするとか、そんな細かいところから音楽の面では、こういう言葉を言ってみるとか。だから、今までで一番余裕を持ってチャレンジできたアルバムですね。

オープニングの「BE RIGHT」は軽快なグルーブ感があって、すっきりした声で入ってきたなと。でも、“ノースコリア”とか、前なら躊躇したんじゃない?と思うワードが散りばめられてて…それもあってアルバム全体に感じたことだけど、各曲がやりたいこと、できることを凝縮した“直球”として飛んでくるなって。

直球のやり方を改めて自分で思い出して楽しんでいるところは、あったかもしれないですね。

「裸の王国」のあの掛け声の感じとかは、最初からの構想?

あれは、一緒にアレンジしてる池窪浩一くんのアイデアなんです。『裸の王様』というおとぎ話と今の日本を組み合わせたような曲なので、何が正しいのか分からないけど、大人数が足並みそろえて何かに向かって行進してる感覚は、曲を作った時点で僕にもあったんです。で、彼が“掛け声が入っている感じがする”って、ああいう仕上がりに。歌詞は何かを揶揄しているじゃないけど…

皮肉たっぷりだもんね(笑)。

歌詞だけ見るとそんな感じがするじゃないですか。だから、音の面ではできる限りそれをポップに、ライトな感じにしていったという…この曲に限らずですけどね。

全体的に特技とも言える斜め目線が満載で、ちょっと面白くて(笑)。だけど、妙な緊迫感はまったく感じないね。

音楽を楽しみたいというのがずっとあるんですよね。歌詞だけにこだわって頭でっかちになっちゃったら、それも“音”だけど、“音楽”としては破綻していってしまうような気がしていて。僕が救われた音楽というのは、歌詞や内容は重要じゃなくてもメロディーラインに励まされたり、バンドサウンドが単純にカッコ良くて好きになったものもある。意味のあるものにはしたいけど、スッとライトに聴こえて、手拍子したくなったり、ライヴで一緒に肩を揺らしたりできるようなサウンドを作りたいなというのを心掛けていましたね。

「犬」が、すごく好きなんだけど。完成度高いよね。

ありがとうございます。「犬」みたいなのは、そう言ってもらえるとすごい幸せです。

何気に豪華なアレンジで、緻密に計算されているなと。

めっちゃ頑張りました(笑)。サビのメロディーラインはあったんだけど、バンドで“どういうイントロがいいだろう?”ってとこから、すごい考えて。やっぱり曲の世界観に入ってきてほしいし、でも押し付けがましくなく耳に残るメロディーがいいなって何パターンも考えたんです。この曲を緻密と言われて褒められた気持ちになるのは、それくらい一生懸命…時間かかりました。

(笑)。ちょっとループっぽく跳ねた感じのピアノが入ってるじゃない。あの音色の感じ…いいよね。

イントロのメロディーがずっと…ですね。「ヤキモチ」も「同じ日々の繰り返し」も「WC」もわりと同じフレーズが繰り返されるじゃないですか。それが耳に残ったらいいなって。

残ってますよ(笑)。あれで、全てが活きている気もするね。

リズムとかドラムパターンとかリフとかループ、同じメロディー、それって口ずさめたりするとすごい楽しいじゃないですか。そういうのをイメージしたんですよね。子供でも“パーパラッパ”とか言えちゃう感じ。「BE RIGHT」だったら“ダッダッダッダー”って言える。そこだけが残ってもいいって。「犬」に関しては、まさしくそれをやりたかった。

で、「ヤキモチ」。なんか作家能力の幅というのがこういうところに出てくるなと思う。激しく攻めてきて、どちらかと言うと扱いにくい男の子みたいな感じなんだけど、そっとやさしさというか、素朴な顔を出すのがズルいよね(笑)。

こっちも表現しておかなければいけないというか、切り離せない一面なんです。どん臭かったり、時に不快な気持ちを与えるかもしれない良くない部分も自分にはある。取るに足らない内容に自分の中で大事にしてきたメロディーを乗せるというのは楽しいんですよね。

進化し続けていく一面とベーシックがブレずに二面性で共存しているところは、相変わらずの魅力だね。そして、「明日への星」ですが、ちょっとフォークっぽい。

最初は弾き語りがいいと思ってたんです。でも、池窪くんがすごいこの曲を愛してくれていて。“絶対こうなるべきなんだ”というのを僕の前で熱弁してくれたんですよ(笑)。自分の楽曲をそんなに熱く聴いてくれる人が側にいるっていうのは、すごく幸せなことだと思って。他の楽曲は逐一立ち止まって何時間も話していろいろと試すんですけど、これはちょっと預けてみようかなって。そこから“こういう感じがいい”って調整してくやり方でしたね。

OKMusic編集部

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