ヴォーカルブースに入っている間は い
つも幸せな気持ちでした
今回、歌に関してはいかがでしたか? 曲ごとにさまざまな表情が見えていますが。
レンジが広いから難しい曲が多かったんですよ。上下によく動くメロディーが多かったので、“大変や~”ってレコーディングの時によく言ってました。でも、新しい曲を歌えることは本当に嬉しいことなので、ヴォーカルブースに入っている間はいつも幸せな気持ちでしたね。
今年の元旦に1度だけ放送されたaikoのCMで使われていた「距離」では、すごく艶っぽいヴォーカルを聴くことができますね。
この曲はロングトーンが多いので、声がブレないように、強すぎず弱すぎず、ちょうどいいところを探りながら歌いました。何回も歌ってみることで、“あ、こうやって歌ったほうがいいんやな”って、ちょっと客観的に自分の歌を眺めてみる感じで。
「透明ドロップ」は男性目線で綴られた歌詞がすごく切ないのに、ロックなサウンドでワクワクさせられてしまう感じでした。aikoさんが楽しそうに歌っている姿が目に浮かんできましたし。
好きな人に“さようなら”と言われてしまったんだけど、まだ受け止められない歌です。男の子の目線で書いてるんですけど、私が思ったことですね。ほとんどイントロがない曲でテンポもそんなに速くないんですが、ブリティッシュサウンドで、ライヴでみんなで盛り上がれるような曲になったと思っています。歌に関してはサビの畳みかけるような歌の部分が気に入っていますね。ライヴでみなさんと一緒に歌えたらいいなと思っています。
「大切な人」ではやさしいサウンドに寄り添った温かなヴォーカルが心に染みました。
歩く時のテンポに合うような、こういう曲が私は大好きなんですよ。なので、歌うのもすごく楽しかったです。感情の我をあまり出さないように、でも箇所箇所では感情をしっかり込めながら、全体的にやさしく歌いましたね。
ラストの「卒業式」では、切なくも温かいaikoさんの歌声に、自分の卒業式のことを思い返してしまいました。
私も自分にとっての“あの時”のことを書きたいなと思って作ったんですよ。学生時代って、いつ思い出しても切なくなるし、温かい気持ちになるんですよね。メロディーもアレンジもシンプルなので、歌い方も牧歌的なイメージの中に自分の想いを込められるように歌いました。みなさんが自分の卒業式と重ね合わせて聴いてくれたら嬉しいです。
素敵な楽曲がたっぷり詰まった本作に、aikoさんは“泡のような愛だった”というタイトルを掲げました。かなり吸引力のあるネーミングですよね。
アルバムのタイトルって毎回、すごく悩むんですよ。いろんな表情を持った13曲をひとつにまとめる代表の言葉やから、負のスパイラルに陥ったら出てこなくなってしまうことがあって。でも、今回はフッとこの言葉が浮かんだんですよね。あまりにすぐ出てきてしまったので、恥ずかしくて周りのスタッフにもなかなか言えなくて。撮影中の楽屋で着替えてる時にサラッと言ったんですよ。いきなりすぎてみんな“え? へぇ”っていうリアクションでしたけど(笑)。
あははは。この言葉がいいなと思えた理由は?
すごく切ないなと思えたんです。切ないということが自分の中でのテーマでもあるので、そこにマッチするなって。あとは、泡が持っている儚くて、柔らかくて、やさしいイメージが、いろいろな愛のかたちに当てはまるなとも思ったんですよね。今回は“サイダー”というタイトルの曲があったり、《炭酸水》とか《渦になって》っていう、泡が頭に浮かぶ曲が多かったりもするので。聴いてくれた人がアルバムの中のいろいろなフレーズと自分の中の何かを重ねて切なくなって、そしてまた頑張ろうって思ってくれたらいいなって思いますね。
間もなくスタートする全国ツアー『Love Like Pop vol.17』も楽しみです。
私もすごく楽しみです! 新しい曲を歌えるのは本当にワクワクするので、楽しいことばかり考えて初日を迎えたいと思います。
・・・
『泡のような愛だった』2014年05月28日発売PONY CANYON
- 【初回限定仕様盤】
- PCCA.15011 3146円
アイコ:1975年、大阪生まれのシンガーソングライター。98年にシングル「あした」でメジャーデビュー。3rdシングル「花火」が大ヒットを記録し、全国区で注目の存在に。等身大の目線と心情で描かれた恋愛における微妙な女心が多くのリスナーの共感を呼んでいる。aiko オフィシャルHP