【水樹奈々】フリーダムを超えた先に
ある自由を手に入れたアルバム!

昨年はT.M.RevolutionとのコラボでNHK『紅白歌合戦』に5年連続で出場するなど、幅広い活動で話題を集めた水樹奈々が、1年4カ月振りのアルバムをリリース。次のステージに向け、さまざまなチャレンジが込められたアルバムになった。
取材:榑林史章

水樹自身の作詞作曲はメタルにチャレン

ニューアルバム『SUPERNAL LIBERTY』は新しさがありつつ、これまでの流れもしっかりあって、タイトル通りの非常にバラエティーに富んだ作品で。T.M.Revolutionさんとのコラボなど、昨年の多彩な経験が反映されたものになりましたね。

昨年は私にとって、物作りに対してより積極的に突き動かされるエネルギーをたくさんいただいた1年で…。その濃密な時間があったからこそ生まれた作品だと思っています。昨年はまずオーケストラ・ライヴに始まり、座長公演、夏の全国ツアー、西川さんとのコラボ、初の海外公演…とスペシャルな経験から刺激をたくさん吸収し、自分の声と融合して生まれる科学反応をたくさん体感しました。そうした融合、刺激、感情の解放を感じるたびに、早く新曲が作りたい!という衝動が沸いて。本当にいいテンションで、制作に臨むことができました。

1月の『NANA WINTER FESTA 2014』でいち早く披露していた、「Ladyspiker」も収録されていますね。マイクスタンドを使ったパフォーマンスが印象的でした。

すごくカッコ良い歌謡ロックだったので、いつもとは違うパフォーマンスができたらと思いました。マイクスタンドの使い方は、サポートバンドのチェリーボーイズのみなさんからレクチャーしていただいたのですが、最初は重くて持ち上げるのも大変で(笑)。様になるまで、すごく練習しました。

歌い方はちょっと悪っぽいというか、巻き舌っぽい雰囲気で、それがすごくカッコ良くて新鮮に聴こえました。

斜に構えて、低音を響かせるイメージで歌いました。実は今作には大きなテーマがあって。それは“レトロ&フューチャー”。昔からある素晴らしいものと、現在の多様性を持ったさまざまなジャンルの音楽が融合したら、きっと新しいものが生まれるんじゃないかと。ただ、それを実現させるためには、核にシンプルで力強いメロディーがなければならない。そこで突き詰めていった結果、歌謡曲のようなメロディーに辿り着きました。それで、どことなく昭和感が漂う曲が自然と多く集まって…なので、裏テーマは“昭和”です!(笑)

昭和感で言うと、水樹さんが作詞された「哀愁トワイライト」は曲調も歌詞も、まさにという感じですね。

はい! デモを聴いた瞬間、演歌のような悲恋に身を投じる、日陰の女性のイメージが浮かんで(笑)、タイトルもひと目見て昭和のムードが漂うものがいいと思って考えました。情熱的だけれど切なくて、燃え上がっているのに寂しさが漂う…そんなもどかしい温度感を表現しています。今回作詞した楽曲は、どの曲もスッと言葉が出てきて、作業がすごくスムースでした。

唯一苦戦されたのが、水樹さんの作詞作曲による「アパッショナート」だそうで。アレンジがすごくアグレッシブですね。

今回、三嶋プロデューサーから“メタルにチャレンジしたら?”と提案があって。作曲するジャンルを指定されたのは初めてでしたし、しかもメタル! いろいろな曲に触れて、野性味あふれるエネルギーを放出できるようにとお肉をいっぱい食べてみたり(笑)、いろいろ試してもなかなか降りてこなくて。

では、何が突破口を開いたのですか?

メタルの曲を聴いていく中で、メロディーラインがどことなく歌謡曲に通じるものがあることを発見して、そこから開けていきました。だからと言って、そこだけをピックアップするのではつまらないので、私らしいチャレンジを採り入れてみようと思って。そこで、オープニングはギリシャ神話の神々が浮かぶような壮大な雰囲気で、メロディーはオリエンタルなムードに。さらに、北欧や南米の民族楽器も取り入れました。

歌詞はメタルの力強さもあってか、すごくパワフルでメッセージ性の強いものになっていますね。

アルバムのタイトルに寄り添ったかたちで書けたらいいなと思いました。アルバムの制作にあたって、“リバティー(=自由)”という言葉が最初に浮かんで…リバティーは、フリーダムよりさらに上の自由を表す言葉で、それは抑圧された状態から自由を求めるのではなく、すでに自由な状態からさらに解放された、その先にある自由で…。自分の中には無限の可能性が広がっていて、それを解放することで、素晴らしい未来に出会えるんじゃないかなって。 “自分を信じて突き進め!”という、メッセージを込めました。これは私自身の経験でもあるのですが、以前は“これが自由な状態だ”と思い込んで、その枠の中で自由になっていただけだったんです。でも、その枠を取り去った先に、もっと大きな自由があると気付けたのは、3年前に自叙伝を書いたことがきっかけでした。本当の意味での解放を知ってからのこの3年は、音作りや表現することがどんどん楽しくなって…。そんな中、去年の活動で得た融合や刺激が大きなエネルギーになり、これからもっと新しいことが始まりそうだ、と気持ちが高まっていたところでの制作でした。そんな私自身の体験を通してのメッセージが、みなさんにとっても応援ソングになるとすごく嬉しいです。この時期、新生活を始められた方がたくさんいらっしゃると思うので、“よっしゃ、やってやるぞ!”と立ち上がる時に、ぜひこの曲をお供にしてください!

OKMusic編集部

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