【布袋寅泰】『【BEAT 8】Climax Em
otions ~35 Songs from 1981-2016~
』2016年12月30日 at 日本武道館

取材:帆苅智之

 2016年はライヴハウスツアーに始まり、『GUITARHYTHM伝説’88~ ソロデビュー再現GIGS』、故郷・高崎でのフリーライヴ、東北ツアー、米国でのライヴ、『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO』出演、そしてホールツアーと、土地や会場のキャパシティー、ライヴスタイルにとらわれることなく、凄まじいスピードで世界を駆け抜けた布袋寅泰。その“35周年アニバーサリープロジェクト”の最終章である本公演もその2016年を象徴するかのような、ジェットコースターさながらの疾走感あふれるライヴとなった。

 35年間の活動を自身のレパートリーから35曲を厳選。それらをメドレーに入れ込むのでなく、しっかりと1曲ずつ披露するのだから半端じゃない。びっしりと会場を埋め尽くした観客もその布袋の心意気に応え、オープニング…いや、それ以前、影アナの時点から大声援を送り、ステージのパフォーマンスに喰らい付く。BOØWY、COMPLEXを含めて、誰もが知るヒットチューンのオンパレードなのだから、毎曲、イントロが鳴れば“おーっ!”、サビのリフレインでは大合唱orコール&レスポンス。“ここからリズムを落としてやってみたいと思います”と布袋のライヴ史上初めての試みとして観客に着席を促した中盤以外は、ずっと踊りっぱなし、歌いぱなし、叫びっぱなしの3時間半だった。オーディエンスも流石だったが、やはり布袋寅泰の鉄人っぷりには脱帽させられた。35曲を歌い続け、ギターを弾き続け、あの脚を上げる独特のダンスもアンコールの最後まで披露。“40周年の時は40曲やるとは言わないようにする”とおどけていたが、本公演を観る限り、50周年の50曲も夢ではないと思ったのは筆者だけではあるまい。

 余談だが、最後に私見をひとつ。この日、日本武道館で披露されたのは35曲。BOØWYの盟友、氷室京介が2016年5月に開催した『KYOSUKE HIMURO LAST GIGS』で披露したのも35曲だった。すでにご存知の方も少なくないだろうが、ヒムロックがそのライヴで最後に歌った「B・BLUE」を布袋はこの日、2曲目に演奏している。また、ヒムロックのラストライヴの1曲目「DREAMIN'」を布袋は本編のラスト前、29曲目に配した。さらには「CLOUDY HEART」をヒムロックは12曲目に、布袋は16曲目と、いずれも中盤に置いている。この程度のことで“布袋から氷室へのサイン”などと言うつもりはないが、同時に活動をスタートさせたふたりがそのキャリアを総括するとなると、ライヴを盛り上げなくていけない位置(オープニングとラスト)や中盤に置く曲が不思議と符号するのは何とも微笑ましい。BOØWYからそれぞれのソロを見てきた者にとってはちょっと嬉しい発見だった。

セットリスト

  1. SUPERSONIC GENERATION
  2. B・BLUE
  3. RADIO! RADIO! RADIO!
  4. BAD FEELING
  5. BE MY BABY
  6. CIRCUS
  7. DANCING IN THE PLEASURE LAND
  8. さよなら アンディ・ウォーホル
  9. CAPTAIN ROCK
  10. 命は燃やしつくすためのもの
  11. StereoCaster
  12. YOU
  13. ANGEL WALTZ
  14. 薔薇と雨
  15. ハウリング
  16. CLOUDY HEART
  17. MILK BAR P.M.11:00
  18. UPSIDE-DOWN
  19. GOOD SAVAGE
  20. BEAT EMOTION
  21. PRISONER
  22. さらば青春の光
  23. バンビーナ
  24. POISON
  25. スリル
  26. MERRY-GO-ROUND
  27. MARIONETTE
  28. 恋をとめないで
  29. DREAMIN’
  30. FLY INTO YOUR DREAM
  31. <ENCORE1>
  32. 8 BEATのシルエット
  33. RUSSIAN ROULETTE
  34. GLORIOUS DAYS
  35. <ENCORE2>
  36. NOBODY IS PERFECT
  37. LONELY★WILD
布袋寅泰 プロフィール

ホテイトモヤス:日本屈指のロック・ギタリスト兼シンガー。1988年、氷室京介をも擁したBOØWYを解散。同年、アルバム『GUITARHYTHM』でソロデビューを果たす。この求道的なスピリットに満ちた硬派ロックアルバムは、当時としては珍しい全編英詞による極めてアーティスティックな作品であった。翌89年には吉川晃司とCOMPLEXを結成し、1stアルバム『COMPLEX』をリリース。計2枚のアルバムを残し、90年に惜しまれつつ解散。その後、ようやく実質的なソロキャリアをスタートさせ、「ビート・エモーション」「さらば青春の光」「スリル」「ポイズン」と、作家性と大衆側に接近したポップ性が見事に同居した楽曲を続々とリリース。ストイックなロックミュージシャンであると同時にヒットメイカーとしての才能も開花させていった。布袋寅泰 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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