【片平里菜】女の子が女性になってい
く過程を描きたかった

自分の心と素直に向き合うシンガー・ソングライターの片平里菜の2ndシングル「女の子は泣かない」は、今を生きる女の子を励ます楽曲。悩み、もがく姿を隠さない彼女が発するメッセージだからこそ真っ直ぐに届いてくる。
取材:桂泉晴名

「女の子は泣かない」、力強いタイトルですね。

昨年の春頃にこのタイトルで楽曲を作ったのですが、それは憂鬱な気持ちを持った女の子が主人公だったんです。スタッフさんに聴いてもらったところ“タイトルはすごくいいけれど、ちょっと暗いかな。もう少し明るく弾けた曲を書いてみたら?”という提案を受けて。その後、友達と会って彼女たちが考えていることや悩みを聞いていたらイメージが広がって、ふっと書けたのがこの「女の子は泣かない」です。

1番の詞は不安定な恋心についてですが、2番は《慣れないことに 追われる毎日は》といった“日常でぶつかる壁”に触れていて、内容が変化していくことが新鮮でした。

失恋を描きたかったのではなく、“女の子の涙”というテーマで曲を書きたかったんです。たとえ失恋しても、そこから前を向いてひたむきに頑張っている女の子の姿を伝えたかったというか。一曲を通して女の子が女性になっていく、という過程がラストのサビで見えたらいいなと思っていました。

アレンジはデビュー曲「夏の夜」と同じくaikoさんやいきものがかりで知られる島田昌典さんが手掛けられていますね。

この「女の子は泣かない」も「夏の夜」と同じ時期にアレンジをお願いしたんです。デモ段階ではアレンジのイメージがほとんどなかったので、島田さんから返ってきた時、“こんなキラキラしていた曲なんだ”と驚きました。アコースティックギターだけだと少し切ない響きなので、“こんなポップで普遍的な曲なんだ”と再発見した気持ちです。

2曲目の「Hey boy!」は詞の中に《消火栓をなぐって》といった表現があるように、強気の女の子が主人公ですね。

私が女性シンガーにハマるきっかけはアヴリル・ラヴィーンなんですけれど、挑発的でポジティブな歌詞がとても好きで、そういう曲を作りたいなと思っていました。実際この曲は何気なく弾いたコードに歌詞を乗せてみたら面白いかと思って、そこからすぐにできたんです。消火栓をなぐるというシーンは、高校生の時に同級生がやっていて、私もそれをちょっと真似したことがあるなと思い出して(笑)。

片平さんは自分からアプローチはしないタイプですか?

自分からはいかないです。たぶんプライドの高さがこの曲に表れているんじゃないかと(笑)。もともとは消極的だけれど、自分の中に「Hey boy!」の主人公のような挑発的な子がいることは確かですね。歌っていて気持ち良いですし。

3曲目の「ironic」は明るいメロディーなのに、詞は絶望感に彩られていて。自分自身と向き合う楽曲だと感じました。

19歳くらいの時に書いた曲で、自分の気持ちをここにぶつけていました。今はいろいろな視点から物事を見て曲を書くことに関心があるんですけれど、この時は自分の感情をいかにして曲に落としていくかが大事だったので。聴き返すと葛藤めいていて、面白い歌詞だなと思います。

19歳当時と今は視点が変わっているということですが、「ironic」の詞を改めて変えようとは思わなかったのですか?

作った当時は何回も書き直しましたが、その後はまったく直していないです。書き直そうと思っても、できないんですよ。歌も録り直そうかと思ったんですけれど、やっぱり当時の生々しい感じは残したかったので。直してしまうより、これはこのままでいいんだな、と思いました。

「ironic」は特にギターのインパクトが強かったです。

この曲はギターリフ、コードから先に出来上がって、カッコ良い曲になりそうだなと思い、そこから歌詞を付けました。グランジ寄りの音楽を目指そうと思ったけれど、最終的にはUKっぽくなった感じがあります。「ironic」ができて、その後「女の子は泣かない」という曲が完成した時に、両極端な感じが面白いなと思って。“いつかこのふたつを同じシングルに入れたい”という話をスタッフさんに言っていたので、今回実現できて良かったです。

ラストの「ぺんぺん草」はお母さんが主人公ですよね?

そうなんです。ある日、母がぺんぺん草を摘んできて、水差しに差しながら、“ぺんぺん草ってかわいいねぇ。今度、ぺんぺん草で曲を作って”と言うから“じゃあ作る”とその時は軽く受け止めていたんです。その後、ちょっと作ってみたら意外とかたちになって。でも、どうしても母のイメージから離れられなかったので、これは母の曲にしよう、と。

《単身赴任の父は今日はいない》《だけど今日も父の布団を敷いている》という詞が泣けます。

そう言ってもらって嬉しいです。母はまさか自分の曲になるとは思っていなかったから、“この曲、誰にも聴かせないで。せめて布団を敷いているエピソードはやめてー”って恥ずかしがっていますが(笑)。母がわざわざ布団を敷くのは、隙間ができると寂しいからみたいなんですけれど。

その日常的な風景を描いた後に《あなたに全てを捧げます》という言葉がつながっていて。お母さんのかわいらしさ、お父さんを大切に思う気持ちがじんわり伝わってきます。

結構、尽くしてしまうタイプの母なので。ぺんぺん草の花言葉を調べたら、“あなたに全てを捧げます”という言葉だったんですよ。“ああ、これはお母さんだな”って感じて。

そして、来年1月から初ワンマンツアーが控えていますね。

ニューシングルの“女の子は泣かない”というタイトルに連動して“女の子は泣け、笑え、叫べ”というタイトルのツアーなんですけれど、ライヴなので私もお客さんもお互いに感情を吐き出し、それをプラスに変えていけたら、と思います。

片平さんと言えば弾き語りが思い浮かびますが、ギターに関して今後どんなことを試みたいですか?

エレキにも挑戦してみたいと思っています。曲作りもまた違うものができるかもしれないし。もっとリズムを意識しながら曲が作れると思うので、チャレンジしてみたいですね。
「女の子は泣かない」
    • 「女の子は泣かない」
    • PCCA-03959
    • 2014.01.15
    • 1260円
片平里菜 プロフィール

カタヒラリナ:1992年生まれ、福島県福島市出身の女性シンガーソングライター。高校3年生の09年に音楽活動を開始。13年1月、配信限定シングル「始まりに」をリリース。同年8月、シングル「夏の夜」でメジャーデビュー。14年1月にリリースした2ndシングル「女の子は泣かない」は、オリコン週間ランキング初登場18位を記録した。そして、同年8月に待望の1stアルバム『amazing sky』を発表。片平里菜 オフィシャルHP
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