L→R DJ GEORGIA(DJ)、JUN(MC)、SHIN(MC)

L→R DJ GEORGIA(DJ)、JUN(MC)、SHIN(MC)

【CLIFF EDGE】デビューして5年とい
う年月があってこその制作だった

CLIFF EDGEらしくありつつも、新しいアプローチが満載…そんな印象を受けたニューアルバム『PLATINUM HEARTS』。前ミニアルバム『Diamond Stars』の制作で手に入れた武器を活かして作り上げた、第二章の幕開けを飾るに相応しい作品となっている。
取材:石田博嗣

いいアルバムができましたね。CLIFF EDGEらしくも、すごく変わった印象を受けました。

JUN
ありがとうございます。第二章という意識はずっと頭の中にありましたし、何より前作の『Diamond Stars』で外部のプロデューサーさんに曲を作ってもらって、それぞれの方の自宅スタジオとかに行って機材を見たり、もしくは制作の過程を見たりしたことで、自然と刺激を受けて“早く曲を作りたいな”っていう気持ちに返れたのが大きいですね。デビュー当初の気持ちに戻れたところがあります。“そういうやり方をしたらこういう音になるんだ!”ってのを見ると、“俺だったらこうしたいな”とかアイデアが沸々と浮かんできますからね。

実際の制作作業はどうでしたか?

DJ GEORGIA
僕が突き詰めてるダンスミュージック的な部分が肝のひとつに絶対なってくると思ったんで、いつもなら聴きやすさを考えて作っている部分を、逆に自分が本当に今カッコ良いと思ってるものを入れようって。ふたりが入ってくることでのケミストリーで聴きやすくなる…それこそ『Diamond Stars』でいろんなプロデューサーさんとやったことで、ふたりが持っているものを俯瞰で見れたので、ふたりが歌ったらCLIFF EDGEの世界観になるっていう安心感があるんですよ。それが明確に分かったんで振り切れたというか。
SHIN
CLIFF EDGEの中でのひとりひとりの役割ってあるじゃないですか。それぞれが持ってる濃さを詰め込んだ感じがしていて。DJ GEORGIAが言った通り、聴きやすさを意識するよりも自分の好きなもの、自分のやりたいことをどんどん詰められた気がしますね。俺の場合だとラップなんですけど、『Diamond Stars』で6人のプロデューサーさんと制作する中で、いろんなリズムでラップしてみて、新しいフローも増えたし、声色も変えてできたので、そういうものをそのまま今回のアルバムに入れ込めた感じがしていて。やっぱり今まではバランスを気にしてたりしてたんですよ。でも、今回はそうじゃなくて、ラップで遊んだなっていう感覚がすごくありますね。初期衝動で向かえたアルバムだなって思います。
JUN
ただ、みんなには自由にやってもらいたいし、自分も自由にやりたいっていう気持ちはありつつも、“進化ってなんだろうな?”っていうのは常に考えてて。やりたい世界観だけに潜り込んじゃったっていうのだけはしたくなかったんです。よりポップスを研究していって、その中でそれぞれが持つ良さっていうもので化学反応を起こしたいって思っていたというか…でも、そこは何も言わずともそれぞれがセンスとして持ってましたね。だから、各々が自由にやったところで濃くならないっていうのは、まさにCLIFF EDGEの良さだなって。それは自画自賛ってことではなく、デビューして5年という年月があってこその制作だったなって思います。

そんな本作は幕開けの「Opening ~Time has come ~」から壮大で、まさに第二章が開かれたという感じですね。

DJ GEORGIA
まさしくそうですね。僕、結構映画を観てイマジネーションで曲を作ったりするんですけど…これが1曲目になるって決まってなかったんですけど、第二章の中に入って恥じないものを作ろうっていうバイブスだけで作りましたね。で、JUNくんが“これめっちゃいいじゃん、1曲目に持ってこようよ”って言ったのが結構革命で。僕らのアルバムで1曲目がリードソングじゃないって初めてなんですよ。

あ、そうですよね。そして、そのあとに続くのが「キミからの贈り物」。これは映画『ノー・ヴォイス』主題歌なのですが、映画ありきで作った曲になるのですか?

JUN
そうです。最初にオフライン状態のものを観せてもらって書き下ろしました。犬の愛護がテーマで、捨てられたペットの行く末は…っていう映画なんですけど、その問題は以前から知っていたので、それについて書き下ろそうとした時に、ペットに限定しなくてもいいなっていうふうに思って。隣にいる人だったり、いつも近くにいる人って、その存在だけで幸せじゃないかって改めて説き直した曲です。

本作でもっとも興味深かったのが、THE YELLOW MONKEY の「JAM」をサンプリングしてリメイクした「JAM~絶望の夜を越えて~」でした。

JUN
本当にこの曲が好きで、高校生の時からこれまでに何百回歌ったかっていう。メッセージっていうか、何を言いたいかっていう部分で、吉井和哉さんのおっしゃってることを的確には捉えられてはいないかもしれないけど、僕らなりの「JAM」になってます。世の中に矛盾を感じることってたくさんあって、そこに憤りを感じることもあるし、焦ることもあって、そういうものを嘆いているというか。トラックももっとこっちの世界観に寄せたものでやってみたり、熱量が低くてほんわかしたアレンジでやってたんですけど、“やっぱりこれだ!”ってガラッと変えましたね。

リリックの部分は原曲のイメージがありつつ、自分たちのメッセージを取り込んでいった感じですか? 原曲の言葉がフックになってるというか、《僕らは強く》というフレーズは、まさにCLIFF EDGEがずっと歌ってきたテーマでもありますよね。

JUN
そうですね。サビの《夜を越えて》とか引用できるところはしたんですけど、バースとかそれ以外の部分は完全に自分たちの言葉ですね。自分たちの身の回りに起こっていることを書きました。
SHIN
羨ましがることは悪いって言われたりするけど、でもみんなそうだろうし…そういうところを突いてる気がしますね。人を攻撃する言葉でもあるし、自分にも言ってるっていう。

続く「LIFE」はハートフルなトラックでメッセージが立ったCLFF EDGEらしい曲ですね。

SHIN
上がったり下がったりの人生の中で振り返ってみると、成長した瞬間って誰かが隣にいたと思ってて。そんな大切な人に歌ってます。メンバーがいることで助かったっていうのもありつつリリック書いてるんで、メンバーに歌ってる部分もあったりするので、より温かみが出たのがその辺なのかなとも思います。ごく些細な幸せだったりに気付いてもらえたらって。小さなことに気付かせるのが俺らの役割なのかなとも思ってて…それは恋愛に関しても、応援ソングでも。そういうのは大事にしてますね。大事な人と海沿いを車でドライブしながら、さらっと聴いてもらえると嬉しいですね。

「SSS」はDJ GEORGIAくんが言っていたクラブでのビートをCLIFF EDGEのポップスに落とし込んだ曲ですね。

DJ GEORGIA
そうですね。自分で舵が取れる分、どの程度やっていいのかって迷ったけど、バースの部分は振り切りました。まさしく2013年に流行ったEDM みたいな。でも、ライヴをしてる絵がちゃんと見えるものにふたりがしてくれたんで、そこはさすがだなと。そのままパスを出しても不安のない仕上がりにしてもらえる。
JUN
とにかくトラックがカッコ良かったんで、そのカッコ良いところを押し出した…そこでCLIFF EDGE のいつもの化学反応を起こせないかなって考えた時に、やっぱりサビのメロディーだなぁと。これは絶対に新しいものできるって確信しながら進めていきましたね。
SHIN
サビでJUNが付けたメロディーがすごいポップだったので、ラップは好き勝手やっちゃおうと思って、デビューする前にクラブでやってた頃みたいに、ちょっとコアな感じのラップを乗せちゃってもいいやってやりました。

今作にも中村舞子さんとのコラボ曲があるのですが、今回の「Angel feat. 中村舞子」はどんな流れで舞子さんと?

JUN
“この曲は舞子ちゃんいいかもね”っていうところから始まりましたね。今までにいろんな曲をやってきましたけど、今回は“切ない”っていうテーマがありつつ、健康的なアッパーチューンでやろうって。だったら舞子ちゃんがいいかなと。この曲は応援歌なんですけど、恋する女の子を応援してるんですよ。それって実は初めての試みで、女性アーティストがやるようなことを僕らがやってみたっていう。男が男に励ます時と、女性に励ます時って全然違うだろうし。これも次の作品とかに生きてきそうな制作でしたね。
SHIN
これは試されましたね。女の子って恋をするときれいになるって言うじゃないですか。逆に言うと、きれいにしてあげるのは男だと。自分の彼女に問いかける感覚で書きました。

3組のアーティストとコラボした「Neverending Memories feat. デジカット, KingrassHoppers, BIRTH」は?

JUN
東名阪の後輩グループを集めたんですけど、昔からこういう男のラップチームが集結したような曲がやりたくて。男って“一位になりたい!”みたいな気持ちがあるから、それぞれを意識するし、一番目立ってやろうって思う。そういう意識ってすごく大切ですからね。お互いがグググッて高まり合うし。みんな一番目立とうっていう気持ちを持ってましたね。
SHIN
俺らも同じ夢追い人だし、それぞれのリリックを読んでると全部分かるなぁって。同じチーム内でもくだらないことで意地を張ってたり、ぶつかり合ったりして、本当“素敵な青春してるなー、みんな”っていう感覚を得ましたね。すごくいい曲に出来上がったんで、夢追い人全てに聴いてもらいたいなって思います。

「さぁ手をつなごう」はSHOWさんと一緒に作ったのですか?

JUN
SHOWくんが全て作った感じですね。詞はラップのところをSHINが書いてるですけど、僕は歌い手のみに徹したというか。それは初めてのことで、そういうのも面白いなと思って。最初にデモを聴いた時に“うわー、いいなこの曲”と思って、やりたいって話をしつつも“これ、CLIFF EDGEとして成り立つかな?”って気持ちもあって。でも、“こういうかたちだったら成り立つかも”ってやっていって…結構時間をかけて作りましね。結果、CLIFF EDGE史上一番のバラードになりました。

で、最後が「Change Myself」。これはもう、CLIFF EDGEがずっと歌ってきたメッセージですよね。

JUN
迷いながらでも壁を乗り越えていくっていうのは、ずっと歌ってきたことですからね。「NO LIMIT ~勇気をキミに~」だったり、「DREAM 〜未来を信じて〜」だったり、いわゆるCLIFF EDGEの王道応援歌のひとつなんですけど、そのアプローチを変えた進化版を作ってみようって。なので、第二章のCLIFF EDGEメモリアルソングっていう位置付けでもあります。
SHIN
まず何よりJUNがどヤバいビートを作ってきた…大絶賛してますけど(笑)、俺、本当この曲はラップがすごく楽しくできて。多分30分でリリックを書いてるんですよ、これ。書きたいことはなんとなくあったんですけど、自分のダメな部分をちゃんと出そうって。《一週間結局 七敗さ…》とか。でも、遠回りも意味があるし、結果そっちを選んでて良かったでしょ?って。これ、ラップ聴いてほしいです。
SHIN
まず何よりJUNがどヤバいビートを作ってきた…大絶賛してますけど(笑)、俺、本当この曲はラップがすごく楽しくできて。多分30分でリリックを書いてるんですよ、これ。書きたいことはなんとなくあったんですけど、自分のダメな部分をちゃんと出そうって。《一週間結局 七敗さ…》とか。でも、遠回りも意味があるし、結果そっちを選んでて良かったでしょ?って。これ、ラップ聴いてほしいです
DJ GEORGIA
トラックもリリックも聴いただけで、ふたりの意思が分かるんじゃないですかね。その辺の作り方がめちゃくちゃ上手いと思いました。

そして、ボーナストラックとして「Let’s Go! BRONCOS」が入ってるのですが。

JUN
インディーズの頃から埼玉ブロンコスというプロバスケのチームを応援させてもらってて、その時にずっと歌ってた曲を、今回DJ GEORGIAがリアレンジしたと。イントロが鳴っただけで場内のお客さんが“あぁ、きたきた”ってなるような、もう定着してる曲をアレンジし直すっていうのは、すごく高いハードルだと思うんですけど、そこを遥かに上回ったトラックが返ってきたんで、このアルバムに必要な曲になってしまったっていう。
DJ GEORGIA
メインのリフは決まってたんで、そこから作り直したんですけど、この曲は歌詞だなっていう部分は俺もよくよく分かってて。でも、俺もそうなっちゃいけないなっていうのを改めて自分に言い聞かせ、音で示せる部分を信じて音楽を作っていったっていう。今まで自分が作ってきたトラックの中で一番自信がありますね。“作れるもんなら作ってみろ!”くらい、納得いくものができました。

このアルバムを作って、次の扉が開かれた実感はありますか?

JUN
だと思うんですけどね。自分たち的にはすごく見えましたね。これがどう伝わるかなっていうのが逆に楽しみです。
SHIN
「Let’s Go! BRONCOS」の前に録ったものと今回録ったものを聴き比べてもらうと分かると思うんですけど、ラップのノリ方が違う…それは前が悪いって言ってるんじゃなくて、DJ GEORGIAが作った今回のビートに対して、“だったら、こうだよね”っていう俺の提示があるんですよ。韻もこだわったし、フローもこだわったし、ビートに関しての言葉の乗り方とかもすごく自信ありますね。そこを聴いてラッパーが増えたらいいなって思ってます。
DJ GEORGIA
今回のアルバムはめちゃくちゃ自信ありますね。例えば、「さぁ手をつなごう」ってCLIFF EDGEっぽくないんですよ。でも、“なんか、いいよね”ってことでアルバムに入れたし。そういう意味でも進化を止めないっていうか、そこを感じてもらえたら嬉しいですね。振り幅がめちゃくちゃ広くなってます。

アルバムがリリースされると、気になるのがライヴなのですが。

JUN
来年の2月から初の全国ツアーに出ます。クラブツアーとかはやってたんですけど、何気にライヴハウスは初なんですよね。なので、すごく楽しみです。
『PLATINUM HEARTS』2013年11月27日発売Venus-B / KING RECORDS
    • 【初回盤(DVD付)】
    • KICS-91980 3000円
    • 【通常盤】
    • KICS-1980 2500円
CLIFF EDGE プロフィール

クリフエッジ:“崖っぷち”の意味を持つJUN、SHIN、DJ GEORGIAからなるユニット。2008年のメジャーデビュー後、切ないメロディーとメッセージ性にあふれた心揺らす熱い言葉の数々が、多くのリスナーの感動を呼び、数々のヒット作を輩出! 特に11年4月リリースのコンセプトアルバムに収録された「Endless Tears feat. 中村舞子」はレコチョクRBTランキング19日連続1位を獲得し、40万DL超の大ヒットを記録した。CLIFF EDGEオフィシャルサイト
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OKMusic編集部

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