【LACCO TOWER】『LACCO TOWER「心臓
文庫」リリースツアー“心造旅行”フ
ァイナル』2016年11月12日 at 品川ス
テラボール

撮影:鈴木公平、藤川正典/取材:田山雄士

 “ツアータイトルの心造旅行はね、心を造ると書くんですけど、ここでしか造れないものを造りたい。今日が素晴らしい日になって帰れることを祈ってます!”と最初のMCで松川ケイスケ(Vo)が話した通り、のっけから気合十分の演奏で狂想的激情を爆発させるLACCO TOWERの5人。妖艶さや文学性がより深まった「蜂蜜」が始まれば、細川大介(Gu)の速弾き、塩崎啓示(Ba)と重田雅俊(Dr)によるパワフルなリズムも際立ち出し、ライヴが進むごとに五角形の見栄えがぐんぐん増していく。前半のハイライトは「柘榴」。真っ赤に染まる照明の中、加速するバンドサウンドに、場内も熱くならずにはいられない様子だった。

 ツアー序盤で右足の甲を粉砕骨折してしまった真一ジェット(Key)だが、そのケガもファイナルにはなんとか完治! ショルダーキーボードに持ち替えてセンターポジションへ躍り出た「傷年傷女」では、ここぞとばかりにサイケな音色を飛ばしまくる。すると、今度は細川が張り合うようにハイパーメロディックなギターソロを繰り出し、そんな展開を塩崎と重田が楽しそうに笑いながらがっちりバックアップ。一方で、松川は真一のサングラスをかけてはしゃいでいたり。こういう奔放さも、LACCO TOWERの大きな魅力と言える。

 “素晴らしいヴォーカリストにたくさん出会ってきてね、その人たちって本当にすごいのよ! 俺について来れば間違いない、俺について来れば全て願いが叶うとか、神龍みたいな感じでさ(笑)。自分もそうやって導けるようなこと言えたらって思うんやけど、やっぱりダメなんですね。明日はきっと大丈夫とか、絶対いい日になるとか、怖くて口が裂けても言えない。ただね、みんなと一緒にそう思うことはできます”――押しつけがましくない松川の言葉、続けて披露された「未来前夜」がじんわりと胸に響く。オーディエンスはそれぞれに、かけがえのない感情を受け取っていた。

 盛りだくさんのライヴも、あっという間にクライマックスへ。疾走ロックナンバー「非幸福論」「秘密」「林檎」でフロアーが狂乱の渦と化すと、松川は“十何年バンドやってきたけど、控えめに言っても今日が最高です。どうもありがとう!”と感謝の想いを素直に伝えた。《大好き》《大丈夫》の部分がひときわ力強く歌われた「薄紅」は、本編を締めるのにこの上なく相応しい楽曲だったと思う。

 ファンの熱いLACCOコールで、ステージに再登場したメンバー。“ROCK YOU!!!”(重田)、“今回のツアーは全部の会場でこのLACCOコールが起きたんだよね。これは本当にねぇ…ホーホケキョ(笑)”(真一)、“今日の昼にアンプがぶっ壊れちゃってどうなることかと思ったんですけど、チームのみんながなんとかしてくれて僕はここに立ててます!”(細川)、“本当にいいチームで、このまま大きくなりたい。15年目でも、ずっとチャレンジャーでいたいです”(塩崎)、“遅れてきたルーキーなんてよく言ってるけど、周りにどう思われようが、僕らは僕らで音楽続けます!”(松川)と、全員が自分らしい言葉を告げた後、心からの「相思相逢」を届けた。

 そして、ダブルアンコールは少しだけ幸せな明日を目指す「一夜」。美しい手拍子で辺りが包まれる中、松川が客席に降り立ち、この日ナンバーワンのきらめきを生み出して、充実のツアーは幕を閉じた。確かな飛躍を感じさせたものの、12月27日には年忘れワンマンを控えているLACCO TOWER。彼らの2016年はまだ終わらない。

セットリスト

  1. 罪之罰
  2. 奇妙奇天烈摩訶不思議
  3. 楽団奇譚
  4. 蜂蜜
  5. 柘榴
  6. 傷年傷女
  7. 珈琲
  8. 世界分之一人
  9. 未来前夜
  10. 鼓動
  11. 共鳴
  12. 非幸福論
  13. 秘密
  14. 林檎
  15. 薄紅
  16. <ENCORE>
  17. 相思相逢
  18. 灯源
  19. <ENCORE 2>
  20. 一夜
LACCO TOWER プロフィール

ラッコタワー:日本語の美しさを叙情的リリックで表現し、どこか懐かしく切なくさせるメロディー、またその世界とは裏腹な激情的ライヴパフォーマンスで、自ら“狂想演奏家”と名乗り活動。自身主催のロックフェス『I ROCKS』を2014年から開催している。復活したレーベル『TRIAD』と契約し、15年6月にアルバム『非幸福論』でメジャーデビューを果たし、20年に5周年を迎えた。LACCO TOWER オフィシャルHP

OKMusic編集部

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