【99RadioService】ちょっと大人にな
った自分たちの等身大を描けた作品
99RadioServiceの3rdアルバム『3』が完成。“自分たちが思っていたより、ずっと長く豊かな旅だった”と語る、前作からの2年についてKo-hey(Vo&Gu)に訊く。
取材:フジジュン
約2年振りとなる最新アルバム『3』が完成しましたね。
今作は満足感がすごくありますね。今回はコンセプトを持たず、強いて言えば“等身大を描く”というのがコンセプトで。これまではわりと本当の自分たちを隠してきた部分も多かったんですが、今回は歌詞も曲もひねらずストレートに書きました。
前作からの2年はどんな期間でした?
自分たちを見直す期間というか、考えることが本当に多い2年間でしたね。2011年の震災もひとつのきっかけだったんですけど、“どうしたら自分たちを伝えることができるか? 聴いてくれる人は何を求めているのか?”ということを真剣に考えていました。人と人がつながっている上で、自分のやるべきことがあるのかな?と思った時、相手のことをすごく考えるようになって…そうなると出てくる曲や迷った時の判断が変わってくるんですよね。この2年でちょっと大人になった気はします。
2011年はメンバーの脱退もあったり、バンドにとって大きな変化の年でしたね。
リアルを受け止めて不安になった時もあるし、震災が起きた時は音楽の無力さもすごく感じたし。でも、“その上で何をすべきか?”と考えた時、僕たちがドッシリ構えていることが、みんなの安心にもつながるんじゃないかと思って。そこが作品の裏テーマでもありました。だから、良い曲を作る必要があったし、自信を持って歌を届ける必要があった。
今作『3』はサウンド面もすごくシンプルに丁寧に構築されていて、明確に風景が見える上に、全曲日本語詞で歌われている歌詞に自分の気持ちもしっかり乗せることができました。初めて聴いた時から、どっぷりハマれましたよ。
自分の中にあるものをそのまま曲にすることを意識したから、そう思ってもらえたのかもしれないですね。時代や年齢を問わず、物事の捉え方や感じ方ってそんなに変わらないんじゃないかと思って。だったら、共感を生むには“自分の感じたことを嘘なく書く”ことが重要で。そのためにも自分自身がいろんな経験をすることや、言葉選びもすごく重要だと思うようになって…最近は恥ずかしいですけど、書いた歌詞をまず、兄貴や周りの人に見てもらうんです(笑)。
アニメ『ちはやふる』の主題歌である「YOUTHFUL」でバンドを知った人も多いと思うのですが、アニメの主題歌というところで多くの人に聴いてもらう曲を作ったことも大きい?
そうですね。「YOUTHFUL」はアニメを表現すること、アニメのファンにも楽しんでもらうことを意識して書きました。それはある意味、今までの僕らのやり方と違ったんですけど、聴く人にはそんなこと関係ないわけで。変なプライドを捨てて、より伝わる曲を作るという意識で挑めたことが、僕らを明らかに成長させてくれましたね。「YOUTHFUL」のアルバムバージョンでは、“自分たちでできることだけを入れよう”って、自分たちの演奏だけでリアレンジして収録したんですよ。アルバムにも馴染みの良い曲になったと思います。
そうやって曲が最大限に生きるように、一曲一曲丁寧に演奏やアレンジして、大事に作品を作り上げたんですね。
今回は曲を作ってる段階から、メンバー全員が手応えを感じているのが分かりましたね。普段は俺とKo-taがケンカしてるだけなんですけど、全員で頭を突き合わせて言いたいことを言い合いました。それぞれが強い思い入れをもって制作できたので、良い作品になったんだと思ってます。満足しています。