【AI】“MORIAGARO”で、みんなを笑
顔にしたい

愛を歌い続けるディーヴァ、AIにとって通算10作目となるアルバム、その名も“MORIAGARO”。彼女のソウルフルな歌声に込められた、熱く、強く、やさしいメッセージは、この夏、日本を最高潮まで盛り上げてくれるはずだ。
取材:金澤隆志

偶然が産んだタイトル “MORIAGARO”

タイトル“MORIAGARO”(盛り上がろう)は、“MOTTAINAI”のような、グローバルな日本語になりそうな言葉ですよね。どんなかたちでこのタイトルに?

この曲をLAでレコーディングした時、フィーチャリングしているジェレマイさんが仕事が詰まっていて、とても疲れている様子だったんです。でも、彼は“頑張らないと”と言って、日本語で“turnup(※元気を出せの意味)”のことを何て言うんだと訊いてきて。それで“盛り上がろう”という言葉を教えたら、そのままブースに入っていって。まさかそのまま使うんじゃないだろうなと思ってたら、予感的中(笑)。ただ、最初はどうかと思っていたけど、聴いているうちにすごく耳についてきちゃって。低い声で、テンションローな感じがカッコ良くて。いつもならあまり作業している場所に顏を出さないうちの社長さえも入ってきて、“これいいじゃん!” “アルバムのタイトルもこれでいこう!”と言い出して。その中でひとりだけ冷静なスタッフが待ったをかけたので(笑)、一応次の日まで待ったんだけど、結局これを超えるタイトルが見つからなくて、スタッフ一同大盛り上がり(笑)。流行りそうだし、意味的にもいいし、気に入ってます。

アルバムが形作られていく過程で、理想として描いていたイメージというのはありましたか?

最初は、愛をテーマにしたいねと話をしていて。今回、最初のほうに作っていたのが「VOICE」のような曲ということもあって、“大きな愛”のようなテンションでいこうと思っていて。でも、「MORIAGARO」ができたあたりから気持ちが変わってきたんです。「ハピネス」の後はテンション上げめに盛り上がろうでしょ、と。アルバムのリリースが夏ということもあったし、人生は1回きりなんだから、どうせならマイナスなことをしたり言うよりは盛り上がっていこうぜ、と。みんなのモヤモヤを吹き飛ばすようなイメージ。

制作作業はアメリカが多かったんだとか?

アトランタ、ニューヨーク、LA、マイアミとか。何度かに分けて行きました。短期間で集中的に作業をして、帰ってきて東京で続きをしてね。今回はこれまで一緒に仕事をしたことがないフレッシュな顔ぶれの人たちと作業できたのが良かった。ジェレマイさんも今回が初めてだったしね。あと、アトランタの雰囲気が自分に合っている気がして良かったな。LAやNYと違ってすごく田舎なんだけど、曲、ソングライター、プロデューサーといった全てが自分に合ってる気がしましたね。みんなファミリーっぽい雰囲気だし、作る音も陽気なR&Bといった感じで。

では、それぞれの曲についてお聞きしたいと思います。1曲目「MORIAGARO」については最初にうかがったので、2曲目の「Don't Turn Me Off」から。Michicoさんの歌詞が、独特な言葉選びで面白いですね。

みっちゃんのことはすごく尊敬していて、本当に日本一ぐらい好きなんです。言葉選びのセンスもいいし、内容も面白くて、エッジが効いていて。さらに毒があるのに愛もあるという。全てを入れ込んでくれているんですよね。私にとっては久々のラップも入っています。

TBS金曜ドラマ『夜行観覧車』主題歌の「VOICE」は、アルバムの中でもっともシリアスなトーンを持つ曲ですね。

こういう雰囲気の曲は、より感情を入れ込むことができるのが好きなんです。ドラマの内容もそうだし、その頃ちょうど中国で日本に対する暴動があったり、イジメによる自殺といった悲しい出来事があって。“なんで?”という。それに伴う憎しみや悲しみの感情を取り除く曲にしたかったんです。そして、そういう感情を持った人へのメッセージですね。“もっと愛情があれば違ったんじゃない?”という。なので、自分としては「ハピネス」と言っていることは同じだと思っているんですよ。“相手の立場になって考えればいい”とか、至極当たり前のことなんだけど、これまであまり言ったことがないことを歌ってます。

「HANABI」は、ジワジワと中盤にかけて盛り上がっていく感じが、まさに花火っぽいなと感じました。

最初は、夏公開の映画と絡める話があったので、そのイメージでUTAくんのところに行って一緒に作って。仕事しているという意識から離れた時のほうがいいものができることってあるでしょ? スタッフの監視の下とは違って(笑)。時間をまったく気にせずに、好きな時に作業して、たまにはお茶にでも行きましょうってフラッと出かけたり。遊びの延長できた曲。歌詞は悩みごとを人に話しているかたちになっているけど、それは自分に向かって言っていること。これで自分が元気になれないなら、これは出さないと決めて。私は最初自分で試す癖があるんですよね。自分に効かないなら他の人に伝わるはずがないから。

「My Baby feat. ロイド」は、アトランタで録った曲だそうですね。

はい。最初にトラックを聴かされた時、頭のシンセのR&Bっぽいラインが初めて聴いた感じがしなくて、“あ、いいな”と直感的に思って。ロイドと一緒にやるということで、彼のヒット曲「レイ・イット・ダウン」のような雰囲気の曲が欲しいと伝えていたんだけど、最初プロデューサーが出してきたのが4つ打ちの曲で、ちょっと違うなと。二番目に出してきたのがこの曲で、彼のすごく高くて子供っぽい声が合うんじゃないかなと思いましたね。

OKMusic編集部

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