L → R 薫(Gu)、Die(Gu)、京(Vo)、Toshiya(Ba)、Shinya(Dr)

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【DIR EN GREY】再構築の果てに見え
たバンドの新たな姿

前作シングルからわずか4カ月のスパンでリリースされるミニアルバム『THE UNRAVELING』。新曲1曲と6曲の再構築曲によって構成される本作は、まさに今を生きるDIR EN GREYの本質が垣間見える作品だ。
取材:金澤隆志

原曲とは異なった方向性を模索し今の自
分たちに近づける“リアレンジ”

タイトルの“UNRAVELING(アンラヴェリング)”という単語には“白紙に戻す、解体する”という意味があり、転じて“解明する、明らかにする”という意味合いが読み取れます。

タイトルは京(Vo)が付けたので彼しか分からないですけど、新曲「Unraveling」とリアレンジ曲6曲を同時進行で作業していたので、新曲だけを作っているのとはちょっと違ったかもしれないですね。既存曲を再構築していく中で生まれた新たな曲ということで、その感覚も含まれているのかもしれないです。

まず新曲「Unraveling」について話しましょう。曲調は違うものの、前作シングル「輪郭」に通じるものを感じました。

ちょっと懐かしい雰囲気がある曲だなと思っていて。メジャーキーのリフの中に不気味さと陽気さが入り交じっていて、そこに踊れるリズムが乗っていて…最近はなかったけど、昔はよくやっていた感じの匂いが散りばめられていますね。「輪郭」もサビがメジャーキーで、場面がパンと一変する部分があったりして、ちょっと懐かしさを感じるという意味で、共通する部分はあるかも。

DIR EN GREYはかつてビジュアル系として括られる時代があったと思うのですが、ビジュアル系という言葉には音楽的にノンジャンルという意味合いもあるように思うんですね。その“無国籍感”がこの曲には備わっているように感じました。

そうですね。そこまで考えると、このタイトルも意味深く感じられるかもしれないですね。

新曲を出すこともできる環境の中、あえて今回はリアレンジ曲を複数収録した作品となっているのですが、その意義というのは?

Toshiya
過去に音源化したものを再構築して作ってみたいという提案が挙がってきて、そこからスタートしたという感じですかね。ただ、これは別に今に始まったことではなくて、ここ最近の流れとしてシングルのカップリングに過去の曲を入れることが多かったので、特に新しいことという感覚はないです。

曲をリアレンジするのは、新曲を作るのとはどういった点が違いますか?

リアレンジの場合は、原曲とは異なったイメージの方向性を見い出すのがひと苦労で。それが見つからなければ、やる意味がないので。今の自分たちを入れることによって、懐メロじゃないものにする必要がある。一方、新曲の場合はイメージするものの先にいかなければならない。イメージしているだけだったら、そこが終着点で、そこに辿り着こうとしているだけだけど、そこからさらに変化させたくて、その先を見ていくんです。その意味では両者は結構違いますね。何かそこで感じるものがあって、それぞれの作業に反映された部分はあったかもしれないけど。

リアレンジのイメージとしては、元の曲はありつつも別の曲ぐらいの意識ですか?

そこまで別ものとしては捉えていないけど、昔は昔、今は今、ぐらいには考えています。今回はそうでもないけど、以前は“結果的に別の曲になってしまったな”というのはありました(笑)。

今のDIR EN GREYが、原曲のバージョンと新しいリアレンジバージョンをライヴで立て続けに演奏したらどうなるか観てみたいですね。

それは面白いかもしれない(笑)。
Toshiya
観てみたいですね。

時期的には「輪郭」に収録していた「霧と繭」と同じぐらいから作業をしていたのですか?

いや、もっと前ですね。「THE FINAL」とか「かすみ」は、活動が止まった去年の2月ぐらいから始めてました。当初は京が声を出せなかったので、出せるようになってきた去年の5月ぐらいから徐々にかたちにしていった感じですね。曲数的にはフルアルバム1枚分ぐらいまで作っていて、ここには入っていないリアレンジも数曲やってみたんです。その中には“ちょっと違うな”と思って収録されていない曲もあったりして。
Toshiya
労力という意味では新曲もリアレンジ曲も大きいことに違いはないと思いますけど、曲をいじる作業というのはどちらも楽しいですよ。もちろん行き詰まることも多々ありますけど。

もしかして、今回は1曲だけですけど、実は新曲というのも結構ストックはあるとか? 

いや、それはないですよ。ある程度やってみて、違うなと思ったらどんどん次にいく感じなんで。完成形になっているものはないですね。

今回のリアレンジ曲は、どの時代に偏るでもなくピックアップされていますが、選考する上での基準というのはあったのですか?

単純に“やってみたら面白いかな”というものに加えて、「THE FINAL」なんかは海外でもすごく人気がある曲にもかかわらず、向こうではちゃんとしたかたちでのリリースがないので、そういう理由で選んだ曲もありました。結構前なんですけど、インディーズの頃の「-I'll-」という曲をライヴでやった時にPA のエンジニアに“昔のように音が軽くないから全然軽快じゃない。どよ〜っとしてて今のバンドの音に合ってないよ”と言われたことがあったんです。その時、“その当時にやってたから良かった”という曲を今さら出してきてやるのは違うというふうに感じたんです。だから、“今の自分たちに合った曲”という前提はありますよね。

OKMusic編集部

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