【Tina】“ここが始まり”って
前向きな歌を届けたかった

ソウルフルなヴォーカルで魅了するシンガーTinaが、前作「PRIDE」から約2年振りのニューシングルをついにリリースする。新曲「Starting Over」は迷いも悩みも包み込み、前向きな思いへと導くメッセージソング。この曲に込めた彼女の熱い思いを訊いた。
取材:土屋恵介

新曲「Starting Over」は、どのような経緯でできた曲なのですか?

もともと3年くらい前から“ここが始まり”ってテーマの曲を書きたいとは思っていたんです。シングルにしたのは、今回2年振りで久々のリリースでもあるし、あと、去年の震災もきっかけになってますね。

生演奏の温かいメロディーのミディアムチューンで、困難があっても前に進んでいこうという思いが歌詞に詰まってますね。

最初にあった大きなテーマは、正直に今の自分の思ってることを言葉にできないか、曲にできないか、それがみなさんにストレートに届いたらいいな、というのがあったんです。正直、この2年間はすごく自問自答の時間でもありました。意識してなかったけど、“Tinaってアーティストはこうあるべき”っていうものが、“本当にそうなのかな? それとは違うものもあるんじゃないかな?”って考えていたんです。ほんと、私のドキュメント的なとこもありますね。スムーズに進む時もあれば、上手くいかなかったり、いろんな部分を含めて曲に込められればって思いましたね。

生きてく上で、なかなか物事が上手く進まない時ってありますよね。バッドなサイクルにハマると抜けられなったり。

私なんかしょっちゅうですよ(笑)。でもやっぱり、もがいたり、悩んだり、迷ったりっていうのは、何かに向かって生きている証だと思うんです。そこで歩き続けるのも、立ち止まるのも、どっちも勇気がいることで。いつでも“そこが始まりだよ”っていうのが、私の中にある正直な気持ちなんです。

この曲自体、今までのTinaさんのイメージとは違う新しい曲調ですよね。

そうですね。この曲は、伝えたいテーマが先にあって、それを表現するにはどういうメロディーがいいのかって考えていたんです。歌詞は断片的に書いていたので、メロディーをどうしようかなって思って。カップリングに入ってる『Sincerity feat. Anarchy』のメロディーを島野 聡さんが作ってくださっているのですが、とても気に入っていて、この曲を作る時にも声をかけさせていただいて。彼のスタジオで作業してく中で、偶然、島野さんがサラッと歌ったサビのメロディーがすごく良くて急いでヴォイスメモで録って(笑)、それに私が前後のメロディーを付けたりして生まれた曲なんです。

サウンドのアレンジはどのように決まったのですか?

アレンジではギターが印象的なサウンドにしたかったんです。スタジオでミュージシャンの方にイメージを伝えて、生の豊かな音が録れた、すごく楽しいレコーディングでした。

オルガンもギターもいい音してますね。ソウルミュージックだなって思います。

まさにですね。今までのTinaのイメージって、ブラックミュージックでもダンサブルだったりするイメージがあるかもしれないのですが、この曲では聴いてくださった方のハート、ソウルに届く、私なりのソウルミュージックができればと思っていたんです。

歌の雰囲気もこれまでとはだいぶ違いますよね。強さとやさしさが一緒にある歌声だなって。

自分では自分の中から出てくるものだから、すごく違うっていうのは分からなかったんです。でも、自分の伝えたいテーマがあって歌えたからこそ、“自分の歌はこういうものだ”って固定観念みたいなものから解放されたのかなって。とにかく聴いてくださる方に、思いを込めて届けたいってことだけを考えて歌いました。

まさに“Starting Over”な曲になったわけですね。あと、カップリング曲ですが、BENNIE KのYUKIさんが作詞作曲の「Mothers Day」はムーディなブレイクビーツのトラックで、タイトル通りの母親への感謝を歌ったナンバーですね。

YUKIちゃんは前から知っていて、他の曲をお願いしてた時に、彼女から“Tinaさんをイメージして作ったのがあるんです”っていただいたのがこの曲だったんです。私の歌詞って心情的なものがほとんどなので、こういう情景がすぐ浮かぶ歌詞はなかなか出てこないし、すごくいいなと思って。ただ、彼女のデモの歌声では母娘の昼間のデートな感じがあったけど、私が歌ったら一気に夜になってしまって(笑)、トラックの雰囲気を変えたりしました(笑)

(笑)。そして、「Sincerity feat. Anarchy」はラッパーのAnarchyさんをフィーチャーしたドラマチックなナンバーという。

Anarchyくんは、彼の1stアルバムに声をかけていただいて参加したのがきっかけで、私の曲でも参加していただきたいなと思ってオファーしたんです。彼のラップはリリックの内容も含めてブルースを感じますね。“Sincerity”っていうのは“親愛なる人へ”って手紙の締めによく使われる言葉なんですけど、聴いてくださる方に思いを届けたいってイメージの歌で、大きなテーマとしては『Starting Over』と同じものがあります。私の心情的な歌詞に、彼のラップが入ることでより情景が具体的になるなって。とてもエモーショナルな曲になりましたね。

濃くて熱いです。かなり濃密なシングルになりましたね。

毎日生きてれば、良いこともあるし悪いこともある。でも、いつでもそこからが始まりで、笑って楽しく前向きに歩いていくことがすごく大事だなと思うんです。だから、この曲を聴いてくださった方が、ちょっとでも温かい気持ちになっていただけたら嬉しいですね。あと、アルバムが間もなく完成するのですが、クラブイベントや夏頃には生バンドとのツアーも考えているので、ぜひライヴにも来ていただけたら嬉しいです。
Tina プロフィール

父親をサックス・プレイヤーにもつTina——当然幼いころからブラック・ミュージックには触れているわけで、音楽的素養は十分。DJ HASEBEを始めとする数々のアーティストとコラボレーションし、感触をつかんだ後、マキシ・シングル「I'll be there」で堂々とメジャー・デビューを果たした。
その後は、目新しい完全アニメーションのTVスポットで一般にも広くインパクトを与えたシングル「Magic」をはさみ、1stアルバム『Colorado』でオリコン初登場1位を飾る。Tinaがこういう形で世間に認知されるまで、その間わずか半年。日本でもR&Bは正当に評価され、確実にウケる土壌ができたと再確認させられる。
なんといっても彼女の魅力は、そのキュートな顔立ちからは到底想像できぬ、パワフルかつセクシーな歌声と表現力の豊かさ。「Magic」で見せたようにノリノリの曲を力で押し切ったかと思えば、4thシングル「迷路」では圧倒的なスキルで切ないバラードを歌いこなす。
01年、レコード会社移籍を機に"Luv Tina"と改名し、トリプルAサイド・シングル「Naked Heart/Baby Blue/To Feel The FIRE」とアルバム『Luv Tina』を発表。——現在は再び"Tina"名義に戻って活動している。オフィシャルHP
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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