【森 恵】新たなチャレンジから広が
る世界

これまでにない歌詞とサウンドの世界観。実力派クリエイターたちとの制作を通して、森 恵に訪れたかけがえのない変化とは? 彼女の第2章はここから始まる。
取材:田山雄士

今回は特にアレンジが耳を惹く作品になっていますね。

2011年に入って制作チームが変わったのを機に“森 恵の音楽を見直してみよう”ということになったんですよ。そう思った時に、今まで見せられてなかった部分を見せるのも面白いんじゃないかって。でも、もともと自分にないもので勝負したわけじゃなくて、潜在していた私を上手く引き出せた一枚になっていると思います。アレンジなどを練っていくうちに自然とこういうアルバムになりましたね。

森さんの歌詞はテーマが壮大なものが以前から多いですが、よりその傾向が強くなった気がします。

強くなったし、松井五郎さんに歌詞監修をしていただいたおかげで凝縮されたものになりましたね。あと、震災も大きかった…原発のことなどを考える中で、小さい頃の経験が自分の原点になってるなって改めて思ったんです。というのも私は広島出身なので、昔から原爆や戦争に向き合う時間が多かったんです。小学6年生の時に隣の岡山に引っ越したんですけど、それだけで学校で勉強する内容がまったく違うことに対して子供ながらにショックを受けたりもして。

8月6日の意味合いがまるで違うとか?

そうです。でも、辛いことを辛いこととして受け止める。そして、そこからどう進んでいくかを当時学べたと思うんです。だから、私が今の時代に歌を歌うならそういう希望の在り方を伝えたいんですよね。

松井さんとの作業はいかがでしたか?

一番有り難かったのは、私が持つ曲のイメージを松井さんがとても尊重してくださったことですね。私が書いた詞に対して、“そのイメージならこっちの言葉はどう?”って表現方法をいろいろと提案してくれる進め方だったので、すごく勉強になりました。ボキャブラリーやものの見方を習う感じというか。

松浦晃久さん、山本隆二さん、宮川 弾さんというアレンジャー陣も豪華ですね。

はい。アレンジャーの方々には、“私の曲って、他の人が聴くとこんなサウンドが鳴ってるんだ”と気付かせてもらった感じです。キーボードでアレンジされる山本さんがテンションコードをたくさん使っていたのも新鮮でした。

1曲目の「赤い花が咲くころ」はこれまでにない郷愁感があって、アルバムが寂しげなムードで始まるのも意外でした。

アレンジを聴いた時から良い導入になりそうだと。この曲のイントロで今の私がやりたいことが伝わるんじゃないかなって考えて、そこを経てタイトル曲に向かう流れにしました。

「世界」は早い段階からリード曲に決まっていたのですか?

このタイミングで改めて自分の世界を提示したかったですし、辛い現実の中にも光があることを伝えたい気持ちが強かったからそうしました。『世界』は声を張ったまま伸ばす箇所が結構あって、そのロングトーンで何が表現できるかも悩みましたね。新しい要素が活きた『心の河』や『夢の中の夢』も推したかったですけど(笑)

ストリングスやブラスをはじめ、華やかなアレンジが目立つ曲ですものね。

そうですね。とはいえ、お客さんとすごく近い距離でやれるストリートで得たものが私にとってはやっぱり大きいんですよ。その思いから、自分の原点と言える弾き語りやシンプルな楽曲は今作にも収録しました。
森 恵 プロフィール

モリメグミ:広島県出身のシンガーソングライター。懐かしさを感じさせるメロディーと街の雑音に負けないパワフルな歌声、小柄な身体でギターをかき鳴らすスタイルが特長。 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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