【童子-T】俺の気持ち的な部分での
“愛”も表現したい
ソロデビュー10周年を飾る童子-Tの最新作は、2008年に大ヒットしたアルバム『12 Love Stories』の第二弾!さまざまな“愛”を12 編の物語が、多くの人の心を再び感動させるに違いない。
取材:道明利友
『12 Love Stories』はシリーズ2作目になりますが、今回の収録曲もメロディーと音色が本当に美しくて。いわゆる“ラブソング”を作る上で、童子-Tさんご自身の中でポイントになっているのはどんな要素だと思いますか?
それはやっぱり、ヒップホップ以前のルーツまでさかのぼると、もともと俺はフォーク上がりなんですよ。中学生くらいになるとヤンチャな方向に行ってしまったんでギターは置いてしまったんですけど(笑)、チャゲ&飛鳥からオフコースからかぐや姫から…。小学4年生の時にフォークギターを買ってもらって、ずっと弾いてたんですよね。
えっ! “四畳半フォーク”的な音楽もですか? それはすごく意外なルーツですね。
実はそうなんです。アルペジオは『神田川』で覚えました(笑)。だから、基本的にメロウな音楽が好きなんですよね。ヒップホップはちょっとハードなイメージもあるので勘違いされやすいんですけど…例えば、『少年A』(2001年リリース、初のソロシングル)は俺のハードな曲の中でも代表曲だと思うんですね。リリックは不良少年の歌なのでハードなんですけど、サウンドを聴いてもらうと分かるようにトラック自体は結構メロウなんですよ。そういう要素が根底にあるんで、今回の曲のようなコード感だったり、ピアノ、ギター、ストリングスだったりにも必ずリンクしていると思うんですよ。後輩とかから“ピアノが絶対に入ってますよね”って言われるぐらいなんで(笑)
歌詞の面では、“愛”というテーマを恋愛だけでないベクトルで描いている曲も印象的でした。例えば、新曲の「光る君を」はまさにそういう曲だと思うのですが。
前回の『12 Love Stories』に入っている『実りある人生を』は娘が生まれた一日の歌で、『光る未来』は息子が生まれた時の歌なんです。だから、いわゆる男と女の“Love”がメインになってますけど、それよりもう少し大きく解釈した“Love”を歌っていこうっていう思いは、今回の『光る君を』みたいな曲にもつながってるんですよね。最初はこういう“子供”をテーマに歌うこと自体が、若い層には伝わらないんじゃないかっていう意見もあったんですけど、クラブにライヴをしに行くと若いギャルの子たちにものすごく浸透していたりして。
親から見た子供の曲が、子供の立場から共感されたっていうのは面白い浸透の仕方ですね。
はい。その浸透の仕方っていうのが、今、親と仲悪いんだけど、自分が生まれた時も私の親はこう思ったのかなってすごく感動しました、とか。あと、自分が親になった時にこうなれたらいいなと思います、っていう目線もあったり。他の曲でも、今年リリースした『10th ANNIVERSARY BEST』の『夢のかけら』とか、今回の『虹』とかもそうなんですけど、俺のパーソナルな部分、気持ち的な部分での“愛”みたいなものも表現したいっていうのは、自分の中でもうひとつの軸としてあるんですよ。
そういう曲たちには、ヒップホップはもちろん軸にありながら、それだけじゃない幅広いリスナーにも自分の音楽を伝えたいっていう思いが託されているような気がします。
そうですね。こういう曲を全面に出すような活動も来年以降はしたいねっていう話を、スタッフとはしていて。自分の音楽をもう少し“ポップス”として着地させるにはどうしたらいいのか、今は試行錯誤している感じですかね。
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