L→R Shikichin(Ba)、Sally#Cinnamon(Vo&Gu)、Mika(Dr)、Tomoya.S(Gu)

L→R Shikichin(Ba)、Sally#Cinnamon(Vo&Gu)、Mika(Dr)、Tomoya.S(Gu)

【Heavenstamp】音楽で人とつながり
たい
という思いの詰まったE.P.

昨年12月にインディーズデビューし、ついにE.P.「Stand by you - E.P.+REMIXES」でメジャーシーンに登場する男女混合4人組バンドHeavenstamp。ダンサブルかつクールな彼らのサウンドについて、Tomoya.S(Gu)とSally#Cinnamon(Vo&Gu)に話を訊いた。
取材:土屋恵介

シューゲイザーやクラシックを
織り交ぜた独自の音楽を作りたい

まずは、Heavenstampの結成からこれまでの流れを訊かせてください。

Sally#Cinnamon(以下Sally)
『FUJI ROCK FESTIVAL’08』でMy Bloody Valentine(UKのシューゲイザーバンドの元祖的存在)の復活ライヴをそれぞれ観ていて、リーダーのTomoya.Sが男女混合のバンドを組みたいってところから集まったバンドなんです。
Tomoya.S(以下Tomoya)
サウンド面で言えば、シューゲイザーやUKロック的な音楽をやりたいってとこからスタートしたんですけど、誰かの模倣にはならなずに2011年において新しくてカッコ良いものをやりたいってテーマがあるんです。
Sally
シューゲイザーの要素もありつつ、ディスコパンク的な要素、あとドラムのMikaも私たちもクラシックが好きで、ロックにシンフォニックな部分を織り交ぜて、独自の音楽を突き詰めていけたらと思ってますね。

曲作りはどのように進めるのですか?

Tomoya
僕が曲を作ってバンドでアレンジを固めてから、Sallyが歌詞を付けるんです。
Sally
歌詞は私が普段考えてることの中からサウンドに一番寄り添う言葉を選んでいくんです。この曲がもっと良くなる言葉は何だろう? ピークにどんな言葉が来たら爆発力が増すか? …とかを大事に書いてますね。歌に関して言えば、ヴォーカルもサウンドの一部だと思っているので楽曲のバランスを考えて上手くハマる声を探して歌っていくんです。

曲を書く時にインスパイアーされるものはありますか?

Tomoya
映画を観ますね。ただ、それを題材にするんじゃなく、雰囲気から受けた刺激を音にします。
Sally
私も映画と、あと本と漫画ですね。Tomoyaと同じく、そこから感じたことで自分の感覚が研ぎ澄されるんです。それが作詞につながるとこはありますね。

では、ライヴで心掛けてることは?

Sally
私たちはフェスが大好きなので、その場にある音楽で痺れてほしい、感動してほしいって気持ちが強いんです。そういう気持ちでライヴに臨んでますね。
Tomoya
僕らを知らない人を音の力で振り向かせたい気持ちはすごくあります。

昨年12月にインディーズから「Hype E.P.+REMIXIES」を発表しましたが、それ以降曲作りで変化はありましたか?

Tomoya
僕らはインタールードを入れた4曲とリミックスを入れたかたちでシングルを出していきたいんです。それによって、より曲作りのバリエーションが広がった気がします。
Sally
やっぱり似た曲ばかりじゃつまらないし、ちょっとした短編映画のような、特別感のある作品になればって思いがあります。

極力余計なことはしないで
グルーブのある音楽を届けたい

なるほど。では、メジャーデビューE.P.の話題に移りましょう。「Stand by you - E.P.+REMIXIES」は、どんな作品を目指したのですか?

Tomoya
前の「Hype E.P.+REMIXIES」はバンドが初めて出す音源だったので、頭で考えるよりも、音も生演奏に忠実で、勢いを閉じ込めた作品にしたかったんです。それでいろんな人が振り返ってくれた。そこに対して今度は万全の状態で迎え撃つような気持ちで作ったんです。

前作は荒々しい音作りでしたが、今回は音の良いトリートメントがされてますね。

Tomoya
そこを目指してたんです。聴き手として、シンプルな音源は好きだけど、しっかり練られたもの、後期のTHE BEATLESやSuper Furry Animalsとかも好きなので、曲によってはいろんな要素を持たせたいと思ってるんです。

今回は、Bloc Party(UKのロックバンド)のラッセル・リサックと共同プロデュースですね。

Tomoya
「Stand by you」と「Pops」を一緒にプロデュースして、「Pops」は作曲も参加してくれたんです。もともとはラッセルが、MySpaceで僕らの音を聴いて気に入ってくれたんです。僕らもBloc Partyは大好きだし、嬉しくて何か一緒にやりたいってことで、今回のプロデュースにつながったんです。でも、ラッセルが待ちきれなくて、インディーズ盤のリミックスを先にやってくれたんです(笑)。それもすごく嬉しかったですね。

Heavenstampの音楽から良い交流が生まれたと。タイトル曲の「Stand by you」は、クールかつ力強いメロディーのダンサブルなナンバーですね。

Tomoya
これはバンドの初期にできた曲なんです。シューゲイザーっぽい曲もあったけど、それよりも新しい感じのディスコパンクな曲を作ったんです。それをSallyに聴かせたら、その場で“これにつながる曲を作ろう”って一気にできたのがこの曲。だから唯一、歌詞も作曲も2人の共作になるんです。最初のライヴからやってるし、思い入れのある曲ですね。

今回のレコ・ディングで変わったところはありますか?

Tomoya
ラッセルがプロデュースだけじゃなくギターも弾いてくれたので、音のニュアンスが変わったし、思い付くアイディアはどんどん試して、広がりのある表現ができました。
Sally
ラッセルと私たちで“こんなのはどう?”“こういうのは?”って、お互いにアイディアを出し合う刺激的な作品作りができたんです。

コーラスワークを含め、サビの広がりが痛快でした。

Tomoya
キャッチーなものを作りたいっていうのも目指してたんです。コーラスも曲が豊かに聴こえるために良い効果が出せたかなって。

Sallyさんのヴォーカルは、前作では勢いが強かったですが、今回は伸びやかな印象を受けます。

Sally
そこも音と一緒で、前は“刺さるように”って歌ったけど、今回は“届くように”って歌ったんです。

歌詞はとてもシンプルなラブソングに見えますが、その奥には人とつながりたいというメッセージが感じ取れたのですが。

Sally
まさにそうですね。大きな意味で、人とつながりたい思いがあるので。それを表現するのにラブソングってフォーマットを使ったって感じです。やっぱり音楽は人の近くにあるものだと思うし、ここにあるから聴いて安心してほしいって気持ちが込められてますね。

シンプルな歌詞の中にメッセージを込めて、グルーブ感のある音を届けるのがHeavenstampのバンドのカラーのように感じますね。

Tomoya
確かにそれはあります。歌詞も演奏も、極力余計なことはしないで音楽にして届けたい。あと、グルーブ感はかなり意識してるバンドの重要なポイントですね。
Sally
やっぱりそこがバンドの肝だと思います。

では、カップリング曲ついても訊かせてください。ラッセルと共作の「Pops」は、まさにポップで勢いのあるナンバーですね。

Tomoya
ラッセルとの曲作りは新鮮でしたね。Bloc Partyっぽい要素と僕ららしさが見事に融合できたなって。自分たちにない発想を持ってる人と作るのは面白かったです。音は軽快でいて、少しひねくれてる感じにしたかったんです。

この曲に限らず、楽曲に必ずサイケ感が混じりますよね。

Tomoya
それは常に入れたいんです。何かしら引っ掛かるような、音の歪みが入ってる方が面白いし好きなので。

この曲は、夜中の夢って感じの歌詞をソフトに歌ってますね。

Sally
これは完全にファンタジーですね。スウィートな感じよりも、マジカルな夜の感じが面白いかなって。怪しいムードを曲のポップさでコーティングして歌ったんです。

そして、インタールードの「Cambrian.」から、浮遊感あふれるシューゲイザーな「Stamp your feet」へと続くという。

Tomoya
この2曲はセルフプロデュースなんです。「Stamp your feet」はシューゲイザー的だし、あとクラシックの要素も強いんです。展開の仕方や音符の並べ方にクラシックの影響が出てますね。

後半に向かって徐々に上がっていく感じがたまらないです。歌詞はライヴのこと歌ってるように思えますね。

Tomoya
これは作る段階で、『FUJI ROCK』のグリーンステージからホワイトステージに辿り着いて、しばらくすると突然バーンって演奏が始まるって、鮮明なイメージをそのまま曲にしたんです。それをSallyに伝えたので、オーディエンスに対しての歌詞になったのかなって。
Sally
Tomoyaの意図を汲んで、自然とそういうイメージになりました。「Stand by you」の歌詞と通じるんですけど、音楽を一緒に楽しみつつ、つながれたらって思いが出てます。

さらに本作には、80KIDZ、Bloc Party vs CoPliots Drunk In Charge、Pepe Californiaによるリミックスが収録されているのですが。

Tomoya
いやー、どれも最高でした(笑)。80KIDZは初めて聴いた時にヤバいと思ったんです(笑)。そのヤバさが今回も入ってましたね。
Sally
Bloc Party vs CoPliots Drunk In Chargeのリミックスは、原曲とは違うダウナーな感じがすごく良いし。
Tomoya
Pepe Californiaのチルアウト的なリミックスも素晴らしくて(笑)。曲の並び順でも、この作品を締め括るにぴったりだなって。
Sally
これを聴くとまた1曲目に戻りたくなる、ループ感があるんですよね。

リミックス、ベタ誉めですね(笑)。

Sally
ハイ(笑)。なので最高なんです、作品丸ごと(笑)。
Tomoya
もう一枚目にして最高傑作です(笑)。

(笑)。毎回リミックスが入ることで、自分たちの曲を違った角度で解釈されるのは、バンドにプラスになりますよね。それに触発されて生で解釈したりってこともありそうだし。

Tomoya
ありますね(笑)。これ試してみたいなと毎回思うので。だから、いいですね、全曲リミックスって(笑)。

(笑)。では、最後にバンドのこれからの目標を訊かせてください。

Tomoya
最初に言ったことと通じるけど、その時代時代において新しくてカッコ良いものを作れるバンドでありたいなって。いろんなアイディアが生まれてるので、それをきちんとかたちにしていきたいです。やりたいことはたくさんありますね。
Sally
いろんなアイディアをかたちにして、Heavenstampの音楽をもっとたくさんの人に聴いてもらいたいです。音楽好きの人はもちろん、今まで音楽を聴いてなかった人も振り返ってくれる音楽をどんどん作って、Heavenstampってバンドを確立していきたいです。

願望的な夢はありますか?

Tomoya
『FUJI ROCK』のグリーンステージのトリをやって…
Sally
いつかは、イギリスの『Glastonbury Festival』に出たいです(笑)。
Heavenstamp プロフィール

ヘブンスタンプ:2009年に結成。ダンスロックの系譜を持つ、タフなグルーブとキャッチーなサウンド、シンフォニック&ファンタジックなメロディーと刹那的歌詞、ニューレイブ以降のクレイジーネス、UK オリエンテッドなエッジーかつメロディアスなギターサウンド、ディスコ、パンク、シューゲイザーサウンドを日本的”ポップ感覚”で消化し、轟音ギターの美しいアンサンブルを響かせる。オフィシャルHP
公式サイト(アーティスト)

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