L→R K(Gu&Voice)、Hayato(Dr)、Mana(Gu)、Sugiya(Ba)、Seth(Vo)

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【Moi dix Mois】僕の好きなスタイル
がより完成された

やはり圧巻だったニューアルバム『D+SECT』。前作『DIXANADU』から3年というブランクがあるのだが、その間に繰り返されたライヴでバンドがビルドアップされ、アグレッシブな要素が高まっている。そんな新作についてMoi dix Moisの首謀者であるMana(Gu)が語ってくれた。
取材:石田博嗣

3年振りのアルバムが発表されましたが、すでにライヴでプレイしている曲もあるせいか、すごくバンド力を感じました。

そうですね。今回のアルバムの何曲かはライヴでやっているので、バンド的なサウンドアプローチや聴かせ方が見えていたから、そういう部分で音は固まってたと思いますね。あと、ギターのエッジを出したいと思っていて、ミュートしたリフがザクザクと突き刺さる感じのサウンド作りにしました。前作はエッジが丸い仕上がりになっている…その時は気付いてなかったんですけど、今聴くとちょっと丸いなって。だから、今回はもっとアグレッシブにしたいと思って、シャキッとした音像になるような作り方にしてます。

すでにライヴで披露されている「The SECT」はツインリードで攻め立てる曲でもありますしね。

ツインでハモりっぱなしですね(笑)。この曲を作った時に今回のアルバムの明確なコンセプトが見えたというか、今回のアルバムの核となる曲だし…ツインリードがガッツリとハモっていて、スピード感も重みもあって、“Moi dix Moisの世界観はこうだ!”っていうことを提示している歌詞なので、この曲を聴けば今回のアルバムのことはだいたい分かるだろうっていう感じのものになってますね。

また、1曲1曲に物語性があって、映画のサントラっぽくも感じました。

確かに、今回は雰囲気的に映画っぽいかもしれないですね。前作から3年も空いたっていうこともあって、僕が一番好きな世界を出したいと思ったんですよ。前作でも出せてはいるんですけど、より初心に帰る…ゴシックホラーとかオカルトホラーの世界が子供の頃からものすごく好きなので、その要素が色濃く出ているものを作りたかったというか。

楽曲もそのイメージで作っていったのですか?

そうです。…って、そうじゃない曲もありますけどね。Moi dix Moisのボーダーラインを越えない程度の新しい実験曲というものを投入していたりもしています。僕の中では『Dead Scape』が一番の実験曲なんです。

「Dead Scap」もライヴでもやられていて、まさにライヴ仕様の楽曲ですよね。

そうなんです。ライヴで乗れるっていうことを意識して作った曲なので、かなりロック寄り…ちょこっとサビとかには出てきているんですけど、耽美な要素のないものを作ってみようと思って作ったし、ドラムから始まるのも珍しいしですね。メンバーもこの曲を最初に聴いた時はびっくりしてました(笑)

ということは、ライヴのために曲を作るのは珍しいと?

珍しいですね。僕は自分の好きな世界観や好きな音を作りたいと思って曲を作っているので。でも、ライヴをやっていく中で、会場をひとつにしたいっていう願望が出てきたから、そういう曲も必要だろうと思って作った感じです。ライヴって世界観を伝えるのも大事なんですけど、その場にいる人たち全てがリズムに合わさる一体感っていうのもライヴの醍醐味だから、そういうものも欲しいなって。

個人的にはポップで歌モノの「Agnus Dei」が新鮮でした。

この曲はファンというか、Moi dix Moisを愛してくれている人たちに向けて作った…やさしい気持ちになって作ったので、愛に包まれた曲になっていると思います(笑)。でも、そうであってもMoi dix Moisのエッジの部分というか、ただのポップソングにはしたくないので尖った部分も入れて。だから、Moi dix Moisらしさがありつつもライトな感じになっていると思います。

逆に、「The Seventh Veil」や「Dies Irae」はMoi dix Moisの王道ですね。

王道ですね。特に『The Seventh Veil』はアルバムの1曲目って勝負だと思っているので、この曲に今のMoi dix Moisの全てを詰め込みました。みんなが聴いた時の印象をどれだけ強くできるかっていうところでアレンジは最後まで悩みましたね。

まさに“キター!”という感じでしたよ(笑)。疾走感がありつつも緩急があって、ツインリードが炸裂していているし、チェンバロも入っていてメロディーもウエットで…まさに王道だなと。

そうですね。最終的にはそういうものをうまく融合できたと思ってます。

あと、1stアルバムに収録されていた「Ange」が“D side holy wings”となって再収録されているのですが。

今年の夏のツアーでリメイクしたんですね。ずっとライヴでやってなかったんですけど、人気があった曲だし、プレイしていてすごく気持ち良い曲なので、今のMoi dix Moisとして蘇らせることができないかなって。で、新たにツインギターを活かした感じにして、アグレッシブな要素も入れてライヴでやってたんです。その時にすごくいい感じだと思ったし…実は歌詞の世界観も今回のアルバムに近いんですよ。だから、アルバムに合うと思って入れました。

そういうライヴ用にリメイクした曲もハマっているのは、今のMoi dix Moisがそういうモードなのでしょうね。そういう意味でも、ライヴが下地にあるアルバムになっているというか。

半分ぐらいライヴでやっている曲なので、それはあると思いますね。逆にライヴでやっていない曲が半分ぐらいあるので、アルバムとしての統一感を持たせるにあたって…やっぱり何回もライヴでやっている曲とまったくやってない曲とでは、演奏する時のタイミング感とかが全然違うんですよ。ライヴでやっていると掴みやすいので、その辺をうまくコントロールするのが難しかった。新曲であってもライヴでやっているような構築された一体感を出さないといけなかったんですけど、リハを繰り返したので、ライヴでやっている曲と比べてもそんなに差がないようには録れていると思っているんですけどね。

どの曲もテンション感は高かったですよ。そういう部分も含めて今作はMoi dix Moisがテーマとしている“悲しさ”と“美しさ”と“激しさ”の融合が理想的に突き詰められたという感じですね。

「前作は前作でその時はできたと思っていたのですが、それを上回る感じにできていると思いますね。ツインギターのハーモニーとリフの力強さ、上モノの幻想的な美しさ、メロディーが持つ悲しみが一番最高のかたちでミックスされたと思います。僕の好きなスタイルがより完成された感じがしますね」。
Moi dix Mois プロフィール

モワ ディス モワ:活動休止中のMALICE MIZERのリーダーManaのソロプロジェクト。Mana自身の音楽を追求すべく、古典と前衛、優美と狂気などを融合し、耽美なビジュアルも含めて独自の世界を築き上げている。そのスタイルやサウンドは海外からも高い評価を得ており、欧米を中心とする多くのファンを獲得している。Moi dix Mois Official Website
オフィシャルHP
オフィシャルサイト

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