L→R カトウタロウ(Gu&Vo&Cho)、ケイタイモ(Key&Cho)、ヒダカトオル(Gu&Vo)、マシータ(Dr&Cho)、クボタマサヒコ(Ba&Vo&Cho)

L→R カトウタロウ(Gu&Vo&Cho)、ケイタイモ(Key&Cho)、ヒダカトオル(Gu&Vo)、マシータ(Dr&Cho)、クボタマサヒコ(Ba&Vo&Cho)

【BEAT CRUSADERS】ラストライヴを完
全収録した永久保存盤!

9月4日をもって見事に“散開”を果たしたBEAT CRUSADERSから、全てのファンへのプレゼントとして最後のアイテムが到着。『OTODAMA‘10』でのラストライヴ完全収録を中心に、ライヴハウスでのシークレットライヴあり、トークあり、ドキュメンタリーありと盛りだくさんの豪華盤だ。
取材:宮本英夫

2010年6月6日6時6分、突然の“散開”発表から始まったBEAT CRUSADERSのファイナル・カウントダウンは、9月4日の大阪・泉大津フェニックスにて行なわれたフェス『OTODAMA‘10』でのラストライヴで盛大に大団円を迎えた。これほど湿っぽさがなく、明るく楽しいバンド解散が過去にあっただろうか?…と思うほどのハイテンションで突っ走り、最後の最後までロックンロールのエンタテインメントに殉じたビークルの雄姿に、笑いとともにうっかり熱い感動を覚えたのは筆者だけではあるまい。そのラストライヴの模様を含むビークル最後のアイテムとしてリリースされるのが、CDとDVD(またはBlu-ray Disc)と特殊ジャケット(初回仕様限定)の形態でリリースされる豪華パッケージ『LOST CRUSADERS』である。
まずCDに収録されているのは、『OTODAMA‘10』のラストライヴ全15曲。“オオサカ、愛してるよ!”というフレンドリーな挨拶から始まり、ほぼ全てのMCと、一度でもライヴを観た人ならおなじみの危険なコールも含めた完全収録で、“やっぱりビークルには野外の巨大なステージがよく似合う”と思わされる楽曲のポピュラリティーの異様な高さと、1万5000人の観客全員を乗せて歌わせて笑わせる見事なエンターテイナーぶりがたっぷり楽しめる。まさにビークルの集大成と呼ぶにふさわしい圧巻のライヴ音源だ。
そしてDVDだが、こちらはCDとは違って非常に凝った構成になっている。もちろん『OTODAMA‘10』のライヴ映像は全曲収録されているのだが、その間にさまざまな企画が飛び込んでくるというバラエティー番組スタイル。中でも特に注目したいのは、散開直前の8月24日に下北沢SHELTERで行なわれたイベントにシークレット出演したライヴの模様が収録されていることだろう。この日は盟友、トロピカル・ゴリラが出演したこともあり、ビークル×トロゴリのスプリットアルバム『CELL No.9』(2006年)からの曲もいくつか演奏するなど、通常のライヴではなかなか聴けない嬉しいセットリストとなっている。ヒダカの“シェルターに出ていたバンドはシェルターに戻るんです!”という泣けるMCも入って、一介のインディーズバンドだった昔のビークルを彷彿させるワイルドでパンクなステージを観られるのは、長年のファンにはたまらないだろう。『OTODAMA‘10』のような野外ステージでも、ライブハウスでも、ビークルのロックは何も変わらないということがよく分かる貴重な映像だ。
さらにもうひとつ、散開後のメンバーひとりひとりを主役に据えた『トーク&セッション』も見逃せない。メンバーそれぞれの友人、尊敬する人などをゲストに招いて台本なしのフリートークを繰り広げるこの企画、まずは「ヒダカトオル×中村一義」では、もともと宅録ユニットとしてスタートした超初期のビークルと中村一義との深い因縁が語られ、音楽マニア同士のトークに花が咲く。そして、「カトウタロウ×上原子友康(怒髪天)」はいかにもギタリスト同士らしい居酒屋トークで盛り上がるが、「ケイタイモ×佐久間正英」はやや異色のノリで、クールで物静かな高名なプロデューサーを前にしてケイタイモがインタビュアーのようにあれこれ聞き出すという展開が面白い。さらに「マシータ×トロピカル・ゴリラ」は言わずと知れた親友同士ということでざっくばらんな内輪トークで盛り上がり、「クボタマサヒコ×木村世治(hurdy gurdy,Pale Green)」はなぜか料理番組のスタイルで話が進む。こんなに個性的な5人がよくひとつのバンドをやっていたな…と改めて感心しつつ、最後にそれぞれのセッション演奏が聴けるのもうれしい。ちなみにこの『トーク&セッション』はDVDではダイジェスト版になっていて、Blu-ray Discのみに完全収録されているので、見られる方は迷わずこちらを選んだほうがいい。
さらにもうひとつの企画が『仮面の告白』と題したドキュメンタリードラマ(?)で、主人公である俳優・タレントの中村有志がビークルのメンバーに散開の真相について迫るというもの…なのだが、ここはネタバレになってしまうのであえて書かないが、確かに言えるのは“これで散開の真相が分かった”という人は日本中にひとりもいないだろうということか(笑)。シュールな笑いを散りばめた不条理劇として楽しめる、ビークルらしい企画である。
これだけ多くの内容が詰め込まれ、初回仕様限定は美麗特殊ジャケットに包まれた豪華盤。最後の最後までポップでキャッチーでゴージャスで、しかし人を食ったような笑いと脱力さえ感じさせる唯一無二の個性派お面集団らしいラストアイテム。クリスマスプレゼントに、お歳暮に、今年頑張った自分へのご褒美に、ぜひ手に入れたい逸品である。
BEAT CRUSADERS プロフィール

結成当初は、hidaka(vo&g)と岩原幸夫の2人組のユニットだった“ビークル”ことBEAT CRUSADERS。岩原が脱退後、hidaka(vo&g)、thai(key&vo)、umu(b&vo)、araki(dr&vo)の4人で活動をスタート。メンバー全員、公の場では張りぼてチックなお面をあてがって登場し、決して素顔を見せない(ライヴは例外)。下ネタコール(ここでは書けない言葉だが…)は、彼らのライヴではお決まり。

そんな彼らは99年、<LASTRUM>より1stシングル「NEVER POP ENOUGH e.p.」でシーンに現れ、パンク/メロコア/スカコアを全てぶち込んで作り上げたパワー・ポップを展開。ラウドなギターが鳴り響くなか、センチメンタルなメロディが押し寄せる楽曲は、ウィーザーのようなバンド像を彷彿させ、耳の肥えた洋楽リスナーにも高い支持を得た。また同年のコンピ盤『特撮狂』で「秘密戦隊ゴレンジャー」をカヴァーするなど茶目っ気もたっぷりだ。以降、スタジオ・ワークと共に精力的なライヴ活動を展開し、01年にアメリカ西海岸ツアー、02年にはオーストラリア・ツアーも行なっている。4枚のアルバムを発表し、ミュージシャン/リスナーからアツい支持を獲得していたビークルだが、03年8月をもってhidaka以外のメンバーが脱退することに。

だが心機一転、同年末にレーベルを<CAPTAIN HOUSE>に移し、ヒダカトオル(vo&g)、クボタマサヒコ(ba)、カトウタロウ(g)、マシータ(dr)、ケイタイモ(key)の5人編成となって活動を再スタート。04年6月にはメジャー・レーベル<DefSTAR RECORDS>へ移籍し、大人気バンド漫画をアニメ化した『BECK』の音楽監修を担当するなど、仮面の下に隠した才能が大爆発した。が、シングル8枚、オリジナル・アルバム3枚、ミニ・アルバム4枚をリリースした後、10年6月6日午前6時6分6秒、オフィシャル・サイト上で9月4日を以って解散ならぬ「散開」することを発表。現状5人で演れることは、ほぼ演り切ったからとのこと。今後はそれぞれ音楽に勤しんでいくようなので、個々の活動に期待したい。BEAT CRUSADERS Official Website
オフィシャルHP
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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