L→R 吉田結威(Gu&Vo)、山田義孝(Vo)

L→R 吉田結威(Gu&Vo)、山田義孝(Vo)

【吉田山田】吉田山田の曲がそれぞれ
のかたちで応援歌になったらいい

やさしくもあり、切なくもある1stアルバム『「と」』。聴き終わった後に温かい気持ちになる、まさに吉田山田らしい応援歌が詰まった一枚である。そんなキャリア初のアルバムを彼らは“12A面アルバム”と呼んでいる。
取材:石田博嗣

吉田山田らしいハートフルでハートウォームなアルバムになりましたね。

吉田
デビューして1年が経つんで、ファンの人たちは喜んでくれると思うんですけど、これから出会う人たちがまだたくさんいると思うので、その人たちに渡す名刺になればいいなとは思ってましたね。だから、“12A面アルバム”…僕らはそう呼んでいるんですけど、どれを出しても吉田山田だと言える12曲を集めました。

“吉田山田の歌=応援歌”だと今までのインタビューで語っていましたが、まさに“応援歌”が詰まっていました。

吉田
“応援歌”といっても広い意味があって…これは僕の中ではなんですけど、悲しい曲も切ない曲も失恋の曲も応援歌だと思っているんですよ。例えば、すごく悲しい気持ちの時に、僕は元気になる曲じゃなくて、悲しい曲を聴きたいタイプなんですね。悲しい曲がすごく心を癒してくれるんです。だから、このアルバムが応援歌だって言うよりも、吉田山田の曲がそれぞれのかたちで応援歌になったらいいなと思ってます。
山田
うん。この中の1曲でも印象に残ってくれればいいかなって。最近、思うんですけど、僕らは“吉田山田”だけど、“吉田”と“山田”なんですよね。ひとりひとりなんですよ。僕はひとりぼっちだと感じてしまうことがよくあって…それこそ世界中で自分ひとりになってしまったような感覚になることがあったんですけど、みなさんもそういう感覚になるってことを知って、僕たちはひとりだけど、ひとりぼっちではないんだと思ったんです。世界中でひとりぼっちだと思ってしまう時って、アルバムのタイトルでもある“と”を…側に誰かがいることに気付けてない状態なんだと思うんですね。なので、“頑張れ!”って言うだけじゃなくて、側にいるだけでも応援のひとつだと思ってるから、このアルバムがその人の日常の中にあるものになればいいなと思ってます。

そういうアルバムの中で、「ソウルフード」は少し違うタイプの曲ですよね。

吉田
そうですね(笑)。20歳ぐらいの頃に、ふたりで武者修行にニューヨークへ1カ月間行ったんですよ。その1年前に吉田山田として頑張っていこうって決めたんですけど、お菓子食ってしゃべってただけで、結局1年間何もやってなかったんです。曲も作ってなかった…っていうか、どうやって作っていいかが分からなかったんですよね。このままではただの仲のいい友達で終わると思って、ふたりでお金を貯めてニューヨークへ行こうって。大変でしたけどね。ふたりとも英語ができないし。で、初めて喧嘩をしたんですよ。でも、山ちゃんとふたりで旅をして、自分の汚いところとか、弱いところも全部見せ合って、それで日本に帰ってこれたことが一番の収穫だったと僕は思っていて…それは単純に、今までお互いの気持ちを見せ合うのが怖かったんですよね。例えば、僕がギターを弾いて“こんなのどう?”って訊ねた時に“そんなのダサいよ”って言われるのが怖かった。でも、ニューヨークで自分たちの限界を見て、心からぶつかり合えた…それがすごく良かったんじゃないかなって。そんなニューヨークで受けた印象を日本に帰って来てそのまま曲にしたんで、ほんとずーと歌ってきた曲なんですよ。メッセージ性があるっていうよりも、思わず手拍子したくなる曲っていうことでライヴで歌っていたので、その雰囲気をそのままアルバムに閉じこめたいと思って一発録りで録ったんです。

ライヴ感を出そうと、曲頭に煽りみたいなものを入れて?

山田
あれは…その場で思い付いたことを口走っただけです(笑)。
吉田
そうそうたるミュージシャンの方たちに向かって“スペシャルピーナッツバンド”って言った時は、さすがにどうしようかと思いましたよ(笑)。

でも、楽しい雰囲気は伝わりましたよ(笑)。アルバムのレコーディング自体はどうでした?

吉田
基本的にいつものチームでレコーディングさせてもらっているので、楽しいし、ライヴで何回も歌っている曲たちなので自分たちの体に入っている…ライヴで歌ったことのない曲もあるんですけど、“この言葉はこんな感情で歌いたい”っていうのが自然と出てくるから、緊張もあまりせずに、楽しく歌えたって感じですね。
山田
面白かったですね。和気あいあいとできたっていう感じです。例えば“吉田山田の時間が始まるよ~”って曲の頭で言ってみたり、“押し出せ、押し出せ、ネガティブ押し出せ!”って曲の最後に入れてみたりしたんですね。結果的に“今回は違う”って話になったんですけど、いろいろやってみたいことに気付けたレコーディングでしたね。

唯一、実現したのが「ソウルフード」?(笑)

吉田
あそこはだけは阻止できなかったんです(笑)。でも、このアルバムで初めて吉田山田を聴く方々は、僕らがどんな人なのかっていうのは一部しか分からないと思うので、そういう部分からでも僕らのことが分かってもらえたらいいなって思いますね。

さらに吉田山田を分かってもらうための全国行脚がありますが。

山田
僕の大好きな詩人の方のすごく素敵な言葉があって…“事件は会議室で起こってんじゃない! 現場で起きてんだ!”っていうんですけど(笑)。ライヴも同じだと思うんですよ。ブログや雑誌やCDでは伝わらないものがあるので、その独特のライヴ感を感じに来てほしいですね。
吉田
ボケが長いわ! で、ちょこちょこ大事なことを言わないで! 早々に突っ込みたかったんだから。

(笑)。ファイナルはワンマンなんですよね。

吉田
もう今から楽しみで、ほんとに。1年以上ぶりのワンマンなんですよ。今までは20分や30分という限られた時間でやらないといけなかったので、そこで溜まったいいフラストレーションをワンマンで発散できたら楽しくなるんじゃないかと思ってます。
山田
ワンマンは何をしてもいいと思ってるので、すごくワクワクしてます。頭の中にいろんなことが浮かんでいるので、それをどこまで実現できるかなって(笑)。
『「と」』
    • 『「と」』
    • PCCA-03285
    • 2010.10.20
    • 2500円
吉田山田 プロフィール

ヨシダヤマダ:吉田結威(Gu&Vo)と山田義孝(Vo)からなる男性二人組アーティスト。2009 年10 月に「ガムシャランナー」でメジャーデビュー。毎年精力的にライヴ公演を行なっており、16年と19年には47 都道府県ツアーを開催。また、音楽活動以外にも吉田はゲーム配信やeスポーツイベントへの出場を果たし、山田はグッズやMV のイラストデザインを手がけ、『SHIBUYA ART AWARDS 2022』では絵画作品が入賞し、オーディエンス賞を受賞するなど、マルチに活躍。13 年12 月に放送を開始したNHK みんなのうた「日々」が“泣ける歌” と話題になり、5度の再放送を経てロングセールスを記録。22 年にはTikTokで「もやし」が話題となり、もやしを使ったエフェクトや振り付け動画や歌ってみた動画など多くのUGC(ユーザーコンテンツ)が投稿される。23年5月には自主レーベルから待望の9 枚目となるオリジナルアルバム『備忘録音』をリリース。吉田山田 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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