L→R 山口大吾(Dr)、波多野裕文(Vo&Gu)、福井健太(Ba)

L→R 山口大吾(Dr)、波多野裕文(Vo&Gu)、福井健太(Ba)

【People In The Box】音楽に対する
自由さを楽しみたい

2月にリリースした1stシングル「Sky Mouth」の全国ツアーではファイナルのSHIBUYA-AXをはじめ、チケット完売が続出した実力派バンドが久しぶりのフルアルバムをリリース。独自の感性で作り上げたスケールの大きな傑作だ。
取材:宮本英夫

フルアルバムとしては3年振りとなる2ndアルバム『Family Record』ですが、これはいつ頃から作っていたのですか?

波多野
作業自体は「Sky Mouth」のツアーが終わってからなんですが、曲に関して言えば前々作『Ghost Apple』の時の制作期間中に作った曲も入っているので、そう考えると比較的長い期間をかけて作ったアルバムだと思います。

そういうふうにストックがある状態は珍しいのですか?

波多野
一般的にどうかは分からないですけど、だいたい僕らは昔の曲は、その時にレコーディングしなかったものはボツになることが多いのですが、今回は制作まで曲を温めておくことができました。とはいえそれも数曲で、ほとんど原型から変わったものもあります。今回は制作のための準備期間もしっかり設けたので曲に困ることはありませんでした。

曲名のイメージもあるのですが、聴いている間ずっと、どこかへ旅に誘われているような感覚がありました。

福井
いろんな表情の曲を作れたので、そういう感覚はあると思いますね。

完成して、それぞれどんな手応えがありましたか?

山口
狙い通りのところもちょっとあり、しっかり向き合って作れた作品だなあと思います。自信を持って押し出せる一枚です。いつも新鮮な気持ちで取り組んでいるので、それは今回も変わってないんですけども。でも、テンションの上がる作品ができたので、すごく良かったと思います。
福井
3人が3人とも自分の中から出てくるものをうまくかたちにできて、ちゃんと作れるようになったなという実感があります。ちゃんと伝えるというか、伝わるCDになったなと。細かいところまで意識できたと思います。
波多野
ちゃんと実を結んだという実感はあります。

作る前にテーマは何かあったのですか?

波多野
テーマはありません。テーマとは言えないかもしれませんが、自分たちがその時一番楽しいと思えることを実現するために、直感的な部分をまずは大切にしています。最初にゴール地点を目指していくというよりも、その時その時の感じを大事にしつつやるという作り方は昔から変わってないです。

アルバムタイトルの“Family Record”はどうですか?

波多野
付けたのはレコーディング終盤なのですが、キーワードとしては、歌詞を書き始めた時からずっとあったものです。これも額面通りに取ってもらって全然大丈夫なんですけど、捉えた人の印象でOKです。

親しみやすい、温かいイメージを感じたのですが。

波多野
そうおっしゃる方もいるし、そうじゃない方もいるし、人によって感じ方が違うのはすごくいいなと思っています。例えば、僕の場合は“ファミリー”という言葉にむしろ冷たい響きを感じています…。“レコード”というのは、アナログのレコードという意味もあるし、“記録”という意味もあるし、どれも正解です。

あまり決め付けてはいけないんですね。

波多野
いやいや、決め付けていいですよ。感性ですから。

率直に言うと、このアルバムには良い意味でポップさを感じました。

波多野
いろんな意味で音楽に対する自由さを楽しみたいなというのがあって、それをみなさんに聴いてほしいというか。その自由さはどういう自由さかというと、やっぱり感性の自由さだと思うんですよ。受け取る人によって受け取り方が違うという自由さもあるし、本当に感性が自由だということは、場合によっては時々孤独になることもあるし、善悪を飛び越えちゃうこともあるし、そういうところまでを含めた自由さみたいなものを表現したいなと思っています。

ポジティヴだとかネガティヴだとかではなく…

波多野
そういう極論から逃げたかったというのはあります。どっちも内包したいというか。どっちかに寄っちゃうのは結構簡単なことで、どちらでもあり、どちらでもないというのが僕らの日常だと思うんですよ。そういう自然さは3人で作っていく中でちゃんと出てくるし、今までもそういう気持ちではやってたんですけど、それがダイレクトに伝えられるようになった結果、“ポップさ”みたいなものにつながったのかもしれないですね。
People In The Box プロフィール

波多野裕文(vo&g)、福井健太(b)、山口大吾(dr)による次世代スリーピース・ロック・バンド。07年〜08年にかけて、9mm Parabellum Bulletやte' 、perfect piano lessonが所属するインディペンデント・レーベル<残響record>よりミニ・アルバム2枚、フル・アルバム1枚を発表。彼らの特徴はしなやかなドラム、力強いベース、青白い和音を奏でるギターのスリーピース編成を生かしたスマートなサウンド、複合的なリズムにポップな歌のメロディーだ。イノセントな声が、不思議な世界観をともなって耳に飛び込んでくる。そのオリジナリティー溢れるスタイルは、口コミを中心にファンの数を増やし続け、ライヴ動員も日々増加、09年2月に行われた渋谷クラブクアトロでのワンマン・ライヴでは750枚のチケットが全て完売となった。そして09年10月に<クラウンレコード>より3rdミニ・アルバムとなる7曲入りのトータル・コンセプト・アルバム『Ghost Apple』をリリース。オフィシャルHP
公式サイト(レーベル)
公式サイト(アーティスト)

OKMusic編集部

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