【10-FEET】アルバムの序盤、中盤、
終盤…
みたいな3曲になった

約14カ月ぶりに放たれるニューシングル「hammer ska」。そこには3曲3様の楽曲が収められいるだけはなく、それぞれに深いメッセージが込められている。しかし、その想いの大本はひとつだという。
取材:土内 昇

昨年9月にアルバム『Life is sweet』を出してからずっとライヴをしている印象があるのですが、その中で今回のシングルの曲を作ったということですか?

TAKUMA
そうですね。ツアーの時期に録り溜めたメロディーであったり、歌詞であったり、トピックとかが入ってます。ライヴでの自分たちというか、一夜一夜挑んできたライヴや、その場にいたお客さんからもらったものも多いと思いますね。

そういう中で「hammer ska」は生まれたと?

TAKUMA
「hammer ska」はレコーディングの後半ですね。具体的な方向性があったわけじゃないんですけど、パッと聴いた時の直感で“なんか、しっくりこえへんな”ってなって、3曲あったうちの1曲をバラして作ったんですよ。

もとあった曲を再構築して?

TAKUMA
一から作り直しました。新たにネタ作りをしたんで、前に作っていたもので代用したりすることはなかったです。だから、無我夢中でやってました。2曲目と3曲目はネタがあったし、イメージもあって作ったんですけど、この1曲目は“ギター持って、適当に弾いてみて”って言われて出てくるフレーズを曲にしていく作業に近かったですね。
KOUICHI
あんまり深く考えずに、自分が感じるままにやってましたね。頭で考えずにやってたというか。
TAKUMA
思わず出てしまう演奏というか、フレーズをどんどん乗せていったというか…遠目から曲を見て“こういう骨格やから、ここはふくよかな肉付きのほうがええな”という作業がなかったですね。

アカペラから始まるし、言葉の強い曲だと思ったのですが、そういうイメージが最初からあったわけでもなく?

TAKUMA
なかったですね。歌いたいメッセージやトピックというのはおぼろげにはあったんですけど…まぁ、さんざん時間がかかったわりには、取りかかってから早かったですね。最初の3曲を作って、そのうちの1曲をバラして「hammer ska」を作ろうとするまでは時間がかかったんですけど、そこからはあんまり衝突することもなく。なんか、“あぁ、こういう方向か”みたいなものがあったというか。
NAOKI
全体像を見た時に“速い感じかな”という感じだったし、だいたいの展開ができた時には“こういう音質のほうが迫力があるやろな”っていうのも見えてましたね。
KOUICHI
だから、結構話し合いながらやってましたよ。今までのシングルよりもさらに言い合いして、“こういうふうにしたほうがええんちゃう?”って。
NAOKI
歌詞はまだでしたけど、ざっくりとしたメロディーがあったんで、それを活かすことを考えてベースも音を作っていったし、リズム隊としても細かいフレーズを優先するっていうより、全体像を見ながら曲が活きることを考えましたね。

そういう過程で、いろいろなものをなぎ倒してくような力強いサウンドが築かれていったわけですね。では、歌詞は?

TAKUMA
伝えたいことはおぼろげにあったんですけど、歌詞として存在しているっていうわけではなくて…だから、それを言葉とメロディーにハメっていったというか。今まではトピックが常にいっぱいあって、曲が出来上がった時点で“この曲やったらどういうことを歌ったらいいかな?”って選んだり、考えたりする作業があるんですけど、今回は“こういうことを歌いたい!”というのが見えていたんで、メッセージをどうするかって考えることはなかったですね。

「hammer ska」では“勇気を持たなきゃダメだ”とメッセージしているわけですが、なぜそういうメッセージが出てきたのでしょうか?

TAKUMA
…それは分からないですね。今回、歌詞の内容は3曲とも違うんですけど、大本になっている想いは同じなんですよ。2曲目の「rainy morning」も歌の中の言葉上は最終的に一歩を踏み出すようなイメージなんですけど、自分の中に浮かんでいる風景では結局踏み出せなかったり、過ぎたことを眺めている…分かっているんだけど何もできないでいる自分が、朝方の雨空を呆然と見上げている状態なんですね。“明日、行動に移そう”ってつぶやいているだけっていうか。しかも、どっちかって言ったら、行動に移すことはできないんじゃないかって思っている。“もう何もできへん!”って呆然と雨空を見上げている状態なんです。比喩的な表現や文学的な表現がしたいわけじゃないんですけど、物語の起承転結を求めているわけではなくて…心の中の描写なんですよ。葛藤というよりも、叫びっていうか。

3曲目の「求め合う日々」も前を向いて歩き続けているんですけど、“諦め”みたいなものを感じたんですね。だから、いろいろなものを受け止めた上で前に進むということが今回のシングルの基になっているのかなと思ったのですが。

TAKUMA
安らぎも喜びも平和も全部その対象になるもの、相対するものがあってこそ存在すると思うんですよ。だからって“試練よ、もっと自分に降りかかれ!”とは思わないですけど。歌詞を書き始めた頃から、常にそういうことを思っているんですね。自分的にそのトピックは大きすぎて、深すぎて、なかなか歌にすることができなかったというか。だけど、今それにチャレンジしてみたら、わりと重すぎることもなく、ちゃんと10-FEETっぽくすることができたという感じですね。

なるほど。サウンド的にもさまざまで、内容の濃いシングルになりましたね。

TAKUMA
アルバムみたいなシングルですね。10-FEETのアルバムの序盤の象徴、中盤の象徴、終盤の象徴…みたいな3曲になったなって。もともと全曲がシングルのパイロットソングになるものを作るということにチャレンジしていたんで、そのままの作品になったというか。
NAOKI
毎回そうなんですけど、基本的にどれが1曲目になってもいいように作っているので、どれもキャラの強い…ライヴでも栄えるし、街に流れていたら耳に引っかかるぐらいパンチがあるから、それぞれ分けて出したいぐらいですね(笑)。
10-FEET プロフィール

テン・フィート:1997年に京都で結成。現在も拠点を京都に置いて活動中。シンプルな3ピースという形態ながら、メロコアというジャンルではすでに括ることのできないその音楽性は、ロック、パンク、ヘヴィメタル、レゲエ、ヒップホップ、ギターポップ等のジャンルを10-FEET 流に取り入れて幅広い独自のものを確立、ロックシーンで確かな存在感を示している。また、年間約100 本近い精力的なライヴ活動も、その迫力満載のライヴパフォーマンス、人間味あふれる深いメッセージが込められた歌詞やMC、笑顔を誘い出すキャラクターで常に話題を振り撒き、エンターテイナー性あふれるその活動スタイルを徹底している。また、2007年から自身で主催する野外フェス『京都大作戦』(2007年は台風の接近のため中止)も大成功におさめている。10-FEET オフィシャルHP

OKMusic編集部

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