【スネオヘアー】自分もソワソワでき
る感覚
久々のリリースは、TVアニメのエンディングテーマを含むミニアルバム。どんな気持ちで本作を制作したのかを語ってもらった。
取材:石田博嗣
ベストアルバム後の作品になるのですが、やはり心機一転みたいな意識はありましたか?
ベスト盤を出した後にいろんな環境の変化があって、まったく音楽から離れていた…ほんと充電期間という感じだったんですよ。物作りが好きなんで宅録をやってたりして、いち音楽ファンに戻ったというか、原点に返った感じでした。リリースの予定もなかったし、環境も整ってなかったし。だから、この半年がすごく長く感じました(笑)
では、TVアニメ『荒川アンダーブリッジ』のエンディングテーマの依頼があって、音楽活動を再開したと?
そうですね。今回のお話をいただいて、リリースというビジョンが見えて、気持ちもすごく盛り上がって…レコーディングして、リリースして、プロモーションをやって、ツアーに出るっていうのが、乱暴な言いかたをすれば、自分の中でルーティンになっていた部分があったと思うんですよ。でも、リリースができること、発信できるっていうことがすごくうれしくて、それで気持ちが盛り上がったんだと思います。
やはり「逆様ブリッジ」は原作を読んで作ったのですか?
『荒川アンダーブリッジ』のクリアファイルをもらったんですけど、そこに描かれている絵がビビッドだったんで、その絵からイメージして作りました(笑)
では、どんな曲にしたいと?
このアニメって登場人物が多くて、群像劇みたいな感じでいろんな気持ちが錯綜しているんですね。だから、いろんな気持ちが交錯して、ひとつの人格というか、感情を成している…そこで自分もソワソワできるっていう感覚だけで作りました。僕もいろいろ気持ちが揺れてたり、悩んだり、分かったような気になったり、日々そういうことを繰り返しているので。
シンプルなバンドサウンドで、カラッとした爽快なギターロックで、それがアニメの世界観に合っていると思いました。
リハーサルスタジオにデモを持って行って詰めたんですけど、やっぱりシンプルなものになりましたね。アレンジを進めていくとシンセを入れたりすることが多いんですけど、デモの時からそういうものは鳴ってなかったので、そのままズバリやろうっていう感じでした。少ない音数で…さっき言った、ソワソワ感や切な感が成立していたんですよ。
その“切な感”の部分なのか、サウンドは爽快なのにメロディーが切なく感じたのですが。
うれしいとか、楽しいっていうポジティブな感情を曲にしても自分的にはグッとこないんですよ。光に対して陰があって、その両方がちゃんと映し出されていることに気持ちが動くっていうか。幸せだけだったら音楽なんてやらなくていいと思うんです。幸せを感じてればいいので。そうじゃないから曲を作りたくなるわけで…そこは自分の中でのテーマにもなってますね。
この作品には、あと3曲入っているのですが、最初からミニアルバム的なボリュームにしようと思っていたのですか?
キングレコードさんから“ミニアルバムで”って(笑)。だから、統一感がなくてもいいかなって。4曲なんで性格の違う曲が集まっても面白いだろうし…っていうか、自分的にも“再始動しました”という気持ちがあるから、カタログとしてバリエーションのあるものをやりたいと思いましたね。そういう意味では、今の自分のモードが作品に落とし込めました。“ご無沙汰してます。生きてますよ”って感じです(笑)
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