写真中央より時計回り 染谷西郷(Vo)、宮田泰治(Gu)、春日井陽子(Flute)、住職(Dr)、オガチ(Per)、JOTARO(Ba)、ヨシロウ(Gu)

写真中央より時計回り 染谷西郷(Vo)、宮田泰治(Gu)、春日井陽子(Flute)、住職(Dr)、オガチ(Per)、JOTARO(Ba)、ヨシロウ(Gu)

【FUNKIST】歩みを止めるな、もっと
もっと前へ

「ft./ピースボール」は、アニメ『FAIRY TAIL』の第2期オープニングテーマ、そしてTBS系『スーパーサッカー~J~』という強力タイアップが目白押しの両A面シングル。FUNKISTの真骨頂を見せつける濃厚な3曲を収録!!
取材:金澤隆志

「ft.」は「Snow fairy」に続いてアニメ『FAIRY TAIL』のテーマ曲ということで、略称“FT”に由来しているのかなと思ったのですが。

染谷
それもあります。前回同様、アニメの世界観と共通性を持ったものにしたかったので、主人公が龍に育てられた少年ということで“タイトルもドラゴン・ダンス”でほぼ決定していたんですよ。でも、曲調を考えるとどうしても腑に落ちなくて。そんな時、辞書で“ft.”を見つけてピンときたんです。長さの単位の記号であると同時に足という意味もある。サビが“もっともっと前へ前へ”と足や歩みをイメージさせるし、『FAIRY TAIL』の略称でもある、と。まさに全てが重なった瞬間でしたね(笑)。

サウンド的にはFUNKISTの“熱い”要素を詰め込んだ、まさにFUNKISTの王道という印象を受けました。

染谷
前回はアニメの世界観に合うものというテーマが第一にあったんだけど、今回はその中でよりFUNKISTとしてのカラーを強く出すという挑戦があったんです。土っぽさがあったり。番組が春から夏にかけて放送されるということで、暑苦しいぐらいの曲にしたくて。
ヨシロウ
ガッツがありますよね。これまでのFUNKISTにはあまりないぐらい激しい音になったと思います。

さらに、FAIRY TAIL EDITIONの「ft.」では、原作者の真島ヒロさんがギターソロで参加されたそうですね。

染谷
僕らはインディーで横のつながりの中で活動してきたんで、昨年「Snow fairy」がオープニングテーマ曲に決まった時、まずみんなで先生に手紙を書いて。でも、忙しい方なのは分かっていたし、返事がもらえなくてもいいと思っていたんですけど、ちゃんと返事をくれて、ライヴにも足を運んでくれたんです。そんなふうに先生とも横のつながりが生まれていって。で、今回は先生が昔ギターをやっていたと聞いたので、本当に思い付きだったんだけど、一緒にやれたら面白いんじゃないかと。で、みんなでビデオレターを作ってお願いしたら、本当にスタジオに来てくださったんですよ。大人な世界の中で、いろいろと段取りがあってということが多い中、メンバーの思いを先生にダイレクトに伝えたことで、何かを感じてもらえたのかもしれないですね。
ヨシロウ
マンガの欄外にも“アルバム聴いてます! スゲーカッコ良い!”というメッセージを書いてくれていたりして、本当にうれしかったですね。

かたちは違えど、同じ表現者ということで理解し合える部分があるのかもしれないですね。

染谷
すごくストイックで負けず嫌い、しかも元ヤンって聞いていてビビってたんですけど(笑)、一緒に作業を始めると、やっぱりこだわりがすごい。僕らがいいと思えるテイクも、先生のほうから“納得いかないんで、もう1回!”って。マンガと音楽と表現方法は違うけど、先生のそうした姿勢はすごく勉強になりました。ギターソロひとつにおいても、ここまで自分を追い込む姿勢があってこそ、あれだけ多くの人に支持される作品を作れるんだなって。すごく刺激になったし、有意義な時間でした。
ヨシロウ
音も尖ってたし(笑)。人間性が出てますよ。レコーディングという夢が叶ったって喜んでいました。
染谷
昔、THE BLUE HEARTSのコピーバンドをやっていて、真島ヒロというペンネームもマーシー(真島昌利)とヒロト(甲本ヒロト)に由来するらしいですよ。あと、週刊少年マガジンで今回のレコーディングの模様をマンガ『もう、しませんから。』でドキュメントしてくれた西本英雄さんもコーラスで参加しています。“俺の出番はいつなんだ?”と言うので、“じゃあ、コーラスをやりますか?”って(笑)。

(笑)。両A面のもう1曲「ピースボール」は、まさにワールドカップイヤーを象徴する曲ですね。サッカーボールを巡るさまざまなドラマが見えます。

染谷
2010年の南アフリカ大会に向けて、日本と南アフリカをつなげたいという意識を持っていたので、この曲はわりと早い時期に書いていました。去年南アフリカツアーをやって音楽で言葉や文化を超えた実感はあったんだけど、同時にサッカーの力をすごく感じたんですね。子供たちとボールを蹴ったら一瞬で仲良くなれた…音楽だと壁を超えて届かせるのが大変だけど、サッカーの場合は届かせるかどうかの問題じゃないんですよね。そうしたサッカーボールがつなぐさまざまな思いを描きたかったんです。あと、南アフリカは生きていく選択肢が多くない分、サッカー選手になることが大きな希望で、そうした少年たちの力強い意志と憧れの気持ちを描いています。
ヨシロウ
この曲はガットギターを全面に押し出していて、よりラテンやスパニッシュな空気感が出ていますね。スタジアムで大合唱するような熱い雰囲気を感じてもらいたいな。

3曲目の「メロディー」は、ロックミュージカルのために書き下ろした曲だそうですね。

染谷
西川たけしという友人が主催しているミュージカル『ビリーブ』のために書いた曲で、公演の直前まで手直ししていました。今回の芝居のテーマが、この曲の大サビにもなっている“全てを叶える自分じゃなくて、最後まで諦めなかった自分をイメージしよう”ということで、それに沿ったものになっています。思い描いた未来が全てその通りになるとは限らないけど、そこに向かって歩み続けるか、歩みを止めるかは自分次第。逆説的に言えば、夢を叶えた人は全員歩き続けた人なんですよね。というところで、「ft.」の歌詞の最初に戻っていくという(笑)。

3曲がつながるループ構造になっていると! 見事な展開ですね。

染谷
まぁ、意図してそうなったわけじゃないんですけど(笑)。本当に今の自分たちがそのまま出ているから、自動的にシンクロしたのかなって。
FUNKIST プロフィール

01年に結成。染谷西郷(vo)、宮田泰治(g)、ヨシロウ(g)、春日井陽子(flu)、JOTARO(b)、オガチ(per)、住職(dr)からなる7人編成。日本のみならず、南アフリカ、アジア、インドなど、世界中所狭しと駆け回り、年間100本を超えるライヴを繰り広げてきた生粋のライヴ・バンドである。

染谷の故郷でもある南アフリカ仕組みのビートフルなリズムに染み入るメロディー&リリックが混ざり合い、ジャンルの壁を超えたFUNKIST独自のスタイルを生み出した。些細な日常の様子から世界中の様々な問題までを等身大の自分達で表現するその音楽は“笑顔あり”“涙あり”聴く人の心を掴んで離さない。そんな彼らのオーディエンスを巻き込んでのライヴは、老若男女問わず人と人を繋げ、国境も超えられる程の熱い想いで地球規模の大切なメッセージを伝えている。

08年4月、SHIBUYA-AXにて開催されたワンマン・ライヴで大成功を収めたことが皮切りとなり、5月に催された『9条世界会議ヒロシマ』では6,000人を超える観衆を前に圧巻のパフォーマンスを披露。そして7月には、<ポニーキャニオン>より1stシングル「my girl」でメジャー・デビュー。09年7月に10-FEET主催の『京都大作戦 2009』へ参戦、サブ・ステージながら1,000人以上を集客するなどしてFUNKIST旋風を巻き起こした。FUNKIST Official Website
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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