【植村花菜】今後の分岐点となるアル
バムができた
感涙必至の「トイレの神様」を収めたミニアルバム『わたしのかけらたち』。そのタイトル通り、そこからは素の植村花菜が感じられる。
取材:石田博嗣
「トイレの神様」、むっちゃ泣きましたよ。
ほんまですか(笑)。私も最初のデモを作る段階で、泣いて歌えなかったんですよ。2番のサビぐらいでウワァ~って泣いてしまって“歌えません~”って言ったら、プロデューサーの寺岡呼人さんも“俺もヤバい~”って(笑)。泣くのを我慢できなくなって歌えなくなるのって初めてだったんで、こんな曲もあるんだって自分でも驚いたんですけど、逆にこうあるべきだと思いましたね。それだけ身を削っているわけですから。
今回のミニアルバムに関しても言えることなのですが、それだけ包み隠さずに自分を出したということですからね。
そうですね。呼人さんが“花菜ちゃんのパーソナルな部分を音楽で表現したら、もっと良くなると思う”とおっしゃってくださって、在りのままの自分とか私のルーツを赤裸々にさらけ出すことをテーマにして、今回のミニアルバムを作っていこうってなったんです。
では、出来上がる曲も今までと違いました?
違うと思いますね。私は実体験でしか曲が書けないので、ひとつも嘘はないんですけど、無意識のうちに聴き手のことを考えて“こう書いたほうが伝わりやすいだろうから、言葉を変えよう”って言い回しを少し変えたり、ちょっとカッコ付けたりしてたのかなって。そういう意味では、今回は聴き手のことを意識しつつも、自分の言葉を大事にしたので、今までよりも自分をさらけ出した濃いものになったと思いますね。
サウンド的にもアコギが基本になっていてシンプルでやさしく、歌がより前に出ていますよね。
それも狙って作ってました。自分のルーツということで歌はもちろん、アコギも私の原点なので、そこが前に出るサウンド作りを意識してやってたので。あと、切ない曲もあるけど、聴き終わった時に、最後は温かい気持ちなるアルバムにしたかったし。
でも、「わたしはじめ」のようにホーンやバンジョーが入っている曲もあって。この曲は楽しげですね。
この曲は普段の私…すごく私らしい曲なんですよ。いつもアホなことばかり言ってるので、愉快な私が出ているというか(笑)。他の曲がしっとりとしているので、バランス的にもライヴで盛り上がれるようなアップテンポのものが欲しいってことになって、そういうことを意識してやってたらどんどんコミックソングっぽくなってしまったという(笑)。歌詞に“波乱がバンジョー鳴らして”って言葉が入っているので、最初は入れるつもりはなかったんですけど、この歌詞でバンジョーが入ってなかったら絶対にあかんと思って入れたり(笑)
(笑)。意味深いアルバムが出来上がったという感じですね。
今後の“植村花菜”としての方向性、曲作りっていうものが、このアルバムができたことによって大きく変化するだろうなって思いますね。今後の分岐点となるアルバムができたというか。
「トイレの神様」がラジオなどですごく反響があるのも、自信になっているのでは?
“これで間違ってなかったんだ”って思いますね。私のエピソード的な曲だから、最初は“これでいいのかな?”って不安だったんですけど、エピソードはどうであれ、感情の部分で多くの方々が共感してくれたので、聴く人のことを意識して書くってことよりも、私にしか書けない曲というものに重きを置いて曲作りをしていくべきだと思ったというか。それを『トイレの神様』で気付かせてもらったという感じですね。
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