【たむらぱん】“しなやかに生きる”
という強さ

まるでテーマパークのような音世界と、深みをたたえながらも軽やかに響くメッセージ。両A面の形態だが、トリプルAサイド級の充実作! 名曲揃いです!!
取材:竹内美保

最初に受ける印象はカラフルでキャッチー。でも、中毒性があって、聴き込むといろいろなことを深く考えさせられる曲ですね、「バンブー」という作品は。

この曲は“どういうものが本当の強さなのか?”という自分の思いから広げていった作品なんですね。このご時世で求められる“強さ”に対して、“じゃ、頑張ります!”ってガーッと上がる強さなのか、それともそれをうまくかわすことができたり、要領良くやれるというのが強さなのか。私は“要領がいい”という対応力、“しなやかな対応”というのが必要なのかなと、すごく感じているんですよ。

1番の歌詞ではル-ティ-ンな1日が綴られてますが、時間軸が人生の流れに移る2番を聴くと、日々の積み重ねの中ですごく変化が起きているということに気付かされました。物事は発展的に考えるのが大切とも改めて感じます。

物事の切り換えが大事というのは思いますね。“哀しい”と感じることを“うれしい”に近づける方法を知るとか。そういうふうに意識していたいっていう思いが私の中にあるので、そういった表現が『バンブー』には詰め込まれているんだと思います。あと、時間軸で言うと、この曲は歌詞の主人公の“僕”がドアノブに手をかけた、その一瞬の間に考えたことが表現された曲なんですね。で、映像的には曲が終わった後も、まだ同じ動作をしたままで。だけど、そういう時間軸の中ですごくいろんなことを考えるんだろうし、その一瞬っていうのが自分の意志が前に向くっていうことにつながるかもしれないなって。だから、その一瞬一瞬さえも敏感に感じて、“自分の意志で自分の意志が前を向くようにする”ということがすごく大事で。ただ、そういう“しなやかに生きる”という強さと同時に、“今の自分を好きだと思える、認められる”強さというのも、この曲から感じていだだけるといいなと思います。

やさしく琴線に触れるメッセージがすごく伝わってくる歌ですしね。でも、続く「マウンテン」を聴くと、“やっぱり人生は厳しいのねー”と(笑)。まぁ、“そこに山があるから”つい登ってしまうんですけどね、人っていうのは。

アハハハハ。そうですね。“人生は大変だ”とは思いつつも、それに何だかんだ向っている人間って面白いなと私は思っていて。だから、“何でそれを選んじゃうんだろう?”みたいな、そういう面白さを感じてもらえればって思います。

言葉のリフレインを効果的に使う田村さんならではの、“登ろろろ~”のフレーズも破壊力十二分ですが、“夢中になりたいわ”の響きがすごく素敵でした。能動的でハッピーな感覚をそこに伴っているのが感じられて。

夢中になれるって、すごいことだと思うんですよ。そこには理屈がないというか…“何のため”とかそういう理由もないっていう感じですからね。自分がすることに対して損得を考えないっていうのは理想ですし、それは“自分を信用できる”ということでもありますから。

心地良い「パラダイス」まで3曲続けて聴くと、ひとつの流れの中で自分の心持ちの中の大切な部分が喚起されていくような、そんな感覚があるシングルでした。

ありがとうございます。『パラダイス』は“幸せは身近なところにある”というのがテーマなんです。3曲ともバラバラなイメージなのにすごくつながってたり、ループできる感じは、この一枚を通して表現できたと思います。
たむらぱん プロフィール

岐阜県高山市出身のシンガ・ーソングライター田村歩美のソロ・プロジェクト。作詞・作曲やアレンジはもちろん、ジャケットやウェブ・ページのアート・ワークまで手掛ける真のマルチ・アーティストである。

07年1月から世界最大のSNS<MySpace>において自ら楽曲プロモーションを開始。4ヶ月で1万人のファンを獲得、18万PV、24万回のストリーミングを達成する。それがきっかけとなり<コロンビアミュージックエンタテインメント>からのメジャー・デビューが決まり、日本初の「MySpace発メジャーデビューアーティスト」として、08年4月にデビュー・アルバム『ブタベスト』をリリース。

また音楽以外のフィールドでもその才能は高く評価されており、08年11月に発売された2ndシングル「ゼロ」のビデオ・クリップでは、イラストレーター田村歩美としてSTUDIO4゜Cとコラボレーション/映像製作に参加する。本作は、08年10月に公開されたSTUDIO4゜C製作のアニメ映画『Genius Party Beyond』のエンディング・テーマにも起用され、まさに“ミュージック”と“アート”という2つのジャンルの垣根を超えて活躍している。オフィシャルHP
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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