【彩冷える-ayabie-】培ってきたもの
をいかに出せるか
冬に感じる切なさであったり、華やかさを詰め込んだ「サヨナラ」。疾走感あふれる同ナンバーは、最後のセリフを言えずにいる主人公の心の葛藤をバンドサウンドが表現している。
取材:ジャガー
今回、タイトル曲の「サヨナラ」、カップリングの「birthday song」、通常盤のみに収録されている「淡雪」と恋が始まり、相手を思いやるからこそ別れを決意し、そして別れた後、とストーリーが続いていますよね。
葵
時間軸で言うと「淡雪」が最初で、「サヨナラ」「birthday song」と続きます。どれも弱気な男性の心情なんですけど、こういう曲を聴く人の心情を考えて、どういうものが一番心に響くのか考えた時に、弱気というか内気な部分を出すべきだなと。なかなか1曲の限られた文字数の中で、世界観を表現するのは難しいんですけど、今回みたいに3曲つなげて歌詞を書くことで内容を色濃く明確に見せれたと思いますね。
楽曲を聴いて感じるものがあったからつなげたと?
葵
この3曲でひらめくものが恋愛だったんですね。で、恋愛ものを3つ並べてしまうと、どれも浅くなってしまう気がしたので、それだったら3つでひとつの広がりを見せた方がいいかなと。今までのシングル2作品は、作曲者みんな1曲ずつを持ち寄って、個性を出してきたので、今回はシンプルにまとまりを見せてもいいのかなって。
「サヨナラ」と「birthday song」を作曲したタケヒトさんはどういうものをイメージしていたのですか?
タケヒト
「サヨナラ」は冬をイメージして。彩冷える-ayabie-の楽曲って、季節感をわりと取り入れるので、全体に冬っぽい切なさを散りばめながらメロディアスにしようと。あと、インディーズ時代のクールなバンドの表情を前面に出してみました。「夏物語」を作った時は、自分の作曲の幅であったり、バンドの幅を広げることにチャレンジしたんですけど、今回は培ってきたものをいかに出せるかってことに重点を置きました。
インテツ
ポップで歌メインの楽曲が続いたので、そういう印象が強いかもしれないですけど、核にあるのはカッコ良いバンドサウンドなんです。ギターのひずみであったり、そういうものが活きた上にメロディーが乗るような。そういう楽曲に仕上げたいと思いましたね。サビの突き抜けた感じも印象的だったし、聴いた瞬間から“いい曲できちゃうかもな”って予感はありました。
ケンゾ
タケヒトと同じく、今まで培ってきたものをいかに出せるかって楽曲だったんで、ドラムとしてはそんなに変わったことはしてなくて、メロディーを聴かせることを意識しました。
「淡雪」はサウンド的に明るさを感じました。
夢人
個人的にマイナー調が好きなもんで、ちょっと明るい部分を作れるようになりたいっていうのがあり、Bメロとかを明るくしたんです。そこがちょっと効いたかなって思います。
出来上がった作品を聴いた印象はどうでした?
タケヒト
ツアー中にラフが届いて聴いたんですど、自分の思い描いていた完成形をはるかに超えていて、すごい曲ができたんだなって。自分が作ったのに自分の曲じゃないみたいな。
ケンゾ
それがおでん屋で、まぁ騒ぎましたね(笑)。
タケヒト
ディレクターからパソコンに送られてきたものをiPodに入れて、キャンペーンで葵くんとインテツはいなかったんですけど、ケンゾと夢人と3人でご飯を食べる約束をしていたおでん屋さんに持って行って聴かせたんですよ。ケンゾはすぐにニヤけて“やばくね?”って。夢人も同じリアクションで。
夢人
“売れたわ”って(笑)。
タケヒト
みんなで喜びを分かち合えた、自分たちの中にあるものをメジャーでもかたちにすることができた達成感ですね。