取材:道明利友

音楽シーンの歴史に名を残したバンドの多くは、従来の既成概念から逸脱していた。例えば、ザ・ビートルズは言うまでもなく、UKロックに電子音楽、音響的アプローチまで取り込んだレディオヘッド。そして、日本人らしい叙情的なメロディーを聴かせながらも先鋭的な音楽要素を取り込んで独自のスタイルを開拓した、くるりやスーパーカー。そんな、偉大な先たちの後に続く可能性を感じさせてくれる注目のバンドの名はHaKU。

『BREATH IN THE BEAT』で、1拍2拍などのリズムの意味での“拍”という意味と、息を“はく”ように…。HaKUの特徴であるブレスを多様したヴォーカルや、今作の特徴であるビート感をそのままタイトルにしました。

1 stミニアルバム『BREATH IN THE BEAT』の名の由来をそう語ってくれたのは、HaKUのソングライティングの要、辻村有記。その言葉通り、リズムとヴォーカル、そしてサウンドの独特なアンサンブルが、まずとても印象的だ。特に、「asayake」などで見せる電子音的なサウンドは、キーボード類を使わず生み出しているというから驚き!

『asayake』は原型は打ち込みで作った音があって、それをギターの寛茂にコピーしてもらって、そこから広げて、という感じです。あとは、エフェクター類でできるだけ似せたりだとか、生演奏でそれっぽく聴こえる音を探したりだとか…。正直、最初はできないと思っていたんですが、やればできるもんなんだなーって(笑)

ループするビートにはダンスミュージック的な感覚、大きく広がる音像にはエレクトロニカ的な感覚がありながら、メロディーはあくまでもキャッチー。さらに、疾走感たっぷりの「wait」や「僕は神様」からは、いかにもロックバンドらしい鋭い空気感が突き刺さる。HaKUの個性を作っているのは、そんな多彩な音楽要素の融合だ。

HaKUって、“物”ではないし。強いて言うなら“人”で、僕らが名前を付けた時にこの世に生まれて、たくさんの人に出会って、たくさんの音に触れて、“今”を素直に生きていると思うんです。だから、HaKUの“今”を素直に音に出したらエレクトロニカやダンスミュージックの要素がある音が出ただけで、これから先もっともっと変わってくると思うし。年をとるごとに人って絶対成長するもんで、HaKUも基盤が今作でできて、これからいろんな喜怒哀楽を体験すると思います。そのリアルな成長過程を、“音”で聴いていってもらえたらなと思います。

ラジオから流れてくる自分たちの“音”ひとつを聴いても、すぐにHaKUだと分かってもらえるような唯一無二な存在になりたいと、辻村は言う。ミュージシャンとしてキャリアを重ねて、人としても成長して、そのたびに進化していくに違いないHaKUの音色。刺激、陶酔、そして感動━━。ロックの枠を越えてさまざまな感覚を与えてくれる音楽、そんな新たな扉が開く予感を、まずはこの『BREATH IN THE BEAT』からぜひとも感じてもらいたい。

今伝えたいことが十分込められた6曲になってます。聴いてくれた人の日常に何か色を与えられたらすごくうれしいです。良かったらライヴにも会いに来てください。音源とライヴ、いい意味で二面性があって面白いと思います。それでは、いつかどこかで会えるのを楽しみにしています!
HaKU プロフィール

ハク:2007年7月に結成。バンド名は、何色にも染まらない“白(ハク)色”のイメージ。そして、“一音一拍(ハク)”に思いを込め、“息を吐く(ハク)”ように歌い続けたい、という意味を持つ。コンピューターやシンセなどを一切使用せずに音源を制作し、ライヴでも人力のみでその音源を表現するオルタナティヴ・ギター・ダンスロックを鳴らす。 オフィシャルHP
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OKMusic編集部

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