【森翼】
取材:石田博嗣
第2章の一歩目を観てほしい
ドラマに出演されてましたが、どんな収穫がありました?
やっぱり大御所さんばかりだし、みんなめっちゃすごいんですよ。初心を忘れてない…自分がなぜお芝居をやりたいと思ったのか、その核みたいなものをブレずにずっと持ってるんですよね。そういう人の演技には、自分への自信が表れてるじゃないですか。それが説得力にもなるし。僕が誰かを応援するような歌詞を歌った時に、自分に自信を持ってるのと持ってないとでは、伝わり方が全然変わってくると思うんですよ。だから、そんな周りのすごい人たちを観ることによって、自分と向き合えましたね。ほんまに、やって良かったと思います。
なるほど。では、新作の「青い夢」のことをうかがいたいのですが、どんな曲を作ろうとしたのですか?
もともとは“がむしゃらに夢に向って走ってる”っていうテーマが自分の中にあったんですけど、『家庭教師ヒットマン REBORN!』のエンディングに決まって、歌詞を差し替えたんです。前に『すべり台』という曲を使ってもらったんで、その時とは違うこと…その時に挑戦しなかったこと、その時には考えてなかったことを、今回はやりたいと思ったんですね。アニメで流れるってことは映像も一緒に流れるってことだから、すごくイメージが沸きやすいのに、前回は僕が書きたいようにしか書かなくて、“森 翼を知ってもらいたい”としか考えてなかったんですよ。だから、改めて『REBORN!』の漫画を読んだんです。そしたら主人公が僕と性格的に似ていて…すごく不器用なんですよ(笑)。だから、森 翼の歌なんだけど、聴いてる人が主人公のキャラクターを想像できる歌にしようと思って。“がむしゃらに夢に向って走ってる”っていうテーマに、“いつまで走らないといけないのかな? 夢に期限はあるのかな?”や“誰のために走ってるのか?”って、“なぜ走らないといけないのか?”という視点も加えたというか。僕もね、自分だけのことしか考えないで音楽をやってきてたら、ここまでやってこれなかったと思うんですよ。いろんな人に支えてもらったし、その人たちを大事にしたいと思ってるからここまで来れたんで、“これから先はどういうふうに走っていくのか?”ということを考えて歌詞を書き直したんです。
そんな歌詞の“汗と涙は裏切らない 見えてきた”という言葉が印象的でした。“見えてきた”と言い切っているところが。
不安な時ほど、はっきりしたことを言ってほしいんですよね。デビュー2年目の新たなスタートということもあって、みんなを引っ張っていきたいっていう気持ちがあるというか…サビ前で“止まるな 行け”って言ってるし。確かに、ここまで言い切ってることってなかったですよね。
そういう意味でも、今作で第2章が幕開ける感じですね。
そうですね。今回、全部新曲なんですよ。今の自分に自信があるから、全部新曲にしたし、今の自分を観てほしいというか…第2章幕開けの、その一歩目を観てほしくて。やっぱりね、何かを発信する時に“昔の僕も知ってよ”って思ってるようだと、僕が今行きたいと思ってるところには行けないと思うんですよ。自信を持って今の自分を発信して、みんなに“次はどんな曲なのかな? 楽しみやな”と思ってもらうのと一緒なぐらいに、“この人、昔はどんなんだったのかな?”と思ってもらうことができないと、僕が目指しているところには行けないと思うんです。今回、そういうことに対しても、初めて挑戦しましたね。
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