取材:ジャガー
今だけを楽しんでるのは違う
夏物語」は、1stシングルに収録されていた「サマーチャイム」とは違った視点で夏を捉えた曲ですね。
タケヒト
最初は夏真っ盛りで、ギターがもっと前へ出ていたり、テンポも速かったんですよ。でも、発売が暑さがだんだん引いてくる時期に確定したので、もうちょっと秋っぽさや哀愁感っていうのを取り入れた方が雰囲気が出るんじゃないかなと。
では、当初のイメージからかなり変わったのですか?
タケヒト
はい、サビのコード進行も変えたぐらいなんで。極めつけに、5人のコーラスを冒頭に付けたり。ただのビジュアル系バンドではないことにチャレンジできて、化けましたね。
葵
“夏物語”というからには、今だけを楽しんでるものだと違う気がしたんです。夏の楽しかったこと、悲しかったことを思い浮かべるシーンがある方がタイトルに合うんじゃないかなって。恋が終わってしまった内容なんで、ちょっと悲しさもあり…その方が聴き手が鮮明に絵を膨らませられるのかなと。
全体的に哀愁感漂うもので統一されているように思いました。「secret room」は大人な恋愛のもどかしさであったり。
葵
年齢が上の方の恋愛って今まで書いたことがなかったので、隠し事をテーマに広げてみました。やっぱり、誰しもひとつやふたつ隠し事はあると思うので、曲に入りやすいんじゃないですかね。おそらくどんな隠し事も何となく隠している相手にバレてると思うんですよ。気付いていることを伝えるのか、そのまま気付かぬフリをするのか…その中でのもどかしさ、心の描写をポイントにまとめました。
イントロとアウトロで蓄音機で曲を聴いているような工夫が入っていて、昔懐かしい雰囲気も伝わってきました。
インテツ
レコードを回すと、こういう温かみのある音が鳴るんだよってことを知ってもらいたいっていうのもあったんで。バンドサウンドに縛られたくはなかったんです。もともと自分は葵くんの声がしっとりした曲に乗るところが好きなので、そういうものをイメージしながら鍵盤に向かいました。
また、「ゆびきり」と「オリオン」はストーリーがつながっているように思ったのですが。
葵
そうですね。「ゆびきり」が別れをテーマにしているので、「オリオン」は最終的にプラスに向かっていく内容にしたくて。もともと夢人が作ってきた原曲を聴いた時点で、疾走感ある展開が頭の中で見えてましたね。
夢人
僕はあんまり明るい曲を作ったことがなかったんで、ずば抜けて明るい曲を作ろうと思ってたんですけど…作っていくうちに、自分のクセでちょっとマイナーな部分が混ざってしまって(笑)。おかげで新しい感じの曲が生まれましたね。疾走感があって、明るいんだけど切なさもある。
ケンゾ
「ゆびきり」は…グアムに行きたいなと(笑)。街があって、その近くには海が広がる景色。そんな素敵な場所で遊んでから帰るまでを思い浮かべながら作ったんですよ。
でも、明るさの中にも切なさを感じました。帰りたくない憂鬱さを表現しているのでしょうか?
ケンゾ
そうですね。夏っぽいものを作ろうと思ったんですけど、僕も曲を作ると暗かったり、切ない部分は少なからず入ってしまうので…って、誰も目を合わせてくれない(笑)。
葵
ケンゾが話てるから、ちゃんと聞いてるんだよ!(笑)
ケンゾ
大きく変わりましたけど、葵くんが上手い歌詞を乗せてくれて、物語性のある曲に仕上がったので良かったと思います。
アヤビエ:メンバー4人がコンポーザーを務めるロックバンド。2010年10月22日に初ライヴ、12月にアルバム『Virgin Snow Color -2nd season-』を発表。そして、11年8月シングル「流星」でメジャーデビューを果たした。彩冷える-ayabie-オフィシャルサイト
オフィシャルHP