【LUNKHEAD】カッコ良いと思う曲を作
ればいいんだ
前作以上に攻撃的で、前作以上にキャッチーな最新アルバム『AT0M』。小高芳太朗(Vo&Gu)は“今の俺らの衝動をぶち込めた”と語る!
取材:石田博嗣
200日前からリリース日を公表して、それに向けて配信シングルを出してきたアルバムが完成しましたが、どんなアルバムにするかは事前に考えていたのですか?
毎度のことながら、全然です(笑)。ただ、今回はシングルを出していこうっていう話だったんですよ。時代の流れもあって配信になったんですけど。だから、最初から“シングルになる曲を作ろう”っていう感じでしたね。先行配信した3曲にしても、前作の『孵化』の流れを汲んで尖ってるんだけど、“メロディーはキャッチーに”ってのをこだわってました。
尖ったサウンドというのも意識していたのですか?
俺の中ではありました。『カナリアボックス』や『夏の匂い』を出したことで幅が広がったし、ライヴも“楽しい”って言ってもらえるようになったし、笑顔があふれるバンドになってきたと思うんですね。ライヴやバンドのキャラクターがそうなっていくのはすごく良いことだと思うんですけど、自分が作る曲までそうなってしまったら、最初に自分がやりたかったものと違うって思ってしまったんですよ。だから、尖った曲ばかりに自然となった…っていうか、尖った曲であっても、ライヴでは笑顔でやれると分かったんです。今回のアルバムだと『それでも血の色は鉄の味がした』みたいな笑顔の欠片もないような曲でも、ライヴでウオリャ!ってやったら、来てくれた子らもウォ~!って笑顔で盛り上がってくれるなって。だから、カッコ良いと思う曲を作ればいいんだって、“ギターリフに命を懸ける!”みたいな曲の作り方をしてましたね。あと、今回からデモを作るようにしたんですよ。っていうのも、去年、MACを買ったんです!
じゃあ、Pro Toolsでデモを?
いや、GarageBand(初心者向けの音楽制作ソフト)なんですけど(笑)。ベーシックトラックにギターリフを乗せて聴かせたり、ギターの壮に“これにリフを考えてくれ”ってベーシックトラックのデータを送ったりして…ギターリフが多くなったのは、そういう作り方に変わったからもあると思いますね。
歌詞には、“ひとりじゃない”というテーマがあるんですよね。
やっぱり子供が生まれたことがデカいですね。人間って人間から生まれてくるわけだから、うちのおかんも婆ちゃんから生まれてきて、婆ちゃんも…って考えると、歴史の教科書の1ページ目にまでつながってるんだなってリアルに感じて。チープな言葉になるんだけど、“俺たちは生まれてきた時点でひとりぼっちなわけがないんだな”って思ったんですよね。
結成10周年のアニバーサリーが終わってリリースされる本作には、やはり新たな第一歩的な意識もあります?
そうですね。毎回、“ここから始まる”っていう感覚はあるんですけど、今回はいつになく“俺たち、これで売れてしまうんじゃないか!”っていう予感がしてます(笑)
そっちっすか! “初期衝動を取り戻した”とかじゃなく。
それはあるんですけど…よく“初期衝動を再び!”って言うけど、それって過去の自分を追いかけてるみたいな気がするんですよ。今振り返るから1stアルバムってがむしゃらに聴こえるけど、当時の自分たちはめちゃくちゃ丁寧に作ってたつもりだったんですよね。だから、初期衝動って振り返るものじゃないっていうか…そんなことよりも、今の俺らの衝動だと思うんですよ。今の自分たちが持っている武器でどんだけ戦えるかって。そういう意味では、その衝動はぶち込めたと思います。
- 『AT0M』
- VICL-63351
- 2009.07.08
- 3000円
ランクヘッド:1999年に愛媛県で結成され、04年1月にシングル「白い声」でメジャーデビュー。10年4月にオリジナルメンバーの石川 龍(Dr)が脱退するも、桜井雄一(ex.ART SCHOOL)を迎えての新体制となる。結成20周年となる19年には、4月に12枚目のアルバムとなる『plusequal』を発表。LUNKHEAD オフィシャルHP